毎月発表される国際収支の内訳を見ると、貿易収支の黒字がざっと1兆円あるが、ほぼ同じくらいの金額の黒字が所得収支として計上されている。
過去の対外投資からの配当だ。
そして赤字なのが、サービス収支と資本収支。
他にも細かい項目はあるが、この4つで大まかなラインは決まってくる。
黒字の合計から赤字の合計を引くと、やはりだいたい毎月1兆円前後の黒字になる。
このぶんが、円高圧力として恒常的に存在し、それを投機的な為替取引が吸収できなければ、自然と円高が進むことになる。
この円高は、過去と現在の日本経済の果実なのだから、国民は当然その恩恵を享受する権利がある。
輸入品を安く買ったり、海外旅行を気軽に楽しんだりということだ。
円高が輸出に不利だからといって、その権利を奪われる筋合いはまったく無い。
円高の原因はまさに輸出することにあるのだから、輸出企業が自分で円高にしているものを、どうして他の国民が犠牲になってまで止める必要があるのか。
月々4兆円の輸出のために、3兆円の輸入を犠牲にするなど、あまりにもバカバカしすぎる。