『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』
監督🎬
【グレック・バーランティ】
ケリー
【スカーレット・ヨハンソン】
コール
【チャニング・テイタム】
ランス監督
【ジム・ラッシュ】
ルビー
【アンナ・ガーシャ】
黒人エンジニア
【ドナルド・ワトキンス】
白人エンジニア
【ノア・ロビンズ】
モー
【ウディ・ハレルソン】
配給[ソニー・ピクチャーズエンターテインメント]
本編[2時間12分]
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1969年
人類で最初に月面着陸を果たしたアームストロング船長の第一声。
「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」はとても有名な言葉で。
「That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind.」
その偉業から遡ること8年前の1961年。
人類初の有人宇宙飛行を成功させたロシアのガガーリンの「地球は青かった」も、とても有名な言葉だ。
アメリカはアメリカ中心で物を考えて、ソビエト連邦(ロシアソビエト共和国)も社会主義の下で自国中心でものを考える。
一方、日本は両国の歴史や名言を同じように教科書で勉強出来るから、偏らずに素敵だなぁと思いたいです。
私自身、学生時代に教科書に掲載されていたものは、大人になった今でも「知識」だと思ってしまう。教科書をコロコロ変えないでいただきたい。
では始めます。
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前書きとして。
アメリカ映画が自国の「偉大なる歴史・功績」を映画で紹介するときは、日本映画のように冒頭に(例「時は戦国・・」など)ナレーションを入れるなど説明をしないことを鑑賞の経験上、知っています。
あたかも世界中の人がアメリカの歴史を知っているかのように説明もなしに毎回話を進めていくのは、少し鼻につきますけどね(^^;)
だからこそ事前に予備知識があると理解度が上がると思います。
自分が知り得ている知識をmAb節で紹介するので勉強不足は否めませんが、そこは悪しからず贔屓目に読んでください。まずは時代背景から。
1960年代、米ソ冷戦時期。
1960年 共和党ニクソン候補との大統領選に勝利し翌1691年に第35代目大統領に就任したのがジョン・F・ケネディ大統領(1917-1963)。
後に元海兵隊員の青年オズワルドにより銃殺(説)されることになるケネディは、大統領就任年に「1960年代のうちに人間(アメリカ人)を月面に到達させる」と宣言します。これがアポロ計画。
アポロ計画の当初のゴールは「人類初の月面着陸を成功すること」。それまでの道のりは非常に非常に険しいものでした。
そもそも有人ロケットで月まで行くということ自体が夢物語で、宇宙飛行士を乗せたアポロ1号は訓練中の火災で焼死しています。
思想の違う国同士が直接は戦わず、代理戦争を行った冷戦。冷戦は実に40年続きました。
その最中には戦争であったり、主権争いという沢山の意地の張り合いをしていて。
特に有名なのがアメリカはロシア(ソ連)との宇宙開発競争。先に実現した方が・・簡単に言えば勝った負けたという強国同士の意地の張り合い。今は中国が参戦。
ロシアが有人宇宙飛行を成功させれば、じゃあアメリカは月に宇宙飛行士を下ろしてみせる、と。
(宇宙を制したものが地球を制するとでも思っていたのでしょうか?)
