家から数キロの場所に、例によって自転車でやって来た。うだるような暑さの中ではあるが、のんびり自転車を漕ぐ分には暑さをあまり感じない。
ショッピングモールの大きな吹き抜け。広々とした贅沢な空間なのは良いのだが、昇降用の階段類が少ないのが難点。
ショッピングモールの中にある巨大映画館。中には歴代ジブリ作品の巨大看板がある。
本日はSCREEN3。昨年7月に「怪物」を観た時と同一スクリーン。最後列だとやや遠い。
◎あらすじ(公式サイトより引用)
さびれた写真館を営む無口なカメラマン・鮫島(平泉成)。彼の写真に心を奪われた気鋭カメラマン・太一(佐野晶哉)は華々しいキャリアを捨て、弟子入りを志願する。家族とのコミュニケーションすら避けてきた太一は、訪れる客と丁寧に対話を重ね、カメラマンと被写体という関係を超えてまで深く関わる鮫島の姿に驚きを隠せない。人々の抱える悩みや問題のために必死に奔走する鮫島に振り回されながらも、自分に足りないものに気付き始める太一。同時に、鮫島とその家族にも目を背けてきた“想い残し”があることを知る。変わりゆく太一が、悔いのない未来のために踏み出した一歩。その先に続く、思いもよらない奇跡に涙する――。
◎感想(ネタバレあり!!?)
ヒトを撮るのが苦手という気鋭写真家による冒頭のスタジオシーンでは、モデルが次々とポーズを変え、それを淡々と撮るという、まるで亜イ固撮のような現場で、シロウト目にもあんなので成り立つのか?と思ってしまう(ポートレートではないから良いのか?)。それ故に佐藤浩市扮するお客を撮影するシーンが生きてくる。ボクもヒトを撮るのが苦手なので身につまされる。というかそもそもヒトが苦手というのが原因なのではないだろうか?
古い写真を探すシーンでは、過去のネガの整理がまったく出来ておらずドタバタする所や、また常温保存している所はどうだろうかとも思う。ボクの知る写真館のイメージは、どんなに古い物でもホイホイ出て来る印象だ(偏見?)。「こんな昔の写真を保存してるなんて…」と息子が関心するが、古い写真の原板を保存しておくのは写真館の義務であり使命であると思う。美保純も遂におばあさん役が回って来るようになったが、それにしては妙に血色がよすぎる?!
結婚式(誰の?)の余興の演奏姿を撮影する気鋭写真家の姿を見てうずうずしたのかもう一回リクエストし「貸せ!」とカメラを取り上げる写真館のご主人の様子がお茶目で良かった。当作品で最も好きなシーンだ。
「写真を撮るとは被写体を知り、自分を知る事だ」
というような〆台詞があった。また何処でだったか、写真には自分の姿が写るというような話も訊いた。普段色々と撮影しているが、ただ撮っているだけなので、そこにはボクの姿は写っていなかったのではないかと思う。それを知っただけでも今後の何やらの参考になるのではないか。
新旧写真家の心温まる交流にホッコリした。また山あり谷ありがほとんどなく、全てがトントン拍子に進んで行くので観るのが非常に楽だった。写真が好きなヒトは勿論の事、日頃機材マウントを取ったり、メーカーが自分の望む製品を出さない事に噛みついているような、写真人生に疲れたヒトにこそ是非観てもらいたい。
劇中画像は映画.com内フォトギャラリーより借用
写真館の御主人は写真館内での業務にはD4を使用し、テザー撮影もこなす現代的な写真家である一方、屋外に持ちだすのはフイルムカメラばかり。多くのシーンではNIKON FM2を使用しているが、瀬戸内をを訪れた時には何故かNIKON F ブラックを使用していた。なお当航路は沼隈半島と尾道の対岸にある向島とを結んでいる。向島に渡るにはわざわざこの航路を使用しなくても、高速直結の尾道大橋で渡れば良いのでは?といった突っ込みは野暮か。
一方の気鋭カメラマンの方は、仕事ではZ 9か何かを使用しているが、スタジオ以外ではZfに40mmSE的な単焦点を常用している。ファインダーを覗いても撮るし、瞬時に背面液晶を使用したウェストアングルで撮る事もあり、その使い分けはシームレス。いかにも現代的な撮影スタイルだ。
物語のキーパーソンというかキーフォトとなるケーキちゃんがかわいい!劇団四季のトマコ嬢をうんと可愛くしたような感じで非常に好印象。密かにトマコ嬢好きだったのかもしれない。当作品の主題歌も歌っており、マルチな活躍をしているようだが、Wikipediaには登場せず、公式HPも存在しない。
この写真をフイルムカメラで撮るのは結構苦しいのではないかと思う。同じく本作品のキーフォトとなったあの写真も、病院での写真も同様。デジタルで適当に撮り、カメラ任せの補正やRAWをこねくり回す事に慣れたヒトにはフイルムカメラを使いこなすのは難しいだろう。ボクもまったく自信がない。
清々しい気分で映画館を後にする。外は相変わらずの猛暑で、何処へも寄らずに直帰。
しばらく休んでからいつもの通り散歩に出かけた。シャッター速度を速くすると車体はぶれなくなるものの、LEDの行先種別表示が写らなくなってしまう。なので1/100secにして、あまり列車を引きつけずにトリミングで対応すると、ブレる事もなく、表示も(ほぼ)写るという事を発見した。73mm相当。
58.45 16.1