『あのコはだぁれ?』

 

 

 

1992年 千葉県の中学校の校舎屋上から女子生徒の転落事故が起きる。

 

 

このシーンの登場人物は5名。

 

 

(手摺や柵がない)屋上で女生徒1名が女生徒3名(ABC)から何やら問い詰められている状況。

 

 

それを校舎下から目撃した女教師が「何しているの!?危ないでしょ!」と慌てて屋上へと駆けようとする。

 

 

再び屋上に戻る。

 

 

突然強い風が吹き、3人のうちリーダー格の女生徒がバランスを崩し空中に飛ばされる。

 

 

かろうじて縁の部分に指をかけ、持ち堪えようとする。

 

 

友人BCは必死に友人を助けようと声をかけるが、彼女の手を掴んでいた女生徒は彼女にだけ聞こえるように「あなたの音を聞かせて」と微笑み、その手を引き剥がしていく。

 

 

泣き叫びながら落ちていく女生徒。

その瞬間を目撃している2人の女生徒。

 

教え子の死亡事故に遭遇した女教師。

その音を満足気に聞いている女生徒。

 

 

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それから時は流れ、32年後。

 

 

2024年7月。千葉県。

 

 

君島ほのか(今作品の主人公・以下ほのか)は、駅のロータリーで彼氏の七尾悠馬(以下・悠馬)を待っている。

 

 

スマホに目を移し、「(今日)会わせたい人がいる」という悠馬とのLINE画面を見ているほのか。

 

 

しかし彼女の前に現れた悠馬は、ほのかの数メートル手前で車に撥ねられてしまう。

 

 

猛スピードの車に撥ねられた悠馬は、ロータリー脇に設置された自動販売機まで飛ばされる。

自動販売機に直撃し、地面に落下すると、その自動販売機下に半身が入る状態となった。

 

 

「悠馬・・悠馬・・いやぁぁあああ!!」

ほのかは泣きながら駆け寄り、助けを乞う。

その場にいた女子中学生を含む、通行人たちの協力のもと、悠馬を自販機下から引き摺り出す。

 

 

この時、悠馬を引っ張ろしていたほのかは、自動販売機の下でそれを妨害しようとする青白い少女の姿と、出会った。

 

 

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悠馬は奇跡的に一命を取り留め、植物状態となりながらも病院のベットで生きていた。

 

ほのかは悠馬の病室を見舞い、そこで「彼」の保護者である施設長で出会い、「彼」が育った児童養護施設を訪れ、「彼」の痕跡に触れる。

 

 

しばらくして。

 

 

中学校の臨時教師として、夏休みの補習クラスを受け持つことになったほのか。

 

 

 

 

新任初日。

 

 

補習クラスは5人と言うことで人数分の問題用紙を配るが、

 

 

「先生、用紙が1枚足りません」。「うわぁ、先生がイジメかよ」。「ごめんなさい、おかしいなぁ」。

 

 

慌てて6人目の席へ駆け寄り、用紙を手渡しする。

 

 

 

 

補習の時間。

 

 

窓際後ろから二番目の席に座る三浦瞳(この映画のヒロイン・以下瞳)は、後ろの席に座る高谷サナに声をかけ、ノートを手渡す。

 

 

瞳は昨日の放課後に、一人でピアノを弾いていたサナを気にかけ一緒に連弾し、しばし交流していた。

 

この時はいつの間にか彼女の姿が居なくなり、そこに置いてあったノートを持ち帰った。

 

 

 

 

「はい。これあなたのノートでしょ」

 

嬉しそうなサナ。

 

 

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サナは物静かで無口な女生徒だったが、補習中に突然鼻歌を歌い始め、周囲から気味悪がられる。

 

 

突然歌い出したことを、攻撃的に指摘した女生徒マリ。睨みつけるサナ。

 

 

(そうしたやりとりがあったのち)

何気なく窓の外を見たほのかはゾッとする。向かいの校舎の屋上のヘリに高谷サナが立っていたからだ。

 

 

授業を中断し、生徒を救うため慌ててその場所を目指し駆け出すが、ほのかが校舎下に到着すると、屋上に立つサナは「わたしの歌、聞いて!」と口にし飛び降り自殺をする。

 

 

クラスに残った生徒達は、ベランダからサナの飛び降り自殺の瞬間を目撃していた。

 

 

だが、横を見てさらに驚くことに。

 

 