アイゼンハワー前大統領(共和党)が1958年に設立したのがアメリカ航空宇宙局・NASA。
NASAを引き継いだケネディ大統領は就任から僅か2年で暗殺されますが、ケネディの打倒ソ連・月面着陸・宇宙事業開発への悲願は、彼が亡き後もジョンソン大統領政権下で引き継がれていきます。
私の年齢的(80年代生まれ)に、冷戦時代のベトナム戦争もそうですし、ベルリンの壁崩壊・ソ連崩壊も子供の頃すぎて記憶に薄く、「歴史の教科書」で詳しく知ったという認識です。
映画【主にハリウッド】を好きになってからは、1960年代を描いたアメリカ映画はよく観てきたので「アメリカ側の描写」では少し語れます。
1969年
ここからがこの映画のスタートになります。
民主党のハンフリー候補との大接戦に勝利した共和党のリチャード・ニクソンが大統領に就任し、再び政権交代となり、成果を上げていないNASAへの風当たりは悪くなっていく。
私はアメリカの国民感情は分かりませんけど、日本よりもはるかに政治に関心が高く、多くの国民が支持党に熱狂的なのは分かります。
トランプ元大統領とバイデン現大統領の前回の政権交代で、それまで行なっていた事業計画(例を出すとメキシコ国境線の壁)も途中で中断する様子などをニュースで見て、結構驚いたタチです。
故ジョン・F・ケネディがアポロ計画を宣言したわけですし、民主党の支持者は無念だろうな。
この映画は、アメリカのアメリカのためのアメリカ映画らしく、(知っていて当然と)詳しい説明や紹介もなしに展開していくので、こうした背景をある程度、事前知識として勉強した上で鑑賞することをお勧めします。
映画は1969年(時間の経過が分からないので前年68年辺りかも知れません)から始まりますが、上で少しだけ書いた時代背景も、鑑賞にあたっては理解度を深めるために大切だと思い受け売りですが紹介させて頂きました。
では改めて映画が描き始める時代から、紹介します。
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訓練中の有人ロケットで火災が起き、3名の宇宙飛行士が殉死したアポロ1号(1967年)。
NASAの職員達は、ケネディ元大統領が生前に残した「1960年代のうちに月面着陸を成功させる」という期限を、何とか守ろうとしていたが、現実問題は非常に厳しいものであった。
さらにベトナム戦争が勃発し、1969年に大統領がジョンソンからニクソンへと代わる。
(ベトナム戦争はアメリカとソ連の代理戦争と言われています)
テレビでは連日ベトナムの状況を映した現地からの中継が注目を集め、10万人が参加したペンタゴン大行進(1967年)など、全米では反戦運動が起こっていた。
遠いベトナムの地では今この瞬間も生命が奪われているのに宇宙事業に大金を投じる意味はあるのか?
高い予算を使って失敗続きのNASAに対して国民の関心は薄れていく。
この状況を打破するために、アメリカ政府が秘密裏にスカウトしNASAに送り込んだのは、【ケリー】という名の一人の金髪女性だった。
ケリーは販売促進のプロではあるが、幼い頃から詐欺師として人々を騙し、行く先々で名前を変えては全米を渡り歩いてきた人物である。
米国政府関係者の【モー】は宇宙開発のPRマーケティングとして彼女に目を付け接触。ケリーを口説き落とす。
ケリーは早速、相棒の秘書ルビーと共にケネディ宇宙センターがあるフロリダへと飛ぶ。
詐欺師としての能力は非常に優秀で勉強熱心。素顔の彼女も純粋な性格で勤勉だった。
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NASAの職員でアポロ計画の発射責任者である【コール・デーヴィス】は、夜のダイナーで資料を読み漁っていたケリーに一目惚れする。
「君のような美人は見たことがない。僕は予定があるので行かなければならないが、それだけは伝えておきたいんだ。」
二人は互いに好印象のまま、その日は別れた。
翌日。
初出勤の日。
ケリーは秘書と共に観光バスに乗り、堂々とロケット開発の関係者施設に足を踏み入れていき、アポなしでその場にいた職員達にインタビューしていく。
部外者が関係者施設に入ってきたと思い慌てて駆け寄ったのは、アポロ計画の発射責任者デーヴィス。
昨夜一目惚れした女性との再会の喜びはなく、彼女の強引な言動や行動に腹を立てる。
政府関係者モーの命令でケリーを受け入れるが、納得はしていないデーヴィス。
その後、しばらく二人の犬猿の仲は続く。
宣伝部は窓がなく殺風景な倉庫だったが、ケリーは勝手に壁を壊し(NASAのエンジニア達を使って)窓を取り付けさせるなど好き放題。
だが、アメリカ政府が目をつけただけあり、ケリーのマーケティング能力は非常に優秀で、資金集めや印象回復など次々に成果を上げていく。
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アポロ1号で殉死したパイロットの慰霊碑に花を備えるのが日課のデーヴィス。
彼にとってアポロ計画の成功は人生を懸けた悲願である。
故ケネディ前大統領が掲げた「1960年代のうちにアメリカは人類初の月面着陸を成功させる」の公言を達成すべくNASAは尽力する。
デーヴィスやNASAの人々との交流を経て、流浪人であるケリーの心の拠り所も良き方向へと落ち着いていく。
1968年12月から半年間で3度の有人飛行(アポロ8・9・10号)に成功するNASA。
