「サークル活動で、100名一緒に
フットサル大会というイベントを実施しました。
最初は、皆が無理だからやめようと言ったのですが、
そんな反対意見にも屈することなく
何とか実行しようという前向きな姿勢で、
中心となってやり遂げました」
「屈することなくということは、
逆境に強いタイプなのですね」
「そうです」……
本当にそうなのでしょうか???
このような会話は、
面接官と受験者との間で
幾度となく繰り返されてきた訳ですが、
人材のミスマッチは後を絶ちません。
会話を交わしながら、
相手のレスポンスが高ければ、
「明朗闊達で非常に前向きな好人物」という印象を
何げなく持ってしまう面接官も多い事が
原因かも知れません。
実は、このような面接では、
受験者の主張を鵜呑みにするだけで、
判断の材料を乏しくしてしまうのです。
受験者が嘘を言っているという訳ではないが、
内容の確認に不備・不足が多すぎるのです。
人間の言動には、
与えられた状況に対して
どのように対処するかが表れます。
もし、
その状況を見逃してしまえば、
当人のとった言動に対する判定が
出来なくなってしまう訳です。
本来、面接では、
ある状況のもとで、
その人が何をどう考え、
どのような行動を起こすか、について
徹底的に聞き尽くすべきです。
したがって、
受験者のこのような回答に対して・・・
先ずは
「サークルの人数はどの程度で、
賛成対反対の割合はどのくらいだったのか」とか、
「なぜ、皆は無理だと思ったのか」といった
状況や背景の確認をしなければ、
面接の意味合いを小さくしてしまうのです。
さらに、受験者が言う
「中心となってやり遂げました」の部分の
具体的な確認、
即ち、
その言動による成果の
具体的な内容にまで踏み込まなければ、
有効な面接にはなりません。
少なくとも、
これから仕事をして貰う人物の採用面接となれば、
結果に対する姿勢等、
踏み込んだ話を抜きには考えられない訳です。
具体的に言えば、
①シチュエーション──どのような状況で
②ミッション──何をやり遂げる為に
③プロセス──どのような言動を示し
④リザルト──どのような結果を導き出したか
①~④に至るまでの
一連の流れを把握しなければならないという事です。
それを
明確に示せる人材であってはじめて、
自社においても成果を出すことが出来ると
判断できるのだと思います。
先述の例で検証してみましょう。
ミッションは、
フットサル大会に100名参加させるという事です。
●シチュエーションの確認
「賛成対反対の割合はどの程度でしたか?」
「三分の二の人間は反対していたと思います」
〈なーんだ、三分の一も賛成者がいたのか。
大袈裟に言うものだ。
自身が言う程、大したことではないかも知れない・・・〉
「サークルの人数と、どのような人たちが参加して、
いつもはどのような活動をしているかを教えて下さい。」
「人数は、12名です。この12名はすべて4回生でして、
もともと私たちのグループ5名で発足したのですが、
後で3名が加わり、8名になりました。
この8名はすべて男ですが、
更に×××女子大の4名が加わり12名になりました。
キャッチフレーズは『今を楽しく』で、
皆で企画を出し合いながら、2カ月に一度程度、
アウトドアやフットサルなど一緒に楽しんでいます」
〈確固たる目的もはっきりと見えない。
ほとんど合コンの乗りだな……〉
難しい状況の中で、
どのように考え、
どう行動するか・・・
質問の仕方が重要です。
採用面接で
「人材」を見抜くインタビュー技法
●プロセスの確認
「三分の一の賛成者から、
目的を達成させる為に、
あなたは何をどのようにしたのですか?」
「まずは、皆の賛同を得なければならなかったので、
賛成者が、それぞれ説得にあたりました。」
「あなたは、何名程度、説得しましたか?」
「3名です。その3名とはもともと仲が良かったので、
直ぐに協力体制をとって貰う事ができ、
大きな戦力になりました。」
〈確かに、早い動きに繋がったので、
大きな戦力になったかも知れない。
しかし、本人は標準的な役割しか果たしていないし、
特に苦労や工夫が感じられるではないな~〉
●リザルトの確認
「結果的には何名参加したのですか?」
「73名です。」
〈なんだ、目標未達じゃないか〉
「目標100名に対する結果については、
どのように考えていますか?」
「やれるだけの事は、やりましたし、
もともと不可能と思われていたものでしたので、
出来としては100点満点ですし、
悔いも全くありません。」
「・・・・・」
こんな具合になる筈です。
更に、
「そんな中で、なぜ何とか実行しようと思ったのですか」
あるいは、
「あなたの、そのような前向きさは
どのように養われたものだと思いますか?」
などといった、
その人間の言動を
導き出す要因となる価値観や、
能力を形成する深い要因にまで踏み込めれば、
人材を見抜く材料も整い、
面接も完璧に近くなるのではないでしょうか。
このインタビュー技法は、
実は、日々の職場でも十二分に活用出来ます。
というよりも、そこから考えたのですが・・・
例えば、
部下の調子が思わしくなく、
原因が掴みきれないという、
悩みを抱える上司には、
是非、
この技法を活かして頂きたいと思います。
部下の行動に対して、
その行動特性を導き出す要因や
背景をいかに引き出せるか・・・
それによって、
適切なアドバイスが出来る確率も高くなり、
上司としての信頼度も増すのではないでしょうか。