#2471 為替 | プロパンガス

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『龍馬伝』の中で久坂玄瑞( この人 のご先祖 )が、外国為替についてものすごく良いことを言っていた。

さっそく書こうと想ったら、ぐっちーさん に先を越されたので、やめとく。

ただ、何の予備知識もない人があの久坂玄瑞の説明を聞いて、意味が分かったのだろうか。

分かった人は、かなり頭の回転が速いんではないだろうかと推察。

大まかに説明すると。

当時の金と銀の交換比率は、だいたい1:15だった。

若干の差はあっても、日本でもこれはほぼ同じ。

で、当時流通していた天保小判(1両)の重量と金・銀含有率。

11.24グラムのうち、6.38グラムが金で、残りの4.86グラムがほぼ銀。

6.38グラムの金は(15倍して)95.7グラム分の銀と等価なので、この小判の価値は銀100.56グラム分。

そしてこの頃の銀貨(天保1分銀)1枚の重量は8.62グラムで、天保小判(銀換算)の約12分の1。

にもかかわらず、幕府は小判1枚=1分銀4枚という交換比率を定めていた。

当時の銀貨は、金貨本位の兌換券とも言えるし、管理通貨とも言える。

つまり、幕府のお墨付きによって、1分銀は本来の価値よりも約3倍もの通貨価値を与えられていた。

金:銀=1:15 なのに、金貨:銀貨=1:5 になっていたということ。

一方、アメリカで流通していたメキシコドル(1ドル銀貨)は26.73グラムで、天保1分銀の約3倍。

ということで、日米通称修好条約では、1ドル銀貨1枚=1分銀3枚という為替レートが決められた。

すると、どうなるか。

アメリカから1ドル銀貨を4枚持ってくると、1分銀12枚に両替することができ、それはさらに天保小判3枚と両替できる。

天保小判3枚をアメリカに持ち帰る(あるいは上海あたりに持ち出す)と、国際相場によって銀301.68グラム、つまり1ドル銀貨約12枚と再両替できる。

あら不思議。

銀貨4枚が日本を通過するだけで、銀貨12枚に増える。

実際、この裁定取引は極めて高い頻度で行われ、日本から金が大量に流出することになった。

あまりの金流出のすさまじさに、幕府も手をこまねいているわけにもいかず、小判の中の金含有量を減らすなどして対応した。

そうしたところ、小判の価値は以前よりも低くなっているわけだから、それまで1両で売られていたものが2両に値上げされるなど、急激なインフレを招いた。

久坂玄瑞が言ってたのは、この部分。

これ、予備知識がなくて、瞬時に理解できる人、ほんとにいる?