エゴがしぼんでしまうと
物足りなさが残る  


ずっとずっと辛くて 
我慢してて
「もう嫌だ!」って

一人の時はあんなに責めてた相手と
直接向き合ってしまうと
うまく言葉が出てこない

行き場のない矢印が
ふらふらと胸から出ていくだけ

正しさの刃を振りかざして
ボコボコにしてやろうと思ってたのに笑

そこには「相手」がいる
私の言葉を聴いている
何かを考えている
私の言葉の影響を受けている

それだけで
胸の中でパンパンになってた風船が
しぼんでいく

拳の力が緩んでしまう

私は何を言いたかったんだっけ…?

辛かった
悲しかった
ショックだった

もう、そんな燃えカスみたいなものしか
出てこなくて 

自分に拍子抜け

もっと傷ついたり傷つけたり
ぐちゃぐちゃの ねとねとの
ドラマを想像してたんだけど

まぁ、どうやらそんなものみたい

相手に聴いてもらえなくて
聴いてもらいたくて
膨れ上がってたアレコレ

ぶつけたくて
攻撃したくて
うずうずしてたのに

聴いてもらえたからって
こんな空気が抜けちゃうもんかね

ちぇー
つまんないなっ笑




ぼろぼろになりながら
それでも
諦めないのは何故だろう

もう辞めればいいのに
どこにも行けず
まだ、ここに立ち尽くしてる


10月から続けてきた
アニシモフさんの演劇アカデミー

NIJIで行き詰まって
どうしたら良いのか分からず
すがるように飛び込んた
もっと楽になれると思ったのに


ぶつかるのは結局
私の壁

自意識
うまくやりたい
私は特別
ほめて ほめて
私をほめて
ほら、言われた通りやってるでしょ?
これならいいでしょ?!
早く私も認めてよ!

うんざりだよ

そんなところを見抜かれて
ぐちゃぐちゃに言われて   
悔しくて 悔しくて
昨日は涙が吹き出した

分かってるよ
私だってどうにかしたいんだよ
こんな自分に吐き気がしてるんだよ

やろうとすればするほど
焦って緊張して
相手は遠のいて
世界に一人きり
捻り出す言葉は
空っぽで

やってる「フリ」はできる
感情を「見せる」ことはできる

でも、もうそれが嫌で
ここに来たのに

まだそこから出られない

ちくしょう
ちくしょう

・・・

一夜あけて
悶々としたまま
外に出ると
桜の薄いピンクが広がっている

今が春だということに
ずいぶん救われている

昨日のことを考えると
自分の傷を抱えて
閉じこもりたくなるけど 

それじゃあ
舞台のうえでやってることと
変わらない…



青い空
かすかな風

光に透ける
ガラスのように
繊細な花


こんな時でも私は、
世界の美しさに
気づくことができるだろうか


桜の花びらが散る

今まで形作ってきた
必死で守って
しがみついてきた
「私」も

はらはらと
散っていけばいい





私の中にある
失ってしまったものが

いくつも 何度も
夢に出てくる


建て替えられた
おじいちゃん家

古いぼこぼこした木の柱
隠し部屋みたいな秘密の書斎
物でいっぱいのキッチン

匂い 暗さ 温度
どの部屋も探検できるくらい
今も鮮明に覚えてる


もう逢えない人
遠くにいってしまった人

バイクの背中
はにかんだ笑顔
「乗れないよ」と言ったら
走り去ってしまった
私のバカ


実家の部屋
散乱した本を片付けてたら
そこにはもう母が絶対的にいない
どんなに呼んでも 
出て来てはくれないことに絶望する


もう無いもの
かえってこないもの

そこにある
思い出 ぬくもり 時間

それをこんなに愛していたこと

今も 胸の中に
ぽっかりと穴が空いていること

こうやって夢にみて
知らされる


もう無いものに
私は執着してるんだろうか

「形がなくなっても 
あなたの魂は そこにいて
あなたの存在は 私の中にある
大切なものは 目には見えない部分」

頭で言い聞かせてみても
穴はまだ
私の中にある

ベッドの中
街の喧騒
いつも通りの会話

穴は ゆっくりと薄れて
形を掴むのが難しくなっていく