『犬神家の一族』
なんのためにわざわざリメイクしたのか、さっぱりわからん。
最新の特撮を駆使しているわけでなし、松嶋菜々子の魅力を引き出すことに注力しているわけでもなし。
金田一がトリックを説き明かす過程も、ストーリー的にはともかく、映像的には何もハラハラドキドキさせるものがない。
ホラー系やスプラッター系ではない正統派ミステリーは、やはり非常に難しい段階に来ているのかも。
わざわざ1800円も払って観るものが、タダで観られるテレビドラマ以下のデキだなんてこと、続けられるわけがない。
良くも悪くも、僕らはすっかり『古畑任三郎』の完成度にすっかり慣れ親しんでしまっている。
最低でも『古畑任三郎』のレベルに達していないと、そんなミステリー映画、誰にも観てもらえない。
それとも、もしかして、「ミステリー映画が存在不可能になった」ことを訴えるために、「角川はミステリー路線と決別します」と表明するために、この凡作を世に問うた?
そのことを暗示させるために三谷幸喜をチョイ役で登場させた?
もしそうだとしたら、なかなかやるじゃん、角川さん。