そして1969年7月。人類史上初の月面着陸を目指すアポロ11号に世界中が注目していた。
ケリーは月面着陸映像を撮影しテレビ放送するため着陸船にビデオを詰め込むという斬新なアイデアを提案するなど、今までの常識を覆すアンビリーバブルな発想を次々に実行に移す。
船長のアームストロングらを広告塔にし、様々な企業をスポンサーにつけ、イメージの回復と資金集めなどに尽力。
そんな中、政府関係者のモーが再び彼女の前に現れ、秘密裏にとんでもない計画を実行させる。
それは月面着陸が成功しなかった、もしくはビデオカメラが正常に機能しなかった場合の保険として、ケネディ宇宙センターの敷地内に、月面そっくりのセットを造り、月面着陸映像をLIVE撮影するという捏造工作だった。
ケリーは命令を受けるしかなく、知り合いの映像監督を呼び、役者を揃え、無限の予算を使い月面セットを完成させる。
(秘書、政府関係者、主人公、捏造監督)
そうしていよいよアポロ11号が月面着陸に向けて地球を飛び立った。
その裏ではケリーを責任者にした捏造工作撮影が、同時進行していたのだ。
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・・・という感じの内容です。
この映画を見て、非常に感動したし、知識を入れられたので勉強になったのですが、
全体的に、描いている部分は結構胡散臭かったです(^_^;)
1969年の「月面着陸はあった」、だけど「月面着陸映像はなかった」、というのがこの映画が描くミソです。
80年代生まれの私は月面着陸はリアル世代ではありません。60年代生まれの父親が子供の頃にテレビで見たという話を聞きます。
その父親に「月面着陸の映像は嘘かもしれない」と伝えると「そんなことはない!」と断言して少し不機嫌になるのです。
世代ではない私は、嘘だったとか捏造だったとか、真実と嘘の議論を見聞きするたび、可能性としてその都度信じることができます(受け入れられる)。
だけれど、それはあくまでも都市伝説で、この映画のように「捏造しようとしていました!」とハッキリと描いてしまうと、私はハリウッド映画が好きですし都市伝説も好きなので、結構信じてしまうものなんですよね(^◇^;)
だからと言って、テロップで「これはフィクションです」と表記してしまうのもハリウッド映画的には違うと思いますし、、、うぅん真相は
闇の中というこれまでと同じ解釈で宜しいのでしょう。
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続いて疑問点を。
アメリカ政府が犯罪者をスカウトすることは、よく映画のネタにされていますし実際にあるのだと映画の見過ぎで納得するようになりました。
成功報酬は罪を消すこと(政府は目を瞑る)が通例です。
今回は女詐欺師ですが、国が犯罪者を雇うのだから、それほど時間との戦いなのだと単純に考えます。
ケネディ元大統領は、60年代のうちにアポロ計画を成功させると宣言して暗殺されたわけで、劇中ではタイムリミットまで1・2年という辺りから描かれています。
アメリカvsソ連の「冷戦」の象徴であるベトナム戦争が激戦化し、国民のアポロ計画に対する関心は薄れ始めていきます。
そこで再びスポットライトを当てようと政府が考えたのは、アポロ計画をもっとPRすること。
そのPRのマーケティングの人材として、全米各地で詐欺を働いて生き抜いてきた主人公を政府がスカウトするのです。
時間との戦い(タイムリミット)なのは間違いありませんが、
政府の役人が秘密裏に自分に近づいてきて仕事を手伝えと依頼する。
首を縦に振らなければどうなるのかくらい、幼少期より人間相手にサバイバルしてきた主人公は分かっているのでしょう。交渉は数分で成立し、次のシーンはフロリダ行きの飛行機の中です。
前置きに「ケネディの是が非」があるとしたら、もう少し前提にして描いて欲しかったです。
ドラマなのでコメディともラブストーリーとも取れる見易い映像ですが、そこまでの緊張感・緊迫感は伝わってきません。
映像も演技も作品自体も非常に熱の入った良い映画、と言うことを前提にして、苦言を呈すれば、まず冒頭からです。
NASAのセキュリティーが、この映画を見ている限りだと、非常に甘いです。
主人公のケリーが政府に雇われPR部長となりフロリダ入りするまでは分かりやすいですが、出勤初日の様子がよく解りません。
ケネディ宇宙センターで観光客が乗る2両バスに乗って移動。乗客は主人公と相棒の二人だけ。
「ここは何の施設?」と運転手に聞いて「ここがいいわ」と下車。
観光ガイドを兼ねる運転手のセキュリティIDを奪って、腰をクネらせながら、堂々と関係者施設に入っていきます。
女性に強く言えない運転手は「ちょっとちょっと」と小走りで追いかけていくだけ。
主人公のケリーは施設内に入って、今日からマーケティング部で働くケリーよと自己紹介し職員らに話しかけ、そこからはNASAの職員として扱われるのですが、この入りは個人的には頂けません。
映画だからコミカルに描いていますが、国家事業の有人ロケットを作っている施設です。
仮に彼女がソ連のスパイだったら大問題になるようなシーンだと思うので、セキュリティーはどうなっているんだろう?と(^◇^;)
ソ連のスパイ、十分考えられると思います。映画では一切、疑いの目を向けていませんが、そういう可能性は考えなかったのかな?
