最後の望みを賭けたブラジル戦が、あと数時間で始まる。
勝つことが出来ればいいし、もしも決勝トーナメントに進めるような奇跡が起きてくれれば言うことはないが、選手たちにはそんなことにばかり囚われず、想い切りサッカーを楽しんでもらいたい。
試合出場の可能性のない宮本も含めて、23人全員、「楽しかったな」と想えるようなワールドカップにしてもらいたい。
きっと小学生の頃から、ひょっとするとその前から、来る日も来る日も、明けても暮れても、サッカーばっかりやってたんだろう?
他の友だちがテレビゲームで遊んでる時も少年ジャンプを読んでる時も、ずっとずっとサッカーばっかりやって来たんだろ?
そうやってずっと頑張ってきて、ガリ勉君が東大に入るよりも、野球選手が甲子園に行くよりも、もっともっと厳しい競争を勝ち抜いて、さらにはアジアじゅうのサッカー少年たちとの戦いをも制して、やっとのことで憧れのワールドカップのピッチに立てたこと、ハンパじゃなくすごい。
そしてその憧れの舞台で、(本当の実力はともかく)世界最強と称されるブラジル相手にサッカーができるなんて、そんなとてつもないこと、間違ってもツラい気持ちでなんか迎えるんじゃないぞ。
想いっ切り楽しんでくれよ。
「何やってんだよ、ヤナギサワ!」なんて声、全然気にしなくていい。
そいつがヤナギサワのために何かをしてくれるなんてこと、どうせないんだし。
応援するほうも、勝った負けたもけっこうだが、せっかくのお祭りなんだもの、勝っても負けても楽しかったって言えるような試合にしようよ。
楽しくなければ意味がない。
サッカーも人生も。