毎月、公開テストが終わるたびに聞こえてくるのが「国語が酷い」という話。
私は算数、理科を教えているので国語を教えることはないのですが、「国語をどうしたらいいでしょうか?」なんていう相談を良くされます。
もちろん、国語のことは国語の先生に相談してくださいと答えるのですが、いくつか気付いたことがあります。
国語が酷い
「国語が悪い」「算数が悪い」なんていうのは昔からテストの度に聞いてきたセリフなのですが、最近は国語を「酷語」と呼ぶのが流行っているらしく、「国語が酷い」という言い方をする人が増えてきた気がします。
それが民間に広がり定着すれば、そのうち国語を「酷語」と呼ぶのも「間違いとは言えない」なんていう時代が来るかもしれません。
そうなれば、「国・算・理・社」の4教科も「酷・惨・離・捨」の4凶禍となるのかもしれません。
「算数が悪かった」と言ってくる生徒に私がいつも言うのは、「算数が悪いんとちゃう。自分が悪いんや。」です。
※生徒との信頼関係を構築した上でのやり取りです。
で、「国語が悪かった」と言われて同じことを言うのもアレなので、もう少しアレンジします。
「国語が悪かった」のではなく「私(僕)の国語の成績が悪かった」と言いなさいと。
そういうところを省略して喋るから国語力がないとか言われるのです。
そもそも国語って何をする科目なのかわかっていない人が多いです。
国語は日本語(標準語)を教える科目なのです。
私もいろいろな国を旅行したり、いくつかの言語を勉強しているうちに小学校教育の大切さというものに気が付きました。
世界で最も使われている言語は1位英語、2位北京語(中国)、3位ヒンディー語(インド)、4位スペイン語でこの4ヶ国語を出来るようになれば世界人口の50%をカバーできると言われています。
母国語とする言語でいうと1位が北京語です。
以前、スペインに行く機会があったので、1年間頑張って勉強したことがあります。
家にいる時間は常にスペイン語を流し、スペイン語のドラマや映画を見て、スペイン語初級・中級の文法、単語を3,000語くらいは覚えました。
延べ1000時間も聞いていると単語が聞き取れるようになってきます。
とりあえず日常会話の50%くらいは理解できるようになったかな?と調子に乗って訪れたのがバルセロナです。
バルセロナはスペイン東部のカタルーニャ州の都市です。
ところが現地の人はカタルーニャ語を使います。(公用語がスペイン語とカタルーニャ語)
当時はカタルーニャをスペインから独立されるという運動が盛り上がっていました。
つまり、彼らが何を言っているのか全然わからないということです。
で、レストランやホテルでは普通に英語で話しかけてきます。
とはいえ、彼らもスペイン語は出来るので、スペイン語で話しかけると英語で返事が返ってきます。
たまにスペイン語で話しかけられて、返答に困ったときは私も英語で返します。
「スペイン語いらんやん」と言われたら英語で返事するしかありません。
なぜ彼らが母国語ではないスペイン語が出来るのかというと、それは学校で習うからなのです。
フィリピンという国は島が7,000以上もあって、島ごとに微妙に言語が違うので全部で100以上の言語が存在すると言われています。
で、公用語がフィリピノ語(タガログ語)と英語。
タガログ語は首都マニラ周辺で使われる言語。
フィリピン人どうしでも母国語が違うと英語で会話するようです。
彼らは小学校1~2年生のときは現地語で授業を受け、3年生以降は段階的にフィリピノ語と英語を勉強します。
私の知り合いの中国系フィリピン人は家では中国語(広東語)、友達とはフィリピノ語、仕事では英語を使っています。
香港の人たちは日常的に広東語と英語を使っていますが、北京語も出来ます。
広東語は北京語と発音も違いますし、使用する漢字(繁体・簡体)も違います。
中国全体を見ても、地域・民族によってだいぶ言語が違うのですが、だいたい北京語はできます。
どこで北京語を勉強するかというと、小学校なのです。
ということで、小学校で習う国語は言語・民族が異なる人たちに公用語を教えるという大事な役割を持っているのです。
どこの国でも公用語となるのは首都周辺で使われる言語を基にした標準語ですね。
日本の場合は東京で使われる東京弁が基になって標準語が作られました。
ですが、現在の東京弁(口語)は標準語とはだいぶ違いますね。
その一方、テレビの普及により全国の方言が失われつつあり、関西弁もずいぶん標準語に寄ってきました。
塾で勉強する国語は中学受験だけでなく、大学受験にまで繋がる正しい日本語(標準語)を勉強する科目なのです。
ということは、その基礎となる小学校教育で標準語を覚えなければならないということです。
関西人で国語が苦手という人の中には標準語を毛嫌いする人が多い気がします。
そもそも学校の授業も先生がコテコテの関西弁で教えるので、標準語はいけ好かない東京のええかっこしいが使うキショい言葉でしかないのかもしれません。
将来、東大や東京周辺の大学を目指している人は早いうちから標準語を学んでおく必要があります。
ちなみにテレビだと、ニュースなどの報道番組で使われている言語が標準語です。
新聞や一般的な書物(国語で言う「説明文」に出てくる文章)は標準的な文語(文字言語)で書かれています。
受験に必要な国語力というのはこれですね。
手っ取り早く文語を学ぶには本を読むのがいいとされています。
しかし、標準的な文語で書かれていないものを読んでも国語力はつきにくいどころか、かえって混乱を招くかもしれません。
子ども向けの文学書は比較的易しい言葉だけで書かれていますが、これでは受験のレベルに届かないと思います。
中学受験に役に立ちそうな書物は何かといわれたら、ずばり入試問題に使われている書物ですよ。
入試問題でも出典(引用元の文献)が書かれていますから、その本を買って読むというのがベストだと思います。
読むのが面倒?難しい?ダルい?疲れる?
そこを頑張って読むのが「国語力」なのです。
文系(文学系)の世界では読んだ本の数、あるいは蔵書の数でマウントを取り合います。
読んだ本の内容は覚えている前提で、その数が多いほど知識が多いというルールのようです。
自宅に書庫があるのがステータスになっています。
世界的に見て、教育水準の高い国ほど識字率も高く、標準語が浸透しています。
で、学歴が高い人ほど多くの言語を使いこなします。
日本で大学を出ても英語が喋れないというのは問題だと言われますが、それは単に口語の問題であって文章の読解力はそれなりに高いと思いますよ。
知らんけど。
英単語を3000語覚えたら8割理解できるとか言われていますが、8割の理解力では入試問題は解けません。
日常会話程度だと思ってください。
「今日のテストどうやった?」
「ふつう」
「どういうこと?合格点取れたん?」
「合格点は取れた」
「またミスしたんやろ?」
「次は気ぃつけるわ」
と、こんなレベルの会話ですね。
知らんけど。
国語力を高めたいのであればそこから変えていきましょう。
「今回の復習テストの結果は如何でしたか?」
「可もなく不可もなくといったところです」
「表現が曖昧ですね。合格点には到達できましたか?」
「それは達成しました」
「懸念されていた過失等はありませんでしたか?」
「それを踏まえて今後の改善点とします」
と、こんな感じですね。
然も有りぬべし。
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