もう1つ。
映画の中盤のシーンになりますが、月面着陸の捏造映像を制作するために、主人公の知り合いの映像監督が抜擢されるのですが、
その監督と撮影チームが、最初の主人公同様、普通にNASAの施設内に入ってきて「どうやって入ってきたの!?」とビックリします。
いや普通に正面から入ってきたんだ。絶対に口外できない秘密事項なのよ。と墓場まで持っていく撮影のオープニングですが。
私はこのシーンで思うのです。ほらね、やっぱりセキュリティーがいい加減なんだと。
もちろん、実際はどうかは分かりません。あくまでこの映画では1968・9年のケネディ宇宙センターの関係者施設のセキュリティーが甘いことをコミカルに描いていたので気になったまでです。
繰り返しになりますが、
この映画でもう少し私が望むのは「緊張感」だったり「緊迫感」なんです。それはNASA側の描き方に感じます。
主人公は楽しみつつも、あくまで仕事として行動しています、前半までは。流石にアポロ計画ですから中盤以降は人類代表の責任感みたいなものもありますが、映画の入りからしばらくは「いつもの仕事」です。
NASA側は、今回開発エンジニアが中心なので、政府や国の様子は描かれません。
職人も「いつもの仕事」をしている感じで、黙々と自分の仕事に専念しています。
劇中のセリフに「ここで働くロケット開発のエンジニアの平均年齢は20代だよ。」とあるように、中高年はほとんどおらず20代の若者ばかりです。
20代のエンジニアが中心、ということは
アポロ1号の火災事故を知る世代ではないと思いますので、チャニング・テータム演じるコールなど、中高年世代のNASA関係者とは、やはりどこか温度差があるのかなと劇中の様子を視ていて緊張感のなさを思いました。
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この映画を見ると、ケリーがNASAの職員になる前は、作って飛ばして、それだけの繰り返しだったのかな?と思ってしまうのです。
男性社会のNASAや軍隊や科学者たちの中で、ケリーは女性目線の発想と起点・要領の良さで新風を吹かせます。
彼女がフロリダ基地に着任してから、宣伝部の部長というポジションだったケリーはかなり重要な役目をいくつも担っていて、アポロ計画に欠かせない資金集めや議員達の人付き合いも彼女がさりげなくサポートして達成していくのです。
さらにアポロ11号にビデオカメラを搭載することを提案したのも主人公のケリー。責任者は絶対に不可能だと言いますが、ここも政府関係者のムーの一声で決行へと向かう。権限を持ったムーは彼女が決めたことは実現させるべき全て肯定します。
となると
資金集め然り、この映画を見ると、
もし「彼女がいなければアポロ計画は成功しなかった」と言い切れるくらいの存在感です。
(こういう印象1つで成功か失敗かが変わってしまう。彼女はそこがよく解った上で行動する。)
そこには彼女の人柄の良さが大きく影響していますし、女詐欺師という「嘘」が観客の意識から霞むほど、本当に人柄の良さが全面に出ています。男性からすれば「良い女」ですし「出来る女」です。
しかし、それらを見ているぶんにはとても幸せな気持ちになる映画なのですが、劇中に客観視して考えていると、あの天下の1969年のアポロ11号の、ケネディ宇宙センター内の裏側のドラマが、とても狭い内輪の中で済ませている気がしてならないのです。
ケリーが基地到着(侵入)時に最初に話しかけた黒人と白人の若い技術者だったり、恋仲となる男性が発射責任者だったり、昨日今日知り合ったようなアームストロング船長や宇宙飛行士達を広告塔に使うコミュニケーション能力の高い敏腕ぶりだったり、数千・万の規模の人間が関わっている中で、狭い内輪の中で話が展開していく描写は、スケールの小さくしているような気持ちになりました。
また、他のNASAの女性スタッフは、一塊でテレビの前などで集まっていますが、彼女のように当時のNASAに「目立った存在がいたのか?」は劇中内で知りたかったところです。
彼女の補佐役で相棒の秘書ルビーもいますが、基本的に劇中で活躍するのは主人公のみで、男社会の中で完全に紅一点という描き方ですから、そうした事実は実際にどうだったのか?も劇中内で知りたかったところです。
映像は圧巻でロマンチック、人情ドラマは良い意味でも悪い意味でも消化不良、と言ったところでしょうか。