彼らの横には死んだと思ったサナが立っていて、飛び降りていたのはさっきまで一緒にいたマリだったのだ。

 

 

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女生徒の飛び降り自殺というショッキングな出来事が起こった。

 

 

その後、警察による現場検証が行われる。

 

 

(夏休み中の学校で起きた事故ということで、生徒の数は補習クラスの生徒のみ(という解釈))

 

 

ほのかは、そこで川松良江校長(以下・川松校長)と初対面する。川松校長は冒頭1992年の転落事故時に登場した女教師である。

 

 

あの時と同じ(落下)場所で、また生徒の死亡事故が起きた・・ほのかに説明する校長。

 

 

事故を聞き我が子を迎えにきた補習クラスの保護者(母親)の中には、1992年の転落事故の際に屋上にいた3人の女生徒のうち2人がいた。

 

 

「俺らの母親の時も、あの場所で死亡事故があったみたい」

 

「えっ、お前らの母親って、ここの卒業生なの」

 

頷く瞳とタケル

 

 

(※セリフは正確ではございません)

 

 

目の前で友人の転落事故を目撃した2人(現在の母親)は、しばらく学校に通うことが出来ない精神状態となり、その後32年間、頻繁に心霊体験をする体質になっていたが、多くは語ろうとしない。

 

 

今回の事故で32年前のトラウマが蘇り、パンドラの箱を開けてしまったようにパニックになりながら、先生(校長)に挨拶をし、子供の手を引き帰るのだ。

 

 

___

 

 

 

逢魔時(オウマガトキ)。

 

 

ほのかは、補習クラスの生徒の中で、唯一保護者の迎えがなかった高谷サナを家まで送り届けることにする。

 

 

サナの家に到着すると、在宅していたサナの両親に迎え入れられ、しばらくリビングで世間話をすることに。

 

 

サナの母親は妊娠中の身で、仕事中心の父親(夫)への愚痴を口にする。

 

ほのかの目線の先には襖があり、奥の部屋では高齢で寝たきりの老婆がいるという。

 

 

サナと母親で介護をするのが日課のようだ。

 

 

しばらく談笑していく中で、奇妙な時間の歪みが起きる。

 

 

ほのかは、何度も何度も同じ話(やり取り)を繰り返し始めた高谷夫妻の奇妙さと、この空間の居心地の悪さを感じ始めた。

 

 

理由をつけて席を立とうとすると、食べていたお茶菓子の箱に書かれた賞味期限は32年前のものに変わり、衝動的に吐き出す。

 

 

一悶着あり、絶叫しながら高谷家を出ると、先ほどまで滞在した高谷家は廃墟と化していた。

 

 

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高谷家前の道路。

 

 

ほのかを心配した川松校長が車で到着する。

 

 

川松校長は32年前の卒業アルバムを持参していて、それをほのかに見せる。

 

 

そこには、ほのかや生徒達が今日一日行動を共にしていた高谷サナが(少しピンボケ気味で)写っていた。

 

 

 

 

廃墟には「娘殺しの家」「殺人事件が起きた家」などと沢山の誹謗中傷の落書きがされており、ほのかは壁から、この家で過去に起きた残虐事件を記した週刊誌の記事を見つけて、剥がして持っていく。

 

 

高谷サナは両親の手によって32年前に殺害されていた。

 

 

32年前の転落事故、32年前の高谷家で起きた高谷サナの殺人事件。

 

そして32年後の現在に、転落時に一緒にいた女生徒の子供が通う学校で、再び起きた飛び降り自殺。

 

 

果たしてあの子は誰なのだろう?

 

 

 

監督🎬

【清水崇】

 

 

君島ほのか

【渋谷凪咲】

 

七尾悠馬

【染谷翔太】

 

 

三浦瞳

【早瀬憩】

 

タケル

【山時聡真】

 

 

生徒役

【荒木飛羽】

【蒼井旬】

【今森茉耶】

 

 

川松校長

【今井あずさ】

 

 

児童養護施設の施設長

【たくませいこ】

 

 

校長の教え子の元探偵

【マキタスポーツ】

 

 

高谷さな

【穂紫朋子】

 

 

 

配給[松竹]

本編[1時間47分]

 

 

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7月19日公開。

 

この映画の何が凄いって?それは何と言っても公開する7月第三週にライバルがいないという運。

 

夏休みに入るタイミングで、コロナ以降の国民のシネコン離れ+『キングダム』やアニメの国内映画以外、ほとんど競合がいないという運。

 

