ゼロベースで世界地図を眺めてみる。
『三国志』とか『信長の野望』みたいなゲームを、日本の覇者の立場からスタートするとして。
そうすると、完全な自主独立路線を目指すには、あまりに小さい。
少なくとも、ある程度の力を蓄えるまでは、どこかの国と同盟することが必要になる。
逆に言えば、海によって他国から隔たれているので、今すぐに侵略される心配は大きくない。(可能性ゼロでもないが)
で、どの国と同盟するか。
候補になるような勢力が、4つ見える。
そのうち、西ローマ帝国滅亡以来1600年以上も小国分立状態が続いているヨーロッパは、現時点では主たる同盟国にはなりえない。
貪欲に領土拡張に乗り出している西のチャイナと北西のロシアは、そのまま放置すると同盟国どころか、直接の脅威となる。
だからといって同盟することは、そのまま併呑されることを意味する。
大国と同盟するということは、大国の軍隊の駐留を受け容れることだ。
東トルキスタンやチベットはまだどうにかアイデンティティをわずかに残しているが、マンチュリアやインナーモンゴルなどは、まるで最初からそんな国など存在しなかったかのようなところまで同化されてしまった。
となると、結局、日本にとっての同盟国候補はアメリカしかないことになる。
世界は多極化に向かうと予想されている。
アメリカといえども、いくつかある極のうちの1つにすぎなくなるところまで弱体化するかもしれない。
だとしても。
アメリカがこれまでのような超然とした力を維持しえなくなったとしても。
それでも日本はそのいくつかの極のうち、アメリカと同盟するのが最も懸命な判断となる。
日本は、アメリカという虎の威を借りて、チャイナやロシアと対峙するしかない。
さもなくば、どちらかに呑み込まれる。
アメリカ追随ではなく、アメリカを利用するということだ。
アメリカにとっても、日本は利用価値があるし。
チャイナやロシアの指導者の立場で、「日本がアラスカやハワイ同様、合衆国本土と同じ色で塗られた世界地図」を眺めてみると、そのことがよくわかる。
キューバがアメリカの首に突きつけられた匕首だとするなら、日本はチャイナの面前(ロシアの尻たぼ)にかざされた日本刀だ。