幕末熊本県人図書館 | 植民所在地3丁目

植民所在地3丁目

Alfooでのブログ『誰も知らない植民所在地』の発展系。所在地わかりました。

でも書いてることは変わらない。

家系調査に若干興味があるのですが、微妙に齧ったところで親の片方が養子であり、更に祖父母が駆け落ち婚だったことをカミングアウトされたでうくです!ドラマチックな人生だと思ったけど調査のモチベーションは下がりました。。。(笑) 三代続けば江戸っ子といいますが我が家は三代続いて自由人のようです(´▽`) '`,、'`,、

学生時代からの友人には家系がはっきりしている人が結構いて、彼女らと歴史の話をすると、我が家の由緒はわからないながらも、幕末郷土の偉人たちを身近に感じる最近です。


なんだか去年今年で尾形さんの新史料が発見されたり、剣心ブームで彦斎がクローズアップされることがあったりと、彼ら自身の認知度がほんのちょっぴりだけ上がった気がしてひとり楽しいです(✿´ ꒳ ` )
彼ら自身にもっと興味を持っていただくために、今回は僭越ながら、私が彼らの小説を書くのに参考にさせていただいた本(小説・郷土史料)について紹介したいと思います。
これらの本は郷土史料含め、必ずしも一般にいわれている史実と一致しているとは限りませんが、ぶっちゃけ彼らを主役に書いている本自体が珍しいので、非常に参考になります。
どれもきらハートよか本きらハートだったので、紹介とともにひとことふたこと、感想ばいわせちもらいますね(๑˃̵ᴗ˂̵)و




【尾形 俊太郎関連

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『地虫鳴く 新選組裏表録』 木内昇 (集英社文庫)

主人公は尾形さんの他に、阿部 十郎篠原 泰之進の二人がいます。
尾形さんについてのみ取り上げてコメント致しますと、第二次長州征討における広島行き伊東一派との内部抗争で活躍します。
この作品の尾形さんは、とても穏やかで少々抜けたところがあり、シリアスシーンで「おろ?」とドジを踏んだりするコミックリリーフ的キャラクターです。でも、以下の2作品と比較しても屈指の頭脳派で、全編通して剣は全く振るわないものの、斎藤さんが文句を言いつつ護衛してくれたり、山崎さんが毒舌を放ちつつ指示に従ったり、伊東さんとそれとなく駆け引きをしていたりと、前面には出さないながらも「実はこの人超有能じゃね?」と読んだ後に思えるような描き方がなされています。ギャップが素敵です。



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『新撰組捕物帖』
『諜報新撰組 風の宿り 源さんの事件簿』
秋山香乃  (幻冬舎時代小説文庫)

主人公は井上 源三郎です。尾形さんは準主人公で、源さんと中村 久馬という隊士(壬生浪士期に在隊。池田屋事件前に離隊)の三人組で事件に挑みます。
基本的には2冊とも壬生浪士期のお話になります。ジャンルとしては人情ものかな。
この作品の尾形さんは結構アクロバティックで、馬には乗るし屋根の上で決闘はするしで腰が軽めです(笑) 基本的にはクールですが、猫舌だったりシャイだったり押しに弱かったりと、いわゆるツンデレな感じ。こちらのギャップも割と好きです。



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『舞灯籠 京都上七軒幕末手控え』 蜂谷涼 (新潮社)

こちらは恋愛短編集。5編ありますが、尾形さんは『舞灯籠』という話にのみ登場します。
『舞灯籠』についてのみコメント致しますと、主人公は上七軒(かみしちけん)という花街の芸妓・小梅。この小梅さんが、尾形さんと恋に落ちます。
基本的には小梅の視点で話が進んでいきますので、尾形さんはあまり出てきません。そのうえ、尾形さんがニヒルで感傷的なので、謎めいた空気さえ感じさせ、それに終始します。私の尾形さんに対するイメージは割とこれに近いです。
ほんっとに尾形さんの出番が少ないんですけど、尾形さんの従妹に千代という芸者が出てきて別の短編では彼女が主役になっていたり、千代の母であり肥後出身の都瀬が出てきたりと、どの話も最終的には尾形さんに繋がる話になっているようです。




【河上 彦斎関連

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『幕末動乱の男たち/下』 海音寺潮五郎 (新潮文庫)
こちらは小説というより資料。『三刺客伝』の項にて、田中 新兵衛岡田 以蔵とともに取り上げられています。
資料ということで感想はそれほどないのですが、これを読めば彦斎の人生のだいたいはわかると思います。誤解だな、と思う部分もなく、いい資料だと感じました。


kontoko

『新学社近代浪漫派文庫㊶ 今東光/五味康祐』 (新学社)
人斬り彦斎/今東光

執筆時期が昭和26年ということで、文語体で書かれており、読むのにちょっとハードルが高かったです(笑) インターネットなどであらすじをざっと押さえてから読むのがおすすめ。
出自から始まり、第二次長州征討で高杉・桂と決裂して肥後へ戻ると決めたあたりまで書かれています。
登場人物は割と豊富で、奇兵隊や佐久間親子はもちろん、新選組の近藤・土方・沖田とも接触します。我らが佐々 淳次郎も出てきます。

