「成績が上がれば志望校の選択の幅が広がる」というのは詭弁 | 中学受験 玄人思考のブログ XII

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子どもにやる気を出させようと思って、「成績が上がればどんな学校でも行けるようになる」とか、「選べる学校が増える」などと言う人がいます。

その気持ちはよくわかります。

 

悲しいことに、成績が上がると選べる学校が増えるのは偏差値50未満の人だけです。

みなさんもよくご存じだと思いますが、偏差値表で偏差値50台後半から上になると学校数が極端に減ってきます。

各エリアで1校か2校くらいしか選択肢がありません。

最難関校と同じくらい数が少ないと考えていいと思います。

それが後期日程になると、一気にA判定偏差値が最難関レベルに跳ね上がります。

 

 

実際のところ、選べる学校が一番多いのは偏差値40未満の人ではないかと思います。

大手塾だとだいたい偏差値表の下の方にまとめて書いてあるか、あるいは名前すら載っていない学校群です。

偏差値表に載っていないのは見下しているからではありません。

偏差値を算出するにはそれなりの受験者数と、不合格者の偏差値データが必要です。

しかし、偏差値40未満の学校になると、大手塾からの受験者は1桁しかいないこともよくあります。

また、誰も不合格になったことがない学校というのもあったりします。

そういう学校はA判定偏差値を算出することが出来ません。

表現を変えれば、誰が受けてもA判定とも言えますね。

 

偏差値40前後の人であれば、その偏差値でもA判定が取れる学校がたくさんあるので、その中からうまく学校を選べばほぼ確実に合格できます。

ただ、残念ながら塾内でそういう学校の評価は低く、「わざわざ大手塾に入ってまで受ける学校ではない」、「6年で入塾しても余裕」、「夏期講習を受けなくても受かる」などと言われたりもします。

 

当然、大手塾に入塾する人の多くはもっとレベルの高い学校を目指していますから、(保護者は)そのレベルでは到底満足できません。

問題は子どもがやる気にならないということ。

やる気になったところで、本当に行かせたい学校のレベルには届く気配がありません。

そんな中で少しでもモチベーションを上げさせて、より高いレベルの学校に行かせたいと考えた結果、出てくるのがタイトルのセリフなのです。

 

 

成績が上がれば志望校の選択の幅が広がる

 

これは実際に成績が上がってみたらわかります。

選択の幅は全然広がらないのです。

むしろ成績が上がるほど選択肢は減ります。

 

例えば平均偏差値45の人たちがいるとしましょう。

その人たちの志望校を調査すると、この時期だとその多くが偏差値50以上の学校名を挙げます。

それは別に良いんです。

併願校として偏差値45前後から1校、40台前半から1~2校選んでおけば何とかなります。

コース制で回し合格のある学校であれば、1回の入試で第一志望~第三志望までを、後期日程なども含めればすべてを押さえることが出来るお得な学校がけっこうあります。

 

 

 

ですが、そんな人たちがめちゃくちゃ頑張って、偏差値50まで上がったとしましょう。

そうすると志望校にも変化が現れます。

今度は偏差値50台後半くらいの学校を選び始めるのです。

人間の欲というのは留まることを知りません。

そうやって人類は進歩してきたわけですから、それは良しとしましょう。

併願校は偏差値50前後(回し合格ありの学校)を選べばそこで完結します。

かつて偏差値45くらいのときに「最悪ここに行けたら」なんて言っていた偏差値40台前半の学校のことなどもはや考えることすらありません。

二度とそんなレベルには戻りたくない、これ以上レベルは下げたくないと考えるようになります。

 

 

これが偏差値50台後半になっても同じような現象が起きます。

もはや偏差値50未満の学校なんて眼中になくなってしまうのです。

ですが、偏差値50代後半の学校があまりにも少ないことに気づき、志望校を悩み始めます。

塾講師はその辺を理解しているので、コース制で回し合格のある学校をさりげなく勧めます。

 

 

偏差値50代後半の学校が少ない理由

 

さて、なぜ50台後半の学校が少ないのでしょうか?