稼ぎ期の夏休み期間の割に公開作品が少ないからか、松竹映画であるのに、東宝を始め、多くのシネコンが今作を上映するという運。

 

そしてCMでも予告を観る機会が多く、CMでは珍しく劇中のバケモノ登場シーンを流していました。

 

 

 

特に観るものもないなら、ホラー映画を見ようと思われる方も正直いるのではないかな。

 

 

年々、洋画の上映数がシネコンで少なくなる=(結果)映画館に行かなくなりました。

年間150日は映画館で映画を観ていた(×約20年)「映画は日常の一部」となり鑑賞していましたが、現在はそういう状態です。

 

 

だけど今作品は、他に興味の湧く映画がない中で、公開前から「おそらく面白い」と期待していた作品なんです。

 

 

では少し語ります。

 

 

ホラー映画に疑問や矛盾は憑き物です。驚愕こそしますが文学ではございません。

今作品も「えっ、どうしてこうなるの?」「結局、何を描きたいの?」「これ矛盾していない?」など鑑賞中は何度も思いました。

 

 

ただ、いつもホラー映画に対して作中に終始付き纏う疑問・矛盾点が、今作品では少なかったことは及第点です。

 

 

(ここで言う「ホラー映画」は全国のシネコンで公開出来る有名監督が撮った採算が見込める商業日本ホラー。)

 

 

そもそも「ないもの」を描くわけですし、ないものを「あるもの」として描いたとしても、正解はありません。

 

 

幽霊やバケモノは基本的に話が通じませんから(笑)

やめて!と叫んでも、やめてはくれないのが定石。

 

 

脚本も筋書きはしっかり描けていても、間々の展開が飛び飛びだったりするのは、良い意味でも悪い意味でも観客は妥協するしかないですね。作り手にとっては不本意だとしても。

 

 

【清水崇】監督の代表作は『呪怨』。最近では『村シリーズ』が当たり。いずれも無差別殺人の化け物ホラー映画←と私は解釈している。近寄っただけで殺されてしまうという・・何と言うか、まぁ酷い(^_^;)

 

 

今作品もバケモノの弟の名前がトシオになるので、鑑賞中は、あの呪怨のブリーフ少年を想起します。

 

 

初期の頃の清水崇監督に対する私の印象は、とにかく恐ければ何でもいい、という臨場感を表す監督で、登場人物は全員不幸な結末になるという・・何とまぁダークなホラー映画が多かったです。

 

 

ある程度、どんなジャンルでも、映画作品には理屈や逆算性が必要だと考えている私にとっては、そうした理由で、(商業ホラーが好きなので)観るには観るけれど苦手な監督でした。

 

 

しかし現在は、やはり年齢の影響なのか、初期の作品には少なかった理屈付けが作風の中で表れるようになった気がします。

 

 

家庭内で悲惨な死を遂げた女性が、死後怨霊と化し、言うなれば最強の超能力幽霊となって、近寄ったものをあの世へと引きずる。

 

 

これ、果たして何の目的や意思があって、こんなに大量殺人を繰り返しているのでしょう?

何十人も霊界に連れて来たら輪廻転生して生まれ変われるとか?そういうノルマがあるわけでもないし。

伽耶子に関しても今作のサナに関しても、早く成仏してくれ!と祈るばかりです。映画が続かなくなりますが。

 

 

呪怨の時もそれまでのホラー映画の暗黙のルールを壊してヒットした印象だったので、そういう風雲児タイプの若いクリエーターが新しい時代を作っていく流れだったのかと今になって思います。

 

 

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とても巧みなホラー映画だと思います。

 

 

少ない登場人物を上手に活用していて、撮影箇所もそれほど多くないと観ていて思うので、赤字経営にならない様にする熟練の匠の技と効率の良さを感じます。

 

 

実際には様々なロケ場所で撮影されたと思いますが、私がパッと思い出した時の映画のシーンは、駅のロータリーと学校と病院の病室ぐらい。

 

 

ホラー映画は若手俳優の登竜門とも言われていますし、出演料の高い有名俳優はそもそも起用されないのがセオリー。

 

 

日本映画の基本は商業映画なら特に赤字にならないように制作しますが、今作品は前述に記したように、夏休み期間のシネコンで他に競合作品も少ないので、間違いなく大黒字でしょう。

 

 

ちなみに「怖い、怖くない」は各々の感覚の話なので、私には分かりません。

 

 