今はもう少なくなったアメリカ映画のジャンルになると思います。
それがラブストーリー。20世紀後半は多かったけれど、時代の流れでしょうか。
今作は正確にはラブストーリーではないですが、アメリカンドラマとして楽しめました。
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ベトナム戦争とアポロ計画の同時進行の様子も、両方の描写や熱度を同時に伝えるのは難しいと思いますので、
結局アポロ計画が成功すれば戦争(反戦)の意識は国民の中で薄れるわけで、この映画の後半もアポロ中心になっていました。
自分はトム・ハンクスのファンなので思い入れがあるのは『アポロ』ですが、こうして舞台裏だったり、裏方側の描写は新鮮です。
ましてや「月面着陸の捏造」という「説」に焦点を当てるので、ミステリー好きにはたまらないでしょうし、月面着陸の瞬間を描いた映像は中高年の胸を打つでしょうから、楽しめる要素も詰まっていると思います。
冒頭にも書きましたが、以前、「月面着陸の映像って作り物なんだって」と父親に噂を伝えたところ「そんなわけがないだろ、この目で見たんだから」と少し怒られました。リアルタイムでテレビに齧り付いて見ていた少年mAb父やその世代は、この映画を絶対に信じないでしょうね(笑)
兎に角この映画で私は【スカーレット・ヨハンソン】[39]がとても可愛らしく観えて、目の保養になりました。
彼女にスポットライトが当たった21年前の映画『ロスト・イン・トランスレーション』(04)はミニシアターまで観に行きました。
今では絶対に出来ない東京の渋谷でハリウッド映画のゲリラ撮影を行うという強引さ。スカーレットもコッポラもその時から好きな人物に。
今までは好きな女優の一人、これからは・・好みの女優さんです(笑)
そして偶然だと思いますが、アメブロの画面を開くと「あなたが◯年前の同時期に書いた記事です」みたいな表示が出てきますが、
2年前に投稿したのも【チャニング・テイタム】[44]主演の映画『ザ・ロストシティ』でした。
テイタムは自分が映画を観るようになった時期以降に出始めたハリウッド俳優なので、男性ストリッパー役を演じた2012年『マジック・マイク』の大ブレイク時からの出演作を結構劇場で観ています。YシャツよりもTシャツを着ているイメージが常にあるので、夏上映向きの俳優なのでしょう。
それと今回の映画、主役が若い男女ではなく、40代前後の未婚の中年男女というのも良き。
いい年齢である独身の男女が、お互いに好意があるのは映像で分かるのに、学生のような恋愛をしているのも・・じれったくて良かったです。
スカーレット・ヨハンソンの2歩後ろに下がる姿勢や、男性を立てる言動や所作はナデシコのようで。
男性目線で申し訳ありませんが、親や友人親戚など誰にでも紹介できるような、素晴らしく容姿端麗な女性。
そんな彼女が実は刑務所に入れられてもおかしくない詐欺師というから、人間は分かりません。
(傘、小っさ(・Д・))
最後に。
この映画のタイトルである有名なジャズソングでもある『Fly Me To The Moon』
直訳すると『私を月に連れて行って』。
メジャーリーグ中継を視聴している時に7回に『私を野球に連れてって』が流れるのがお馴染み、日本でも原田知世さん主演の『私をスキーに連れてって』という映画が1987年にヒットしました。
多様性の時代で、「男らしく」「女らしく」などと、男女に区別をあまり付けてはならなくなりましたが、
私が昭和生まれの人間で年齢もアラフォーの中年男性になったので、こうして女性に「◯◯に連れてって」とねだられると、首を縦に振りたくなります(笑)
例えば私利私欲のために「私にヴィトンのバッグを買って」とかじゃなく(笑)
こういう女性が男性に目標を与えて、男性が意気込むという感じ。それが誰もが見上げる月なのだから、個人的にとてもロマンチックと思います。
『タッチ』の浅倉南の『私を甲子園に連れてって』も正にそうですね。「よし、やってやるぞ!」と心に火がつきます。
正直、この映画の邦題もカタカナにするより、『私を月に連れてって』にした方が、日本ではさらにヒットするのでは?と思ってしまうほど・・男心をくすぐるタイトルです。
さぁ、あなたもロマンチックな宇宙旅行へ。
3、2、1、イグニッション、リフトオフ!
脚本 15点
演技 15点
構成 12点
展開 13点
完成度15点
[70]点
【mAb】