精神科医?心理士?


動悸・息苦しさ・思考停止・不眠といったパニック症状やうつ症状は、薬物療法で改善が期待できます。一方、「もともとネガティブ思考」「もともと優柔不断」といった性格や思考の癖は、薬では改善しにくいのが実情です。うつ状態が引き金になって思考が止まっているケースなら話は別ですが、長年の思考パターンそのものを変えるのは当方としては得意とするところではありません。

精神科医への過大評価について


最近はテレビやYouTubeで精神科医がニュースの登場人物の心理分析をする機会が増えたせいか、精神科医=心理の専門家と思われることがあります。精神科医は日常診療を通じて心理的な知識が身につくことはありますが、心理的な問題を体系的に学んで扱うのは心理士の領域です。


受診の目安


まず精神科を受診して、今の問題が薬物療法で対応できるものかどうかを判断してもらうのが良いと思います。(きちんと精神科医としてトレーニングを受けている医師ならばそのへんの線引きはしてくれるでしょう。)

心理療法やカウンセリングが必要と判断された場合は、心理士が在籍する医療機関への受診をお勧めします。(なお当院では専門的な心理療法・カウンセリングは行っていないためそのようなところへのご案内となるでしょう)

当院は数日内と精神科クリニックとしては予約がとりやすいため、心理療法やカウンセリングが対象と思われる方もよく予約を入れて受診される事が多いですが、お話を伺い当院の治療対象でない場合は他へのご案内となることがあります。

診断書偽造?!


少し前のことになりますが、当院でこのような出来事がありました。改めて振り返り記しておきたいと思います。

医療関係者や美容師はじめ、いくつかの資格を取得・更新する際には、「欠格事由に該当しないこと」を確認するための診断書の提出を求められることがあります。当院にも、ごくまれにこうした診断書作成のお問い合わせをいただきます。

このときお伝えしたい出来事というのは、当院を受診されたことのない方が、当院の名前を使って診断書を作成し、関係機関に提出されていた、というものでした。当院にかかった記録はなく、ご自身で当院名義の診断書を用意して申請に使われたものとみられます。

こうした行為は、確認の過程でわかってしまいます

診断書は、提出すればそれで完結するものではありません。


受理した機関から、発行元の医療機関へ内容の確認のお問い合わせが来ることがよくあります。このときも、そうした照会をきっかけに事情が明らかになりました。

また、当院で発行した書類は、その文面を必ず患者さんのカルテにスキャンして保管しています。(今どきはどこの医療機関でもやっていますが) そのため、「当院がその診断書を発行したかどうか」「そもそも当院にかかられた方かどうか」だけでなく、提出された書類の内容が当院の控えと食い違っていないかまで、記録と照らし合わせればすぐに確認できます。発行した覚えのない書類はもちろん、文面に手を加えられたものも、こうして判明することになります。


申請される方に知っておいていただきたいこと


医師名義の診断書を実際とは異なる形で作成し提出する行為は、私文書偽造などにあたり得るものです。こうした罪は、医療機関が被害を申し出るかどうかにかかわらず、刑事責任を問われる可能性があります。

そして何より、偽造が判明すれば、申請された資格や免許が交付されることはありません。

最後に


この記事をご覧くださっている方に限って、そうしたことをなさる方はいらっしゃらないと思いますが——そんなこともあるんだ!と印象に残る出来事でした。

「イライラしやすい」で精神科を受診される前に



精神科・心療内科には、「イライラしやすい」という主訴で受診される女性の方が少なくありません。

なかでも、育児中にお子さんへ感情をぶつけてしまいそうで怖い、といったご相談は、お子さんへの実害が出る前にご自身で問題意識を持って来院されているわけですから、本当に立派なことだと思います。

ただ、軽度のイライラであっても、ひとたび精神科や心療内科を受診すれば、基本的には何らかの薬が処方されるもの——そう理解したうえで足を運ばれるのが現実に即した受け止め方です。

身内や友人にも気を遣って打ち明けられずにいたことを診察室で話せて、それだけで少し楽になりました、とおっしゃる方もいます。私はそうしたとき、お話を伺うにとどめて薬は出さない、あるいは比較的依存性が少ないとされる漢方薬から試してみましょうか、とご提案することもあります。(メンタルクリニックはカウンセリングやr-TMSなど自費診療を中心としたところ以外、保険診療で行ってるところは薬物治療を基本としているところが殆どです。)

とはいえこれは一般的な姿ではなく、精神科に行けば薬が出るもの、と考えておかれるほうが認識としては正確です。

薬は適正に使えば確かに支えになります。一方で、依存しやすいタイプの方がいらっしゃるのも事実です。

ご自身でブレーキをかけられる方(飲みすぎたりせず医師の指示範囲内でとどめる方)は、お薬を処方されても手放せなくなることはあまりありません。一時的な服用で止められることもあります。これに対し、はじめから薬を目的に来られる方、あるいは薬でメンタルはコントロールできると安易に考えておられ、効果が感じられる薬であれば多く使いたがる方は、依存しやすい傾向があります。

症状が重く病識がない方ほど薬を飲みたがらず、軽い方や薬の不要な方ほど薬を欲しがる。飲みたがらない方には服薬の大切さを説き、欲しがる方には薬の怖さを諭す。精神科医とはなんとも因果な商売です。

受診をためらう必要はありませんが、薬との距離感だけは、来院前に少しだけ意識していただけるとよいかもしれません。