私の感覚ですと、通常1時間半の商業ホラー映画で、幽霊登場シーンは数コマあればいいと思っています。ラストに大きな見せ場があればいいと。

 

 

しかし、清水崇監督はバケモノの出現率が高めなのと、登場人物の数に対してバケモノが出現する作風が多いことで、見せ場という見せ場がなく、最初から最後まで何かしらの驚かしを用意するエンタメタイプの作風。

 

 

あゝなるほど。登場人物が少ないからジェットコースターホラーが描けるのか。

 

 

今回は夏休みの補習クラスなので、生徒は6名のみ。こう設定することで全員の最期の瞬間を描ける+中間でバケモノの過去を描ける。

これが平時のクラスで描くと、20数名になると思うので、そうすると監督の作風上、数分間隔で20数名1人1人vsバケモノ物語を描くと思うと、そうした非常に忙しなくなる。だからこういう少人数の登場人物設定が多いのか・・・と独り言を呟いてみる。

 

 

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主演に元NNB48の【渋谷凪咲】さん。大喜利のお姉さん。

バラエティータレントの印象が強いので、ホラー映画でギャップを期待して鑑賞する。

 

 

テレビで拝見するキャラを知っているので、いい意味で想定通りという感じでした。

この方の一番の良さって「人の善さ」だと私は思います。画面を通してですが人柄が伝わってきて、観ていて嫌な気持ちに全くならないです。

 

 

 

 

演技自体もこれからの女優さんだと思いますし、声も低音が通るので、群雄割拠のこの時代で抜け出て欲しいですね。

 

 

他の出演陣も生徒役は初めて演技を拝見する方が多かったですが、いい意味で無難でした。

 

男子生徒3名がサナに操られて、最期の歌を口ずさむシーン。演出だと思いますが、団体芸って感じで凄く良かったです!

 

 

主演の年齢設定も20代中盤と染谷翔太くん演じる30代男性のカップルなので落ち着いた雰囲気が出ますし、先生役も生徒役もフレッシュで、そうしたキャスティングの甲斐もあり実力差を感じずに違和感なく鑑賞できるのでしょう。

 

 

大人出演者から

 

 

校長先生を演じた舞台女優の【今井あずさ】さんは庶民感があって良かったのと、校長の32年前の教員時代を演じた【堀桃子】さんも味があって良かった。

 

 

もうひと方。

ヒロイン瞳の母親役を演じたクワバタオハラの【小原正子】さんが演技の見せ場を作っていて良かったです。

 

 

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少しだけ疑問・矛盾点を。

 

 

夏休みの補習クラスに集まった生徒が、異空間世界に巻き込まれる学園ホラーの脚本です。

 

 

最初に違和感に思ったのが集まる設定。

補習って・・学期末に赤点を取った生徒が集まるものでしょ。

 

 

中学生という設定なので、もうちょい見た目は派手な子のほうが説得力が生まれるかな。

 

もしくは最近の子は大人しいと言いますので、劇中のように模範的な女生徒や優しそうな男の子が、出来が悪いってこと?

 

 

特にヒロイン瞳役を演じるの注目女優【早瀬憩】さん[17]。

 

 

 

この子の見た目で「補習クラス」(おバカ)ってイメージが出来ません。どの教科やらかしたの?(^◇^;)

 

 

(デビュー当時の元乃木坂の堀未央奈さんをベースに櫻坂の小島凪沙さんを足したようなお顔立ち。良い(^ ^))

 

 

瞳は放課後に1人でピアノを弾いているサナを見かけて、一緒に連番してくれる優しい女の子で、性格や喋り方から補習授業を受けるようなタイプには見えません。

 

 

その点はキャスティングの事情があると思うので、いち鑑賞者の意見ですが、

 

個人的には「夏休みに補習授業を受けるような生徒」役のキャスティング(偏見的なイメージですが反抗期真っ只中の見た目)ではないような気がします。

 

 

 

 

瞳の幼馴染役もそう。

 

 

この色白メガネの好青年が補習を受けているって、少しショックですもん(^_^;)

 

 

(日テレの学園ドラマの時も思ったけれど、旧ジャニーズの横山裕くんの若い頃を彷彿とします。)

 

 

唯一、そのイメージが見た目的に出来ていたのは、鼻歌を歌うサナに「ウルセェよ」と言って(関わりを持ったことで)死亡フラグが立ったマリ役の生徒くらいで、他の生徒は夏休みに補習を受けることになった理由を知りたかったです。

