最近はSNS全盛の時代です。

SNSのフォロワーや登録者の数が一種の資産とみなされ、再生回数や閲覧数が収益につながるようになりました。


いわゆる「アテンションエコノミー(関心経済)」です。人々の注目を集めること自体が、お金になる時代というわけです。


そのため、少しでも目立とうと、さまざまな工夫が凝らされています。


街中でも迷惑行為すれすれの動画を撮影するような人が出てきたり、ニュースやブログには、必要以上にネガティブで衝撃的な見出しをつけたり。思わずクリックしたくなるよう、私たちの好奇心や不安を巧みに刺激してきます。


そして、私たちも気づかないうちに、その仕組みに乗せられてしまいます。


SNSを眺めているだけで、怒り、不安、嫉妬、焦りといった感情を次々と刺激される。何気なく開いたはずなのに、見終わる頃には何となく気分が落ち着かなくなっていることもあります。


私はそれほど精神的にタフな人間ではないので、こうした刺激に心を乱されることがあります。そのため、最近はなるべくSNSから距離を置くようにし、心穏やかに読める投稿にのみ「いいね」をするようにしています。


とはいえ、SNSを完全に遮断してしまえば、世の中の動きや新しい情報から取り残されてしまうかもしれません。


情報を得ることは大切ですが、情報に振り回される必要はないはずです。


世の中の流れには取り残されず、かといって、その流れに心まで持っていかれない。

そんなちょうどよい距離感を、どうすれば保てるのでしょうか。


数字を追いかけることが当たり前になった時代だからこそ、数字では置き換えれない自分自身の心の穏やかさも、大切にしたいと思う今日この頃です。


最近、マンジャロなどの肥満治療薬、ED治療薬、AGA治療薬などを、オンライン・オフラインを問わず自由診療で処方するクリニックが増えています。

もちろん、こうした診療を一概に否定するつもりはありません。ただ、医師が診察のうえで必要な薬を選ぶというより、患者さんが希望する薬を手に入れるためにクリニックを受診する、そんな医療の形が広がっているようにも感じます。



精神科の外来でも、ときどき「最近眠れないので、何か睡眠薬をください」と、比較的気軽に受診される方がいます。


以前から他院で睡眠薬を処方され、その薬が合っていたという方であれば、こちらも継続処方に対する心理的なハードルは比較的低くなります。もっとも、すでに薬が手放せなくなっている可能性もあるため、慎重な判断は必要です。


一方、これまで一度も睡眠薬を服用したことがない方に対しては、どうしても慎重にならざるを得ません。


なぜなら、睡眠薬の種類によっては依存や耐性が生じることがあるからです。


最初は「飲めば眠れる」だったものが、いつの間にか「飲まなければ眠れない」に変わってしまうことがあります。




自分が今日処方する一錠が、この患者さんを長年にわたって睡眠薬に頼らざるを得ない状態にしてしまうのではないか。

そんなことを考えると、簡単に処方する気にはなれません。


そのため、初めて睡眠薬を希望される方には、まず薬のメリットだけでなく、依存や長期服用のリスクについても説明するようにしています。


また、睡眠衛生の12箇条などを参考に、生活習慣や睡眠環境を見直していただくことから始めます。患者さんによっては、漢方薬などを試すこともあります。


もちろん、不眠は決して軽く扱ってよい症状ではありません。


眠れない夜が続くことはつらいものですし、日中の集中力や仕事のパフォーマンス、精神状態にまで影響します。適切に睡眠薬を使用することで、生活の質が大きく改善する方もいます。


最近では、オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬など、従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べて依存のリスクが低いとされる薬も使えるようになり、私自身もなるべくそうした薬剤を選択するようにしています。


ただし、依存が生じにくい薬であっても、漫然と飲み続けてよいというわけではありません。



睡眠薬は、眠れない人を助けるための薬であって、眠るために薬が欠かせない人を増やすためのものではないと思います。

「眠れないから薬をください」という訴えに対して、ただ希望どおりの薬を処方するのではなく、なぜ眠れないのか、本当に薬が必要なのか、使うとすればどのような薬をどのくらいの期間使うのか。

そうしたことを患者さんと一緒に考えるのも、医師の大切な役割だと思っています。


とは言っても眠剤を出し始めたらなかなかやめられないのが実情です….😅


当院では、初診の患者さんには約1時間の診察枠を設けています。


他院では30分程度のところもあるかもしれませんが、精神科の初診では、現在の症状だけでなく、これまでの経過や生活背景、家族関係、既往歴など、確認すべきことが多くあります。



そのため、どうしても一定の時間を確保する必要があり、他科に比べて初診の予約が取りづらくなりがちなのは、精神科ならではの事情だと思います。


一方、再診については患者さんの状態にもよりますが、概ね5〜10分程度で必要な話を伺い、薬剤の調整などを行っています。限られた時間の中でも必要な診療を行い、できるだけ患者さんをお待たせしないよう心がけています。


さて、ここで少し気になるのが、「再初診」の扱いです。


精神科では、自己判断で通院を中断された方や、いったん治療を終結した方が、数か月あるいは数年たってから、再び調子を崩して受診を希望されることがあります。


当院では、最後の受診から3か月以上経過した方については、予約上「再初診」として扱っています。


ただし、こうした患者さんについては、過去の診療を通じて病歴や生活背景などをある程度把握しています。そのため、まったく初めて受診される方と同じように、改めて1時間近い診察時間を確保する必要はない場合が多いのです。


したがって、当院では再初診の方はできるだけ再診に準じた形で予約を受け付け、早めに診察できるようにしています。


電話でお問い合わせをいただき、その日に空きがあれば、当日中に診察することも珍しくありません。(ただし原則は電話予約した翌日以降のご案内となります。)


もちろん、以前の診察で当院では十分な対応が難しいと判断し、カウンセリングなど他の治療機関を勧めた方については、再度の受診をお引き受けできない場合もあります。


ところが、以前こんなことがありました。

他の精神科クリニックに通っていた患者さんが、半年ほど通院を中断した後、調子が悪くなって元のクリニックに予約を申し込んだところ、診察まで1か月待ちと言われたそうです。


それでは待てないということで、結局、当院を初診で受診されました。

おそらく、そのクリニックでは一定期間通院が途絶えた患者さんを、新規の初診患者さんと同じ予約枠で受け付けているのでしょう。

もちろん、クリニックごとに診療体制や予約事情が異なるため、どちらが正しいという話ではありません。


ただ、以前から診察していた患者さんであれば、すでに多くの情報がカルテに残っています。病状が大きく変化していない限り、必ずしも新規の初診患者さんと同じ時間を必要とするわけではないと思うのです。


むしろ、通院を中断していた患者さんが再び受診したいと思ったときに、予約が取れず、治療再開まで長く待たなければならないのは、できれば避けたいところです。


久しぶりの受診だからといって、必ずしも最初からやり直す必要はない。

そんな考えから、当院では再初診のハードルをなるべく低くしています。


ただ、ふと疑問に思います。

他の精神科クリニックでは、こうした再初診の患者さんをどのように扱っているのでしょうか。 


以前の患者さんでも、一定期間通院が途絶えれば新規の初診枠で予約を取り直すところが多いのでしょうか。


それとも、当院のように比較的柔軟に受け入れているところも多いのでしょうか。

当院の対応が一般的なのか、それとも少数派なのか、少し気になるところです。


余談にはなりますが
医師との話し合いで治療終結したわけではなく自己判断で連絡もなく来なくなるような患者さんは正直、治療関係を築きにくく上手くいきにくいというのは確かにあります。