#245 GENDER | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

働く女性が安心して子育ての出来る環境を、という声が、特に少子高齢化対策の観点から聞こえてくる。

プロパンガスは、少子化推進派だし、そんなことで少子化に決定的な歯止めはかからないと想っているし、そもそも少子化対策としてそういう話が出てくることが、女性を子どもを産む道具としか考えていない社会の体質のあらわれだと想う。

それはさておき、それが仮に有効かつ有用だったとして、それでもプロパンガスは、2つの面からこの意見に反対する。

「働く女性」を優遇しなければならないような価値観は、少なくともこの国では共有されていない。


子育てをしながら「働く」=「賃金労働をする」ことは、それはそれで立派な社会貢献だが、たとえば自らの女性としての幸福を犠牲にしてまでイラクでのNPO活動に勤しむ女性もいれば、結婚しても地域のボランティア活動に参加している女性もいる。


家庭内で高齢者の介護に精神的にも身体的にも全力を尽くしている女性もいる。


社会的貢献度の高い(単に収入が多いというだけでなく、たとえば収入に直結しない芸術家の卵なども含む)夫の仕事を支えるために、いわゆる内助の功を惜しまない女性もたくさんいる。


少子化の時代だからこそ育児や家庭教育に全身全霊をつぎ込む女性、貴重な存在だ。


そういう中で、たとえば公立保育園が、母親が賃金労働に就いていなければ、たとえ定員に余裕があったとしてもその子どもは入園させないといった方向性で、「働く女性」だけを優遇するといった方策が、国の行政のあり方として正しいとは、プロパンガスには到底想えない。

もう1つの面もそれに似ていなくはないが、「賃金労働をする女性」が他の女性に比べてどうのこうのということはとりあえず抜きにしたとして、女性が「子育てと賃金労働を両立する」ことが、必ずしも彼女らの幸福を意味するのかどうかという問題がある。


プロパンガスは幅広い意味で自由主義者だから、「賃金労働」をしたいという女性がガンガン働いていただくのは結構なことだと、嫌味でも何でもなく、心からそう想っている。


だが、賃金労働をしているのは、「賃金労働をしたい」という女性ばかりではない。


それどころか、おそらくは、「賃金労働などしたくはないが、経済的必要性からやむを得ず働いている」という女性のほうが多いのではないかとすら想う。


働きたくない女性には働かなくてすむようにしてあげたいというのが、自由主義者の立場だ。


「働きながらでも安心して子育てできる環境を国が整えてあげるから、働きたくない女性もしっかり働きなさい」というのとは、明らかに考え方が違う。

夫が外で働き、妻が家事・育児をこなし、介護をも取り仕切る、そういうライフスタイルを人々に押し付けるつもりは毛頭ないが、今の20代から50代ぐらいの人が子どもの頃にあたりまえであったような人生観の実現を願う女性を、国家の政策として冷遇していこうという発想には、プロパンガスは断固として反対したい。