アイデンティティ(Identity)とは何か…
アイデンティティ(Identity)とは、
個人が自分自身をどのように認識し、
社会の中でどのように
位置付けられているかに関する概念です。
アイデンティティは、
自己の一貫した認識と、
他者からの認識の両方を含みます。
これには、性別、民族、職業、
宗教、価値観、趣味、社会的役割など、
さまざまな要素が影響を与えます。
アイデンティティは一貫したものであると同時に、
成長や経験によって変化する
ダイナミックなものです。
エリク・エリクソンの発達心理学における
「アイデンティティの発達」という概念は、
個人が成長の過程で
自分の役割や価値を確立し、
他者との関係を通じて
自分自身を理解するプロセスを説明しています。
アイデンティティの要素
パーソナルアイデンティティ
これは、個人が自分自身を
どのように見ているか、
または自己認識とも言えるものです。
個々の性格、信念、価値観、
興味などが含まれます。
例えば、ある人が「私は誠実な人間だ」
と自認している場合、
これがその人のパーソナルアイデンティティの一部です。
ソーシャルアイデンティティ
ソーシャルアイデンティティは、
個人が社会の中でどのように他者と関わり、
どのような集団に属しているかに関連します。
これには、民族性、宗教、職業、
社会階層、政治的な立場などが含まれます。
例えば、ある人が
「私は日本人で、キリスト教徒である」
という認識を持つことは、
その人のソーシャルアイデンティティに関連します。
文化的アイデンティティ
文化的アイデンティティは、
個人が属する文化や伝統に
関連したアイデンティティです。
例えば、アメリカで育った日系アメリカ人が
「私のアイデンティティは、
アメリカ文化と日本文化の融合だ」
と感じる場合、
それは文化的アイデンティティに関するものです。
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アイデンティティの発達
エリク・エリクソンの発達理論では、
アイデンティティの形成は
主に思春期において
重要な課題とされます。
思春期は、子どもから大人へと移行する過程で、
自分が何者であるかを探求し、
確立する時期です。
この過程で、若者は
さまざまな役割や価値観を試し、
自分に合ったアイデンティティを形成していきます。
たとえば、ある学生が
学校でいろいろなクラブ活動に参加し、
最終的にアートクラブを選び、
アーティストとしての
アイデンティティを形成することがあります。
このプロセスは、
自己認識と社会的な役割のバランスを取りながら、
個人が自分自身の道を見つけていく過程です。
アイデンティティの危機と変化
アイデンティティは一度確立されると
固定されるものではなく、
人生の経験や状況の変化に応じて変容します。
アイデンティティの危機は、
個人が従来の自己認識や役割に疑問を持ち、
新たなアイデンティティを模索する過程を指します。
例えば、ある人が突然の転職や
家族構成の変化など、
人生の大きな出来事を経験したとき、
それまでの自分のアイデンティティに疑問を感じ、
新しい自己認識を求めることがあります。
これは、自己の成長や変革の一環として、
ポジティブな変化をもたらすことが多いです。
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アイデンティティについての具体例
職業的アイデンティティ
ある医師が
「自分は医療の現場で
患者を助けることに使命を感じている」
という職業的アイデンティティを持っている場合、
この認識はその人のキャリア選択、
仕事に対する態度、
日常の意思決定に深く影響します。
しかし、もしこの医師が
バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥った場合、
医師としてのアイデンティティが揺らぎ、
新しい役割や価値観を
模索することになるかもしれません。
文化的アイデンティティ
海外で育った移民の子どもが、
自分の文化的背景と新しい環境の文化の間で
アイデンティティの葛藤を感じることがあります。
たとえば、日本で生まれ育った日系ブラジル人が、
自分のルーツと現地の文化の間で
バランスを取ろうとすることが
文化的アイデンティティの一例です。
ジェンダーアイデンティティ
ジェンダーアイデンティティは、
個人が自分の性別を
どのように認識するかに関わります。
たとえば、トランスジェンダーの人が
自分のジェンダーアイデンティティを受け入れ、
社会的にもそれを表現するようになると、
その人の自己認識と社会的役割が
大きく変わることになります。
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アイデンティティについての結論
アイデンティティは、
多面的で動的な概念です。
自己の認識と他者からの認識が交錯し、
さまざまな要因が
その形成に影響を与えます。
個人が生きる社会的、
文化的、歴史的背景によっても
アイデンティティは異なり、
人生のさまざまなステージで
変化していくものです。
アイデンティティを理解し、
認識することは、自己理解を深め、
他者との関係を築くために重要です。
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発達障害ラボ
車 重徳