South of the Circle(サウス オブ ザ サークル) の感想(レビュー)です
かなりのネタバレを含む感想(レビュー)です
見るときに注意してください
---------キ-------リ-------ト-------リ---------
【PV】
【感想】
物語主導のゲームとなっていて、基本的に画面に表示されたボタンを押すことで進行していきます
いくつかの時代に分かれているけど、うまい具合に場面が移ります
冷戦をベースに物語が描かれていて当時の社会情勢を知ることもできます
重く深い物語です
グラフィック・音楽について
グラフィックは顔が不鮮明で多少の輪郭はわかるけどプレイヤーの想像に委ねているかと思います
顔の表情を読み取ることはできないけれども動きによる演技や声優による演技によってわかるようになっています
声優の自然な演技によってスッと物語に入ることができました
場所によっては必要のない部分が真っ黒になっています
大学の時代よりも南極だったりピーターの子ども時代だったりでこの表現がとられています
この真っ黒な表現が夜の暗闇を表現していることもあります
音楽は邪魔しないけど雰囲気があっていいです
《説明》
アドベンチャーゲーム です
≪操作≫
左スティック:移動
✕ボタン・□ボタン・△ボタン・◯ボタン(長押し):感情を決める
オプションボタン:ポーズメニュー
<インタラクト>
✕ボタン(長押し):調べる
左スティック:(物を取ったり調べてるとき)回転
◯ボタン:戻る
≪基本≫
1.シンボルとボタンが表示されたときに、そのボタンを長押しすることで選択する
(1) 長押ししてもゲージがマックスになる前なら放すことでキャンセルできる
(2) シンボルは時間経過で消える
a.ボタンを押さないという選択もある(一応)
2.メイキングは状況に応じてアンロックされる
(1) 追加されたときはビックリマークが表示される
(2) 設定資料集となっていて、『サウス・オブ・ザ・サークルのアート』に写真とスケッチがある
ゲーム内容について
『冷戦』の時代
『冷戦』によって分断が生じた社会で、主人公ピーターの物語が描かれます
物語主導のゲームで、プレイヤーはマークやシンボルが表示されたときに、それに対応するボタンを押すかどうかを決めます
マークは感情を表していて、複数あるときは一つを選んだり、もしくはマークが消えるまで放置することができます
また、シンボルから選ぶことがあります
移動シーンもあります
カメラはオートで動くので周囲の様子を観察することはできません
ドラマや映画のような感じです
手紙を読むときは、左スティックで上下左右に動かすと大きめの字幕が左スティックに合わせて動きます
タイプライターで一文字ずつ素早く打っているかのように表示されます
時系列はバラバラで、ピーターの人生のいくつかの場面をピックアップしています
物語に合わせて別の場面へ移っていきます
この移り方が非常によかったです
とある行動を軸に別の場面へと移っていきます
たとえば、車を運転しているときに別の場面の車を運転しているときに移ることがあります
スムーズに移り変わり、かつ、場面が変わったことがわかるようになっている演出は混乱することなく物語を理解できるので素晴らしいです
時系列はどの順なのかは初めはわからなかったです
南極時代、大学講師時代 など があるけど、この二つの時系列がどっちが先なのか不明でした
これは個人的にピーターの素性がわからなかった部分があります
分断が生じていた時代なので、もしかしたらスパイなのかと思っていました
だから南極時代が先だと思っていました
この勘違いは、わりと早く否定することになりました
南極時代をプレイすることで
操作はシンプルだけど、場面が移り変わるときに少しだけ戸惑うことがありました
たとえば、車を運転しているときは左スティックでハンドルを握っています
別のときは運転しながらラジオの周波数を合わせるシーンがあります
このとき左スティックでハンドルを握り右スティックでつまみを動かすと思っていました
しかし、自動で運転しているので左スティックでつまみを動かしました
ナラティブを重視しているのか、ラジオにはBBCによるニュースを聞くことがあります
南極条約に関するソ連とイギリスの内容でした
舞台がイギリスだからBBCが出てきます
選択したことで画面上部にシルエットが残ることがあります
このシルエットの意味がわからずマルチエンディングの条件かと思っていました
しかし、このシルエットが効果的に使われます
シルエットの出来事を私が思い出しながら儚く消え去っていきます
そして、このシーンが私の心に強く深く突き刺さります
冷戦だけではなく当時の社会情勢も関わっています
そのことが後半に差し掛かった頃に深く悩む原因となります
辛い選択を突きつけられるようになり、同じ問いを複数回受けることになります
そして、その同じ問いに対する返答の「重み」が物語の進行に合わせて増していくことになります
同じ問いの前に起こった出来事を踏まえて答えさせていくので、以前答えたものから揺らぎがあるかもしれない……デベロッパーが揺さぶろうとしているのかと思いました
私は自分に正直に選びました
全部同じ答えです
いろいろな出来事が明らかになっても、たとえ未来は変わらないと知っていても嘘はつきたくなかったから、ここだけは決してブレませんでした
たとえ今まで積み上げてきたものが砂のようにサラサラと溢れ落ちたとしても変えませんでした
選択することの重みはボタンを押すときの演出にも表れています
感情をボタンの長押しで表現しているけど、この時間が短かったり長かったりします
これだけでピーターの気持ちがわかるようになっています
その他・まとめ
ゲームをクリアしても重くのしかかっています
南極のことよりもピーターの過去に縛られているのかもしれません
シルエットの使い方や感情を選ぶという操作が物語を紡ぐ上で重要なシステムになっています
最初は一々感情を決めたりボタン長押しがめんどいと思っていたことがあるけど、段々とそんな気持ちはなくなりました
冷戦や分断する社会について考えさせられる物語であり、現在にも通じる内容かと思います
お勧めです
【評価】
○:声優の演技、物語に合ったグラフィック・音楽
○:冷戦を舞台にした物語
○:シルエットの効果的な使い方
×:感情マークが自分の望む結果に結び付くか不明なときがある
×:物語が合わなければ難しい