雲が光ってる



雨が去って

ひらけた空



風が抜けていく



風は私を急かさない


時々、思い出したように
触れていくだけ




実家のすぐそばの森


隅々まで染み渡る静けさの

もっと向こうで鳥が鳴いてる



森が風にささやく

ゆっくりと 楽しそうに

青い空が聴いてる



いちばん最初の

蝉が鳴き始めた

少したどたどしい声で

生きてる 自由だ 燃えてるんだと
身を震わせて 叫んでる

その熱を体に感じて
わたしは歩きだす


ここは 急かされない森
いつまでいてもいい森


樹肌に身を預けて
少し目をつぶる






風にゆれて雫が降り注ぐ

ぽつぽつと 葉を鳴らす
顔を濡らす

体に降りてくる湿り気



私は森
生きている森

大きな森

風を感じ 呼吸する

水を吸って 巡らせる  放つ

ひとところに 命を 携えて

水となりて  
風となりて



こうやって わたしは
ようやく重たい頭を 地面におろせるのです


昨日のことで
打ちのめされて、海に来た。



海を見た瞬間に
わたしの肺が広がってゆく

この胸ぜんぶが
海を吸い込んで

わたしが開かれてゆく



寄せて
返す


吸って
吐く

海は
呼吸の仕方を教えてくれる


遠く遠く
どこまでも続いてゆく水平線

その先にいる自分を思い浮かべる


誰でもなくなって
波の上に漂う自分

海の民になって
いかだで旅をする

島国の女になって
海と花と暮らす


遠い遠い
水平線の向こうに生きている
もうひとりの自分

想像していると

この世界の自分から
わたしは自由になる





波に足をつける

途端にわたしは
「そちら側」の存在になる


砂浜の「こちら側」と
海の「そちら側」が

入れ替わっていく






波に足をつけて

海の一部として
砂浜を 街並をみている



波に体が溶けて

体が内側から解きほぐされていく


見上げれば
空には鳥が三羽



私は、私でいることしかできない


完璧でなくても
うまく出来なくても

怒ったり
泣いたり
落ち込んだり

そのまんまの私でいることしか出来ない


その私であなたと出逢えたなら、
それは奇跡だ

もう出逢えないなら、
それはきっとそうなんだ


これまでも
これからも

私は、私でいるしか出来ないんだから









胸が
ぎゅっと絞られる

誰かが自分から離れていく
しんどさ

稽古中に
メンバーが飛び出していってしまった

ここ数日
ピリピリと怒っているようだった彼女の様子が
私への不満だと思って怖かった

思い当たることはあった

だから今日稽古が終わるまで我慢して
二人で話そうと思ってたのに
稽古中の彼女の冷たい言葉に耐えられなくなってしまった

みんなの前で
どうしたのか気になってる、
悪かったなら謝りたいと言ったら
黙りこんで
遂に飛び出していってしまった

私は不満を聞く覚悟をきめて
向き合おうとした
すぐに不満をぶつけてくれると思ってしまった

それが彼女を逆に追い詰めてしまった

へったくそだな
ただ正直になればいいと思ってる

自分が耐えられなくなっただけ

彼女にとって安全な場
タイミングではなかった

今回の公演は 
メンバーから不満が出ることが多くて
キツいなぁと思ってたけど
これは本当にキツい

ぶつかれてただけ良かった
いなくなっちゃうなんて思わなかった

でも、よく考えれば
これまでは1対1でのことで

みんなの前で一人だけ嫌だと言うなんて
キツいことだよな…

私は自分のせいで相手が怒ってると思って
その状況が怖くて耐えられなくて
変えることに夢中になって
彼女をマイノリティにしてしまったことに気づく

へったくそ

夜道

風が抜けていく

木々のざわめき


反省は止まらない
自分を責めるのは永遠に出来る

違うやり方を
私はまだ知らなかった

あーぁ


海がみたい