『ロッキー・ザ・ファイナル』
シルベスター・スタローンも、ロッキー・バルボアも、2人とも1946年の生まれ。
(たぶん・・・) そう、1946年、ベビーブーム最初の年。
つまり、これは、ブーマーたちの現役を引退する勇気を応援する映画だ。
ボクサーとしてのロッキー、アクションスターとしてのスタローンは、まさに年齢的限界に差し掛かっている。
持てる力のすべてを出し切って、最後に自分の限界にぶつかり立ち向かうことで、みずからの花道を飾る。
心の中に獣を宿したまんまの、だけど知力・体力のピークを過ぎてしまったブーマーたち。
彼らがどうやって現役を退く勇気を持つか、そして、より若い世代がブーマーたちをどうやって送り出すか。
そのことがこれからのアメリカにとって、とてつもなく大きな問題としてのしかかる。
とにかく、アメリカのベビーブーマーは、巨大。
その数、なんと全米人口の約3割、8600万人。
日本の団塊の世代の、10倍以上。
そんなブーマーたちに、まずは現役に未練を残すことなく、人生の達成感を抱いて引退してもらうことが、この大問題に取り組むための第1歩。
もちろんアメリカのブーマーだけでなく、日本の団塊の世代の皆さんにも、この映画で勇気づけられる人がいる かもしれない。
そういう世代の皆さんにこそ観ていただきたい映画。
個人的な趣味(悪趣味?)で言えば、これでファイナルではなく、一線を完全に退いたロッキーが、あるいはスタローンが、どうやって社会と関わっていくのかのストーリーを観てみたい。
現役を引退することは決して社会の一員でなくなることではなく、それまでと違うカタチで社会を守り育てることなんだということを、引退する人たちに、そしていつか引退する僕たちに示してもらいたい。
とにかく。
とってもアメリカな映画。