皆さまこんにちは☀️

PS-Customizeの渡邊です。


早速ですが、今月一発目はバンプゲート対策のアップデートについてです!


以前、この記事👇にてファンテーブルを書き換えて動作温度を下げるということをしましたが、このファンテーブルを更に最適化しました!

以前の記事 Ver.4 → 今回の記事 Ver.5



*2025.7.14 追記

Ver.6にアップデートいたしました!



詳細な値はグラフのとおりです。




Ver.5では、

・全体的にファンの回転数を少し引き上げてCELL/RSXともに基本的に60°C未満で動作するように調整

・ステップ間の回転数の差をできる限り等間隔かつ±3%程度にして、滑らかに回転数が推移するように変更

して、より動作を最適化しました。


RSX側はTg-10°Cを実現できましたので、低Tgアンダーフィルへの悪影響を更に抑えられているかと思います。


5月半ばまでテスト期間を設けて、修理をご依頼くださったお客さま向けにVer.4への書き換えを無料にて行っていましたが、6月末よりVer.5にアップデートして有料オプションとしてメニューに加えております。

Ver.4については、31.3⇔40.0%の間隔が静音性の観点から良いとは言えないため、今後採用することはありません。(使用には支障ありません。)


また、発熱と消費電力を低下させてファンコンの書き換えの効果を高めるため、CELL/RSX VDDC低電圧化も行っております。


RSXの載せ替えによらない方法としては、現時点で非常に効果の高い対策ですので、これから修理依頼をされるお客さまはもちろん、すでに修理をしたお客さまも是非ご検討ください。


それではVer.4とVer.5を比較していきましょう!👇
(比較機はCECHA00で、室温は約25°Cです。)

☆Ver.4(XMBで待機)

標準のファンコンだと、CELLが74°Cまで達してファン回転数が20→25%に上がり、その後68°C前後まで下がります。

RSXはTg(70°C)前後まで上昇し、ファン速度が25%になると58°C前後まで下がっていきます。


☆Ver.4(GT6レース中)

RSXが61〜63°C未満になると、ファンの回転数が31.3%になりますが、GT6のレース中、ラスアスなどのフルHDかつ高負荷なゲームのプレイ中は、一時的に63°C(ファンの回転数が40.0%)になってしまうことがあります。

そのため、回転数が31.3%⇔40.0%を行ったり来たりして、ファンが「ブォーン⤴︎⤵︎ブォーン⤴︎⤵︎」と唸ります。低負荷時はVer.5より静かですが、高負荷時のこの挙動は要改善点と言えるかもしれません。


☆Ver.4(GT6メニュー画面)

RSXの温度は、XMB待機時よりも低くなっています。

XMBは意外と高負荷なのです笑



次はVer.5です👇


☆Ver.5(XMBで待機)

CELLは62→56°Cまで下がりました。

RSXは57→54°Cと下げ幅は小さいですが、標準のファンコンと比較すると、Tgに到達せず余計な熱サイクル(温度の上下)も生じません。

ファンの回転数は31.3%ですが、〜35%くらいまでであれば気にならないかと思います。


☆Ver.5(GT6レース中)

CELLは相変わらず55°C前後で推移し、RSXは高負荷時でも60°C未満で抑えられています。稀に61°Cまで上がることがありますが、ファン速度が34.5→37.2%に上がるので、すぐに60°C未満に戻ります。

37.2%は、ファンの回転音が多少気になるかどうかといったレベルですが、34.5%と比べると約3%の変動率ですので、Ver.4のようにファンが唸る挙動は見受けられません。


☆Ver.5(GT6メニュー画面)

メニュー画面に戻ると、温度が下がってファン速度も34.5→31.3%に下がります。

GT6はフルHD(1920x1080)ですが、その他HD(1280x720)画質のゲームであれば、RSXは45°C前後まで下がることもあります。


☆Ver.5(TLOUプレイ中)

ラスアスも高負荷な部類に入りますが、GT6のレース中と同じくらいの温度で推移します。



☆CECHB00 標準 40nm公式リファービッシュ

CECHB00の標準のファンテーブルは、A00以上に無謀な値となっており、RSX以外は各ステップの温度がやや高く設定されています。

CELLのTemp UはA00の標準のファンテーブル+6°Cとなっています。

CELLが80°Cに達すると、ファンの回転数が20→25%に上がります。

注目していただきたいのはRSXの温度で、40nm RSXであるにもかかわらず64°C(GT6レース中)となっています。

90nm RSXではこれ以上の温度になっていると考えられ、Tgを超えた熱サイクルが生じている可能性は十分にあります。


Tg云々の技術的な話を抜きにしたとしても、何となく「動作温度が高いと寿命が縮まりそう」という感覚は皆さまにもあるかと思います。

温度は、RSXのみならず、コンデンサ等の部品の寿命にも影響(アレニウスの法則)し、基本的に動作温度は高いより低い(かつ変動が少ない)方が良いです。

要は「動作温度を下げれば故障のリスクもその分下がる」ということです。


☆消費電力を調べる

最後に、ファンコンVer.5への書き換えとCELL/RSX VDDC低電圧化を行った機体の消費電力を計測してみました。


*測定環境

室温:25°C前後

計測器:ELPA EC-05EB

計測のタイミング:起動から10分後

計測方法:10秒間のW表示の推移を観察


・CECHA00 OFW4.92 純正HDD 037電源 90nm

CELL/RSX VDDC低電圧化、ファンコンVer.5

XMB:156〜157W


個体差等も考慮し3台計測しましたが、同様に156〜157Wでした。

比較するため、未分解&未カスタムの機体も6台用意して、それぞれ消費電力を計測しました。


・CECHA00 OFW4.80 純正HDD 037電源 90nm

無加工(ホコリ多め)

XMB:196〜197W


・CECHA00 OFW4.92 純正HDD 037電源 90nm

無加工(綺麗)

XMB:182〜183W


・CECHA00 OFW4.92 HDD交換 037電源 90nm

無加工(綺麗)

XMB:182〜183W


・CECHA00 OFW4.82 純正HDD 037電源 65nm

公式リファービッシュ、無加工(ホコリそれなり)

XMB:164W


・CECHA00 OFW4.92 純正HDD 037電源 40nm

公式リファービッシュ、無加工(ホコリ少なめ)

XMB:140W


・CECHB00 CFW4.92 SSD交換 037電源 40nm

公式リファービッシュ、無加工(綺麗)

XMB:154W


ちなみに...

・CECH-4300C OFW4.92 純正HDD

無加工(オーバーホールのみ)

XMB:65〜66W


CECH-4300Cは45nm CELL28nm RSXを搭載しているので、流石は最終モデルといったところでしょうか笑


低電圧化とファンコン書き換えを行った機体の消費電力は、公式リファービッシュ65nmと40nmの間に位置するようです。

VDDCの低電圧化がかなり効いているようですね...!

「電圧を落としても問題ないの?」と思われるかもしれませんが、特にRSXのVDDCは盛り過ぎ疑惑(笑)があるので、殆どの場合は電圧を多少落としても正常に動作します。


FWのバージョンが低いため、単純な比較はできないかもしれませんが、CECHB00のカスタム機でも計測してみました。


・CECHB00 OFW3.15 純正HDD 037電源 90nm

CELL/RSX VDDC低電圧化、ファンコンVer.5

XMB:147〜148W


リファービッシュより消費電力が低い...!?

(ファームウェアが低いからじゃないかなぁ〜)



...ということで、記事は以上になります!

ご覧くださいまして、ありがとうございました✨


2025.7.2 作成

2025.7.5 修正

2025.7.14 更新