診察室から見える、いまの働き方のしんどさ


時期にもよりますが、当院には働き始めて間もない方や、昇進・配置換えをきっかけに頑張っていた方が、電池切れを起こしたように疲弊して受診されるケースが増えています。

上司が変化に気づき受診を勧めてくれたという方もいますが、会社に出勤できなくなって初めて受診される方も少なくありません。


IT化で仕事は速くなり、密度は高くなった


ITの普及により、仕事のスピードは確実に上がりました。
メール、チャット、オンライン会議、各種システム入力。「すぐ返せる」「どこでも対応できる」ことが当たり前になっています。

しかし、その分、
同じ時間内に処理すべき仕事量と判断回数は明らかに増えています。

一つ一つの作業は短くなっても、休む間のない高密度な労働が続く。診察室で話を聞いていると、こうした疲れ方をしている方が非常に多いと感じます。



責任感の強い人ほど、休むことをためらう


疲弊して受診された方には、必要に応じて診断書を発行します。その際によく聞くのが、

「今、自分が休んだら会社に迷惑をかけてしまう」

という言葉です。

責任感の強い方ほど、この考えに縛られやすい。
結果として無理を重ね、回復までに時間がかかってしまいます。



休む前提で仕事を回すのは、会社の役割


社員が突然休むことは、事故による怪我、急病での入院など、いくらでも起こり得ます。

そうした事態でも業務が回るように体制を整えるのは、本来、会社が考えるべきことです。

個人がすべきなのは、「倒れるまで働くこと」ではなく、日頃から自分の体調を整え業務に臨み、不調に早く気づくことだと思います。


なぜメンタルの不調だけ、特別視されるのか


メンタルの不調で休むことに、
強い気兼ねを感じる方は少なくありません。

しかし、心の不調も体の病気と同じです。
突然、一定期間の休養が必要になることはあります。

それを「申し訳ないこと」と感じさせる空気こそが、
不調を長引かせているように、医師として感じます。


町医者として伝えたいこと


限界まで我慢してから受診する必要はありません。
「少しおかしい」と感じた時点でブレーキをかけることは、逃げではなく、適切な自己管理です。

診察室で起きていることは、社会の縮図です。
IT化で仕事が速くなった今こそ、
無理を前提にしない働き方が本当に求められているのではないでしょうか。