B-17のターボチャージャー | AIRPLANE NUT

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ブログタイトルは「ヒコーキきちがい」という意味です。航空ショーや航空博物館を見に行くのが趣味です。

上の画像は米国カリフォルニア・チノ空港の有名な航空博物館、プレーンズ・オブ・フェイムの屋外に展示されているB-17Gです。この機体のニックネームは「Piccadilly Lily」、映画「Twelve O'Clock High」に登場する爆撃部隊の司令官グレゴリー・ペックの乗機と同じ名前ですが、こちらは映画ではなくテレビ版に登場した機体だそうです。再び空を舞うことを目指して現在修復中です。

その傍らにターボチャージャーが展示されていました。これを見て私はあることに気が付きました。この画像、B-17の場合は下方が前方、右が下方、即ち機外に露出している部分です。ターボチャージャーは自動車などに広く使われている技術ですが、このB-17用のターボチャージャー、自動車用と少し違います。その最たる部分がタービンブレードでしょう。

上の画像の赤い部分がタービンブレードなのですが、このブレードは気流中に露出しています。画像の下方から入った排気はこの円盤状のブレードを回転させて外部に放出されてしまいます。円盤はシャフトでコンプレッサーブレードに繋がっていて吸入した外気を圧縮してエンジンに供給します。私は現地でよく見なかったのですが画像の上のほうの円筒に中におそらく円盤状のシャッターが軸を中心に開閉してタービンに供給される排気の量即ち過給圧を調節しているものと思われます。

 

自動車用の場合、タービンブレードは露出していません。航空機用のターボチャージャーがどのような開発過程を経てこのような形状になっていったのかは興味深く、今後の私の研究課題になりそうですが、航空機ではまず排気量がとても大きいのでこの一見効率の悪そうなタービンでも所定の性能は得られたということなのでしょうか。また、タービンの配置や排気ガスの流れに留意さえすれば乗員が健康被害を受けることも避けられることでしょう。

ちなみにB-29やP-47は外部にタービンが露出していないので現在の自動車のようなタービンがハウジングに内蔵されたタイプを使っています。B-29はオーバーヒートによる火災が多発したそうですが、このタービンの配置にもその一因があるのかもしれません。

私は若かったころ自動車整備の仕事をしていたのですが、子供のころに作ったP-38のプラモデルのターボと自動車のターボがどうしてもつながらなかったのですが、プレーンズ・オブ・フェイムでB-17のターボの内部構造を知って今更ながらあのP-38の胴体についているターボの中央にある変な円盤状の部分が実はタービンだったことを知りました。

実物にたやすく接しられる欧米の子供たち、きっと優秀な技術者も多く生まれれることでしょう。学問や興味は学校や教科書だけではなしえない部分も大いにあるのです。