エネルギー争奪時代の幕開けを考える① | 一般社団法人プロパンガス料金適正化協会           代表ブログ

一般社団法人プロパンガス料金適正化協会           代表ブログ

プロパンガス販売業界の料金適正化に関わって、思ったことを書いていきたいと思います。

戦後長年続いてきた電力・ガスの供給制度が根本から大きく変わる模様である。
電気・ガス料金が世界でトップ水準のこの国において、懸念される家庭用エネルギー価格の上昇を抑えるために、経済産業省が思いきった決断を下したのだ。

まず、電力自由化に先行して都市ガス事業の全面自由化が正式決定した。私がここで注目したいのが総括原価方式の撤廃の動きである。

以前、協会のブログでも再三にわたり総括原価方式の問題点を指摘してきた経緯があるが、
総括原価方式による都市ガス料金決定も、市場の需給による決定と対極にある方式であり、都市ガス事業者の誠実な経営情報の開示と、規制当局側の査定能力に大きく依存する体制になっていた。
この法改正により、どれだけ透明性のある情報開示がなされ、完全自由化のもと「市場メカニズム」が、本当に稼動させることができるのか注目したい。それには、政官業の癒着による「悪しき慣習」である既得権益からの離脱が、完全自由化への必須条件と言えるであろう。
一日も早く、「まともな市場」を創り上げることを期待したい。

その一方で私は、地域独占で「支配力がある」大手都市ガス3社が率先して完全自由化市場(都市ガス→都市ガス)を創り上げることは現実的には困難ではないかと危惧している。
その根拠・詳細については、後々、ブログでも公開したいと思っている。

経産省は今年夏をメドに制度設計を終え、2015年の通常国会にガス事業法改正案を提出。早ければ2016年にもガス事業の完全自由化が実現するというのだが・・・・。

この都市ガス自由化の決定に伴い、東電と東京ガスが資本協力して米国産LPGの輸入を独自に行うという報道が最近発表された。従来の中東産LPGに比べ2~3割安く購入できるのが目的とされ発電用の用途との公表ではあるが、実は、LPガス業界への新規参入する動きともとらえられている。(LPガス→都市ガス)

迎え撃つLPガス業界はどうなのか・・?

この時代変化に乗り遅れたり、対応を間違えたりすると大手LPガス業者であっても、この先経営難に陥る可能性も今後充分想定されるのである。
それには、”ガス屋”なりの付加価値やシナジー(相乗効果)を付加した新たな商品開発が必要ではないであろうか・・・
例えば、電力とガスをセットで提供したり、通信も一緒にしたりするなどである。
さらに、「都市ガス」契約からLPガス契約への燃料転換を勧めるべきである。

LPガス業界は、都市ガス料金に準じた料金設定で災害に適用するシステムを構築したうえで、LPガスの優位性を消費者に対して正しい知識を啓蒙すべきなのである。
LPガス事業者からみた都市ガスの市場は、その規模から言っても実に魅力的である。
さらに、都合のいいことに、長年「総括原価方式」に慣れてきた都市ガス業者は、その競争原理は理解できてもフィールド上で実践の経験は皆無である。

電力事業者と都市ガス事業者に共通することは、長年にわたり独占市場の恩恵を受け、「企業としての改善努力」に無頓着な経営方針でも利益をあげてきた負の輝かしい実績があるが、その独占してきた市場を制覇すべく、短期・集中的に災害対応型LPガスシステムの普及・促進に向けて仕掛ける絶好の機会と捉えるべきである。(都市ガス→LPガス)

今後のLPガス業界の動向を注視していきたい。