国が自国の経済活動の発展を支援する目的は、国民が必要なものや欲しいものをより手軽に購入できることにある。
そのための方法としては、大ざっぱに言って2通りある。
ひとつは国民の所得水準をあげてやることであり、もうひとつはものの値段を下げてやることだ。
通常は、国の方針として採用されるのは前者であることが多いが、それはそのほうがより難易度か高くないと考えられているからだ。
が、たとえば古典的には大量生産方式の導入などによって、より安価なものを市場に供給するようなことが経済の目的であることにはいささかも変わりはない。
これを為替レートにあてはめてみる。
日本という国は、エネルギーや食糧など、それがなければ国民生活が成り立たないようなものの多くを輸入に依存している。
この構造は、30年や50年では変わりそうもない。
その間に日本が外貨で買わなければならないものの合計金額といったら、それはもう気の遠くなるような、天文学的な数字になるに違いない。
そういったものをできるだけ安く買うには、円を強くするしかない。自国に無い物を他国からできるだけ安く買う、そのためにこそ国内の経済を強くしているのだ。
極論すれば、円高は経済の目的であるとすら言える。
その経済を下支えするために円を安くしようなどというの発想は、本末転倒もはなはだしい。
円を強くすることもできないような経済成長なら、そんなものはなくていい。