No.2/再会。
オレの高校生活は何の刺激もない、繰り返しの日々
毎日が同じように感じている。
部活も入らず、かといって勉強をするわけでもない
いつもボ~っとしたり、寝たりしてすごす。
そんなわけで親からも将来どうすんだ、とか心配される
親には迷惑をかけたくはない、こんなダメ人間に育ったけど
ここまで育ててくれたことには感謝してる。
いっそのこと死んでしまおーかって思うけど、そんな度胸ないし
とりあえずこんな腐った人生でも生きてれば何かしらあるんじゃないか
って毎日期待してる
それがどんなことだろうと今の生活が少しでも変わればって思う。
今日だって何にもない一日が終わろうとしてた
でも見たんだ
学校から出たとき屋上に人影らしき物を
それで屋上に行ったら・・・
自殺しようとしてる人がいて・・・
止めようとしたら、逆にオレのほうが死んでしまった。
・・・・死んだ
オレは死んだんだ・・・・
・・・・・・ん?
「あれっ!!?」
「生き・・・て・・る?」
そこは三途の川もないし、天国でもない
そこは普通の部屋、そこにあるのは真っ黒なデカイ玉だけだった。
「キミ・・・大丈夫?」
いきなり全身タイツの男が話しかけてきた
良く見れば部屋の中に人がいっぱいいた、その中にこの男のような全身タイツが何人かいた
「キミはまだ死んでないんだ」
はぁ?・・・何言ってんだ?
でも確かに今こうして生きていることに間違いはない
「あとでココのこと詳しく話すから、ちょっと待ってて」
死んでない?ココのこと?訳が分からず呆然とした
こんな状況だが何の刺激もない生活から抜け出せた気がした
しかし逆に刺激のない普通の生活にはもう戻れない
そう思うと言い知れぬ恐怖が襲ってきた。
その時だ
黒い玉からレーザーのような物が出てきた
そしてレーザーの先の方から何か出てきた
よくわからないが何かを空中に書き込んでるような・・・
・・・!?・・・頭?
空中に書き出されているそれは間違いなく人の頭だった
「あっ!!?・・・」
次第に現れてくる人の姿にオレは見覚えがあった
ショートヘアに少したれた目、間違いない
ここに来る前、学校の屋上で自殺しようとしていた女子生徒だった
なん・・で・・・だ?
なんでこの子までいるんだ?
もう完全に意味が分からない、夢・・・なのか・・・
バタッ
いきなり彼女は倒れた
「ハァッ・・・ハッ・・・ァ」
かなり息が乱れている
するとガバッっと身体を起こし周りを見回す
「あ・・・生き・・・てる・・・!?」
そうつぶやくと近くにいたオレと目が合った
「・・・キャァアア!!!?」
オレを見るなり叫びだした
しかたないか、オレのこと死んだと思ってるわけだし・・・
「ちょっ・・・オレ、生きてるみたい」
そう言ってみるが彼女は泣き出してしまった。
あぁ~、どうしよう・・・
こうゆう時、なぐさめる?
どうやって?
そう考えていたら後ろから全身タイツのコスプレ男が仲間らしき女と話しているのが聞こえた。
「なぁ、これで全部か?」
「さぁ・・・わかんないけど、もう出てこないみたい・・・」
「新しいやつけっこう少ないな・・・これなら―
そのとき突然、もの凄く聞き覚えのある歌が流れだした
あーたーらしーいーあーさがきた・・・・
それは間違いなくラジオ体操の歌だった。
No.1/あたらしいあさがきた。
新井田 生、18歳、高校3年生。
何の刺激もない毎日にうんざりしていた
しかし今、
かなり刺激的なことが起こっている。 オレの目の前にはカッターナイフを持ってる女子生徒どうやらここは屋上らしい。
あきらかに自殺しようとしている
そんな彼女にとりあえず声をかけてみることにした。
「あの・・・なに・・してるの?」
すると彼女が小さく口を開く
「わかりきったこと・・・聞かない・・でよ・・・」
ごもっともです。
危うく声に出すところだったがなんとかこらえた
「じ・・・自殺?」
また分かりきったことをきいてしまった
彼女はオレをものすごく睨んできた、そうに決まってんじゃこのボケがぁぁ!! BR> っと、言わんばかりの鋭い目で。
オレはその目を見たとき彼女が本気であることを確信する
「止めろっっ・・・止めろって!!」
気づいたら叫んでいた
今までオレは自殺なんかするわけないと心のどこかで思っていた
しかし彼女が本気であると分かった時
急に怖くなり
今とめないと取り返しのつかないことになる気がしたから
「飛び降りとリストカット・・・どっちのほうが・・・」
彼女がつぶやいた
オレはそのときビビッて声がでなかった
どっちがって・・・飛び降りよりはリストカットだろ・・・
バッ・・・なことじゃなくて・・・
なんか言わないと
なんか言わないと
なんでもいいからっ・・・声っ・・出せよっ!!
「・・・リストカット・・・」
「あっ・・・えっ?」
・・・・・・何言ってんだ・・・
・・・何言ってんだオレェェエ!!?
そのとき彼女がカッターを握り締め
震えながら自分の手首を切ろうとした
「ちょっ・・・まって!」
「・・・ちがっぅ!!」
あれっ?
もしかして・・・これオレのせいかぁぁああ!!?
オイッ・・・とめろっ!!
体動けっって!!
バシッ
「あっ・・・ちょっと・・やめてってば!!」
「はなっ・・してっ!・・・」
ズッ
「あっ・・・」
プシ―ッ
「・・・」
「・・・血?」
どうやら、あやまって切れたらしい、そこからは止めどなく血が溢れている。
「オイッ・・血がぁ!」
「・・・アレッ?・・・オレのじゃん」
切れたのはオレの方だった。
どうしよう、これ・・・とまんね・・・
こうゆうとき、どうすんだっけ?
止血・・・なんかで腕しばんだよな・・・なんかってなんだよ?
オレ何も持ってねって・・・・・・
あっ・・・そうだ、あの娘どうなった、あれっ?・・・いない、逃げた?
これでオレ死んだらあの娘、殺人犯じゃん・・・まぁ、そんなこと
どうでも・・・・いいか・・・・・・
キャァアアッ
遠くの方から悲鳴が聞こえる
でも、オレにはもう何も聞こえないし、何もみえない。
プツンッ
・・・・・・・・・・・・・・?
見えなくなったオレの目が見ている、普通の部屋、そこに置かれた真っ黒い玉を。