 

 

もしかするとタイトルが『あのコはだぁれ?』で漢字が1つも使用されていないのが引っかかっていたので、この生徒達は国語が苦手で補修を受けているのかも知れないなぁ・・とそんなわけないかぁな?。

 

 

 

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日本ホラーのそもそもの良さは、雰囲気で緊張感を表す「想像性」の増幅。

 

 

例えば、ホラー映画を見に行って、広い部屋に椅子が一脚だけあるシーンがあるとします。

 

ここで観客に想像力が生まれます。幽霊が出るのだろう、だとしたらいつだろう?などなど。

 

 

そういう想像する緊張感を与えておけば、

仮に幽霊を登場させず、空振りに終わらせても、主人公が振り向いた目線にバケモノをバーンと登場させればいいわけで。要は想像させる時間をたくさん作れば、そうした相乗効果や心理状況を作り出せるわけです。

 

 

ホラー映画の場合は説明をしなくても、勝手に観客が想像してくれるのが良さだと思っているので、あえて驚かしたり、驚かしが多すぎるのは、得策ではないかも知れませんね。

 

 

今作品は比較的、観客が「どういうことだろう?」と想像するように進行しており好印象でしたが、唯一、高谷家を訪れた主人公が、寝たきりの老婆に襲われるシーンが、個人的には不発でした。老婆が走って襲ってきてしまうと明らかに「お化け屋敷」になるので、私が考えるならば、寝たきりの老婆の首がもげるor寝たきりの状態で、顔だけこっちを向ける、など、あえてアクション的にはせず、それくらいでいいと思います。

 

 

何の因果かを描いていないので分かりませんが、主人公の「ほのか先生」は、怒涛の忙しさを送ります。韓国映画のように怒涛の展開です。

 

 

登場シーンから、目の前で(おそらく将来を意識している)恋人が車に撥ねられ意識不明の重傷となり、中学の臨時教員として受け持ったクラスの新任初日の数十分後に、生徒が飛び降り自殺して、警察から事情聴取にあって、校長先生と真相究明していくという・・非常にコミュニケーションを取るのが大変だなぁと思いました。

 

中盤の車のスクラップ場で精神が崩壊してキャラ変するシーンが一瞬ありますが、そりゃ気が狂うだろう、むしろ今までよく冷静に行動できたなぁと感心する怒涛の数日間の展開です。

 

 

呪怨の監督らしく、中盤以降は犠牲者(登場人物の人数分×バケモノ)が次々代わる忙しい展開になり、後半は時空間を行き来する展開になるので、それまで良かった展開のバランスが極端に悪くなります。

 

 

ふと冷静になって観てほしいのが、ほのか先生、着任初日・2日目での出来事なんだよねーという状況も考えたいです。

 

 

夏休みの間の臨時教員ということで直接の面接はしなかった、という解釈になりますが、

自分を雇ったはずの校長先生とは転落事故後に初対面の様子だし、その校長と人見知りなく自然とコンビを組むように行動しているし、関連・関係はあるにしても結構トントン拍子に物事を進めている都合の良さはマイナス点に感じました。

 

 

とは言え、高谷家のシーンこそ奇妙さ・グロテスクさを感じますが、それ以外は非常に見易く、ホラー映画が苦手な人でも鑑賞しやすい作品に仕上がっていると思います。

 

 

 

 

(バケモノにしては、姿勢がいいんですよね。足も揃えていますし。)

 

 

最後に。

 

 

この映画を鑑賞したのは7月19日の公開初日、21時のレイトショーです。

 

 

都内は混むことが予想出来たので、自宅から15キロ以上離れた映画と同じ千葉県某所の「いつも空いているシネコン」へ向かいます。

 

 

映画業界には申し訳ないけれど、私は大きなシアターでガラガラの状況で鑑賞することを・・非常に好みます。

 

 

かと言って「ホラー映画の場合」は、ある程度の観客がいて欲しいのです。

ホラー映画=観客層は若めなので、その世代の観客の反応を人間観察したい旨もあります。

 

 

夜21時のレイトショー。遠出の甲斐あり観客も150席に対して20席ほど。

 

 

私は毎度お馴染み、一番後ろの中央席、映写機の下の席を指定席で選びます。

この席からホラー映画を見ると、驚かしのタイミングの瞬間は、結構、周りの席で体が揺れるのが分かるので反応が分かりやすいです。

 

 

