僕が今、1945年8月頃、焼け野原の真只中に立っているとして。
それからわずか20年もしないうちに、当時世界最速だった新幹線を開業させ、オリンピックを成功させるなどということは、夢想だにできなかっただろう。
科学技術や経済力を復興させるのみならず、国際社会の一員として世界中から受け容れられるにはどうすればいいか、そんな方法などわかるはずもなかったはず。
僕でなくても、ほとんどの日本人にとって、ほとんどの政治家にとって、何のアイデアもなかったはずだ。
だけど日本は、現に驚異的な成長を遂げた。
1990年頃までは、成長戦略など何もなくても、成長を続けることができた。(所得倍増計画のようなものは、成長戦略ではない)
政治が有効な成長戦略を持つことは、成長にとっての必要条件ではない。
むしろ政治の介入が、余計な足枷になることの方が多いくらい。
なので、民主党政権に成長戦略がないからといって、あるいは民主党の成長戦略なるものがピンボケだからといって、それほど悲観することはない。
「成長戦略がないからこそ成長ができる」とまでは断言できないが、「成長戦略がなくても成長できる」という可能性は十分にある。
極論すれば、政治が手や口を出さなくても、どこかの企業(あるいは都市)が勝手に成功して、全体を牽引してくれるだろうということ。
ただし。
これは、日本という国家単位の話。
個々の自治体・都市や企業が成長戦略なしに成長できるかというと、それはほぼ絶望的。
トヨタにもANAにもファーストリテイリングのも成長戦略が必要なように、大阪府も横浜市も、成長戦略なしでは成長できない。
ま、あたりまえの話。