 

まず、偏差値50台後半ですが、55以上と定義しましょう。

偏差値55以上は統計学的に言えば、上位約30%ということになります。

偏差値60以上で約16%ですから、偏差値50台後半は実質14%しかいないということです。

 

で、偏差値60以上となると、ほとんどの大手塾では最難関レベルの対象校(併願校を含む)となります。

最難関コースの受講基準(受講資格)が偏差値57~58くらいで、1回取れれば受講可能とすると、最難関コースの資格が取れない偏差値50台後半の塾生は10%に満たない人数になると思われます。

逆に偏差値50台前半からワンタッチで50台後半後半に届く塾生もいると考えて、多く見積もったとしてもせいぜい15%程度。

それに対して最難関コースの有資格者が20%を超えます。

つまり、偏差値50台後半の難関校志望者は最難関校志望者より少なくなるのです。

 

難関上位校(前期・A日程)受験者のトップレベルは偏差値60を超える人がいるかと思いますが、メインとなるのは偏差値50台後半です。

となると、偏差値58~59の生徒は難関上位校受験者の中でも比較的上位レベルということになります。

学校のA判定偏差値は不合格者が2割くらいになるラインですから、偏差値58~59が不合格となる確率はかなり低いです。

よって、偏差値56~57くらい(最難関コース受講資格の少し下くらい)のラインで落ち着くことが多いのです。

 

つまり、A判定偏差値が偏差値58~59くらいの学校は極めて少ないという結果になるのです。

実際のところ、それくらいの偏差値の人の多くは最難関校を受験しているということですね。

 

 

「偏差値58~59くらいの人はどこを受けたらいいですか?」

安全策を取るのであれば、偏差値56~57くらいの学校(前期・A日程)を選んでおけば可能性は高いです。

「自分の成績より低い偏差値の学校を受けるのはもったいない」という考えは捨てた方がいいです。

あくまでもA判定偏差値は合格最低ラインです。

偏差値58~59の人が偏差値56~57の学校を受験すれば平均点より少し上くらいになる可能性が高いです。

しかし、後期日程とかもあるので、「学年上位になれるかもなど」と思ってはいけません。

現時点では志望者数も少なく、志望校判定などで志望者の上位に入れるかもしれません。

しかし、難関上位校の志望者は9月以降に急に増えてきます。

志望校別コースも10月くらいになると上位1クラスの顔ぶれがガラっと変わります。

最難関校を回避して(志望校を下げて)コース変更してくる人たちが毎年一定数いるからです。

そういう人たちが上位に割り込んできます。

 

偏差値2~3ポイントの差は、現在在籍している塾のクラス内における上位と下位の差くらいしかありません。

自分の成績より偏差値が低い学校を受けるのがもったいないと思わず、2~3ポイント分だけ有利だと考えた方が良いと思います。

 

いざ入学すると、後期日程で滑り込んできた最難関残念組がトップ層に来ます。

6年間頑張り続ければ逆転は可能ですが、頑張っていなければ永遠に追いつくことは出来ません。

後期で入学した元最難関組でも、サボっていると一気に学年順位が下がっていき、二度と這い上がれなくなります。

 

先のことを考えたら、少しでも余裕を持たせて入学することを意識するといいと思います。

 

 

偏差値60以上の人たち

 

志望校の選択の幅は凄く狭くなります。

基本的に最難関校を志望していないと「何で?」とか聞かれます。

 

偏差値65以上になると、男子なら灘志望でないと塾の先生からしつこく灘を勧められます。

灘を受けなくてもいいから灘コースに来なさいとか言われます。

東大寺第一志望なら、とりあえず灘を受けようと言われます。

 

女子なら洛南、西大和、四天王寺医志または高槻を勧められます。

神戸女学院志望だと「もったいない」とか言われます。

 

最難関以外の選択肢は「併願校」としてならありですが、第一志望としては考えられないという雰囲気に飲み込まれるのです。

 

ちなみにそういう最難関でもトップレベルの学校に行くと、大学は国公立医学部か東大・京大以外の選択肢が無くなります。

選択できないわけではないのですが、「負け組」とか「逃げた」というイメージがつくかもしれません。

 

難関レベルの学校でも、大学の指定校推薦は下のコースの人しか取れなかったりします。

上位はみんな国公立大学を受験するという雰囲気になります。

 

 

というわけで、レベル(成績)が上がったからといって、選択の幅が広がるわけではないのです。

 

「将来働いて給料を貰えるようになったらうまい棒が好きなだけ買える」なんていうのと一緒ですね。

 

 

 

ちなみに、現状では最難関校が厳しいという人が、最難関を諦めて難関志望にすると選択肢は一気に増えます。

勉強もすごく楽になります。

勉強が好きでない人には関関同立の附属校がお勧めです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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