この作品での彦斎は、まさに正統派美男といった感じです。冷静冷酷な人斬り。でも時折熱さや気の短さが見え隠れします。下で紹介する五味氏の小説もそうなのですが、なんか、肥後に奥さんを残しているのにも関わらずちょいちょい本気の恋愛をしています(爆) いい男の証なのでしょうか。


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『人斬り彦斎』 五味康祐 (徳間文庫)

こちらは池田屋事件後から処刑までが書かれています。歴史に沿っているというよりはオリジナル要素が強く、染香という芸妓との恋愛や旗本竹内 格之進との友情を軸としています。新選組からは永倉 新八が出るくらいです。こちらの彦斎はけっこう雄々しく、女の私にはよくわからないポリシーや衝動があって「お、おう・・・」という気分になりました。多分男の人にはわかるんじゃないかな・・・(爆)
この作品の本領発揮は維新後といってよさそうで、「人斬り」の過去に苦しめられ、それでも攘夷のために再び剣を取ろうとする彦斎の頑なさが痛々しくて悲しくなります。救いのない結末にはあまりのやりきれなさに泣かされました。結末は史実通りなので、現実は時にフィクション以上に残酷なものだと思ったものです。



【宮部 鼎蔵関連

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『歴史小説集 地に生きる』 勇知之 (書肆月耿社)
心の故郷 -若き日の宮部鼎蔵-

宮部さんがメインとなる話は殆どないのですが、ただ一つだけ、この本では池田屋事件の30年前若き日の宮部さんが主人公となった話を読むことができます。著者である勇氏は郷土史家で、小説といえどかなり詳しく書いてあるので、宮部さん自身に興味があるかたにはぜひぜひWハート読んでいただきたいです。こちらの小説集には他に神風連の戯曲西南戦争での少年兵の物語などが掲載されています。

あと、宮部さんの出番が多い本は
『世に棲む日日』
『竜馬がゆく』

など、司馬遼太郎氏の作品くらいですかねぇ・・・
松陰先生が主役の話にはだいたい脇役で出てきます(放棄←)
ちなみにこれらには、松田 重助永鳥 三平佐々 淳次郎といった面々も登場します。



【肥後勤皇党・神風連関連

『肥後の勤王』 後藤是山 (矢貴書店)
これは昭和18年発行のものらしいですが、私が読んだものは大正4年発行と書いてありました。旧字体のカタカナで書かれているため読むのは大変ですが、ペリー来航から池田屋事件までの肥後勤皇党の活動の全容がほぼわかります。永鳥伝説が記載されていたのもこの本。
本の画像も見当たらず、手に入れるのは相当大変そうですが、国立国会図書館
でどうも読むことができるようです。


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『肥後の尊皇 南朝維新の源流』 勇知之 (七草社)

こちらもかなり詳しいです。この本では、肥後が勤皇思想に目覚めるまでの経緯を古代からていねいに記述しており、林 桜園松村 大成(永鳥の兄)などの思想家の紹介、長州藩との関係、勤皇党の全滅や神風連の誕生など、一通りを網羅してあります。


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『神風連とその時代』 渡辺京二 (MC新書)

この本は恐らく手に入れやすいかと思います。こちらはけっこう筆者のかたの解釈や意見なども書かれており、中には辛口な記述があったりします。でも、内容は非常に詳しいですし、読みやすいので、勤皇党や神風連について軽くはわかるけども、も一歩踏み込んでみたい人におすすめ。


他に、肥後人がテーマになっている作品には、
やはりこの人 司馬遼太郎氏 『三条蹟乱刃』 があります。
これは、短編集 『新選組血風録』 内に掲載されており、架空の人物国枝 大二郎と我らが源さん井上 源三郎を主人公に、肥後人とバトルを繰り広げる話です。この話を読んだことのあるかたは多いと思うのですが、肥後側の視点でもう一度読んでみると意外と面白いかも。


実家に司馬さんの本が膨大にあるので、帰郷した際、名前だけでも肥後人が出ていないか猛烈に調べて自分でも若干引きました(爆) ほんっと名前くらいか台詞が一言あるかといったレベルで拾ってみますと(笑)、
『燃えよ剣』 (尾形 俊太郎、宮部 鼎蔵、松田 重助)
『十一番目の志士』 (尾形 俊太郎、河上 彦斎)
『翔ぶが如く』 (宮部 鼎蔵、河上 彦斎および神風連の面々)

の作品にもさらりとですが(『翔ぶが如く』は割とがっつりですが・・・)触れられていました!
特に『十一番目の志士』は尾形さんが一言だけ喋ります!
新選組小説である『燃えよ剣』でも喋らなかったあの尾形さんが!!
゚+.(*´pωq`)゚+.
でも別に細かすぎるのでほぼ肥後無関係ですけどね!(爆



週末に何故か長野に行くことになりました。
象山先生の記念館にも行くことになったので、とりあえず謝ってきます(爆