(ドS気質(°_°))

 

 

そんな関係のない自己紹介をするために、書き始めたわけではないので本題に戻ります。

 

 

この映画で私が一番怖かったのは・・・バケモノでもお化け屋敷ホラーの演出でもありません。

 

 

私から数席離れた同列に、3人組の親子が座っていて、その中に明らかに小学校低学年だろう女の子が座っていたことです。

 

 

シアターに入場した時も心の中で「あっ、子供がいる」と意外に思いましたが、近くで見ると幼稚園の年長か小学校低学年くらいの幼女だったので、本当に驚きました。

 

 

その女の子は、おそらくお父さんと来られていて、お父さん、歳の離れた中学生くらいのお姉さんと一緒でした。

 

 

喋る時は小声だったり、物凄く騒がしいとかではないのですが、周囲の観客もチラチラと気になっていましたし目立っていました。

 

 

ここで頭の硬い私が腹の中で声を大にして思うのは3点です。

 

 

事情はどうあれ、①小学生の子供と一緒に観る映画ではないと思うのです。

冒頭から生徒の飛び降りシーンや首吊りなどの描写も出てきますし、作り物とはいえ、私ならば勧めません。

 

 

その経緯から②視聴指定はどうなっているのか?と後で検索しました。

日本のレーティングは主にR指定とPG指定で、PG指定は○○才未満の方は同伴者の指導の上で鑑賞することが可能であるいう前書きがあります。今作品は自殺シーンなどもありますが、年齢制限などは設けず、誰でも鑑賞出来ます、と映倫は判断したそうです。

 

 

だから幼稚園児だろうが小学生だろうが映画を見るのは自由です。映倫がそう判断したのだから。しかし時間は守って欲しいです。

 

 

そして一番、ここを声を大にして伝えたいです。③劇場側は何をしているんだろう?おい、シネコン!そもそも規約違反なんだから、シネコンが入場を受け入れなければいい話じゃないですか( i _ i )

 

 

正直時々、レイトショーに小学生がいるという場面を見かけるのですが、

シネコンの規約に保護者同伴であっても、終了が22時、もしくは23時を超える作品は入場自体が出来ません。

 

 

(大阪府と群馬県・三重県は22時。系列館によって違う場合もあるので確認が必要です。ちなみに私が今作品を鑑賞したユナイテッド・シネマも終了が22時以降を超える作品は完全NGです。)

 

 

今は券売機やネットでチケットを購入するので、昔のように劇場店員と言葉を交わすこともありません。ゆえにこうした隙が生まれます。

 

 

映画館の年齢制限って、結構厳しいものであってほしいと願望はあるのですが、コロナ禍の劇場版『鬼滅の刃』以降、21時以降の上映でも劇場に子供の姿を見かけるようになった気がします。

 

 

これが仮に鑑賞する作品が、青春映画やアニメ映画だったらまだ理解出来るのですが、

夜の9時から小学生の子供と血だらけの呪怨監督が作ったホラー映画を観に行って、夜の11時を過ぎてから帰る親って・・・私はそれが一番怖かったです。インタビューしたいぐらい。。逆ギレされるのがオチ。

 

 

あっ、映画自体は良い日本ホラーでしたので、ロングランするようならば再鑑賞しようと思っています。

数ヶ月で動画配信が始まると思いますが、テレビやスマホでは味わえない一点集中や周りに知らない人がいるという状況こそ映画館で観る醍醐味だと、改めて思った夏の夜でした。

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 15点

構成 13点

展開 13点

完成度13点

 

 

[68]点

 

 

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意味のない余談です。

 

 

1年と少し休載間隔が長かったあいだに、私の身の回りの家電は古いものから最新の品へとバージョンアップしました。

 

 

パソコンもその1つで、10年ほど愛用していたMacBook Airを最新のものに買い換えました。

 

 

アップル製品なので勝手にAI機能・学習機能を期待するのですが・・・

新しいノートパソコンとの相性はまだ少し悪く、特に「文字変換」する機能が、変換してほしい文字に変換してくれません。

 

 

今作品のタイトルもそうです。

正式タイトルの『あのコはだぁれ?』を、anokohadaareと打つと・・

 

 

『あの子肌荒れ』と変換されたので・・怖っ!と思います。

 

 

夏はお肌の天敵である紫外線を浴びるので。

皆様、水分補給やビタミン補給をまめにして肌荒れにお気をつけくださいませ。

 

 

 

【mAb】