繋がり | あーすはーとのブログ

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現在、過去の出来事や体験談、役に立ちそうな情報なんかを日々発信していきます。よかったらいつでも気楽に立ち寄っていってください^^

この世の中で本当に大事なものっていったい何なんでしょう?もちろんそれは人それぞれですが、皆そんなに違わないと思います。その大事なものの中の一つに「繋がり」というものがあります。


「繋がり」、つまりそれは人との「繋がり」であったり、思い出の場所、思い出の時間、特別な音楽、特別な臭いなどかもしれません。人って生きていると必ず何かと「繋がる」ものですよね。


私のいる介護施設に以前Aさんという女性の方がいました。Aさんは全介助が必要な方で、自分の言いたいことも口にすることが既にできなくなっていました。食事を援助しようとしてもなかなか口を開いてくれません。手足も拘縮してしまい自分では何も持てなくなってしまっていたんです。


あるとき娘さんが施設に訪れました。それは夕食時のことでした。普通施設を訪れる方って日中来られる方が多いんですが、その娘さんはわざわざ夕食の時にAさんが大好きな食事を持参され、ご自分で母に食べさせようとされていました。


「母さん、今日はかあさんの大好きなご飯持ってきたよ。」「母さん」


Aさんはそれでも口を開けることはありませんでした。でもいつもと違う表情をされていたんです。娘さんの気持ちが痛いほど伝わっていたんですね、きっと。


数日後Aさんは亡くなられました。


私が夜勤の時に様態が悪化してしまったんです。急いで管理者に連絡を取りました。Aさんは施設で看取ることに既になっていて、救急搬送はもう行わないとの事。娘さんに連絡を入れました。その晩娘さんは母親のベットの横でずっと一緒にいました。そして次の日の朝Aさんは静かに息を引き取られたんです。


人が亡くなる前というのは呼吸が途切れ途切れになっていきます。Aさんもそうでした。娘さんが来るまで間に合わないと思ったことも何回もあったんですが、その度にAさんに訴えたんです。「まだ行かないでAさん、今娘さんが急いで会いに来ますから、もう少し待ってて!!」


その度にAさんは何とか持ちこたえていたんです。娘さんに最後に一目会いたい一心で。。。あとでそのことを娘さんに伝えるととても優しい顔で「ありがとう」って言われ微笑んでいました。


娘さんはバレー教室の先生です。いつもクリスマスの時期になると自分の生徒を連れてきて施設でバレーをほかの入居者さんたちにも披露してくれていたんです。ただAさんは去年のクリスマス前に亡くなられたので、今回はもういらっしゃらないと職員のだれもが思っていたんです。


ところが娘さんはいつも通り自分のバレー教室の生徒を引き連れクリスマスに来てくれたんです、Aさんの大きな写真と一緒に。


そしてバレーの発表会の後、帰る前に入居者さんたちに一言言われました。


「みなさん覚えていますか?私の母のAです。ここで皆さんとご一緒させていただいていたんですよ。私はまた来年もその次の年も皆さんに合いに来ますからね。だからみなさんも私の母の事忘れないで覚えていてくださいね」


介護の仕事をしていると本当に毎日いろんなことに巡り合います。それはいつも楽しいことばかりではないけど、生きているって何だろうと毎回考えさせられます。


人はいったい最後に何を思い出すのでしょうか。一体いくつ思い出すのでしょうか。多分それは何も特別なことではなく、日々のなんでもない生活の事なのではないでしょうか。つまりそれこそが私たちのこの世界との「繋がり」の証なのではないのでしょうか。


今年のクリスマスもAさんに会えることを楽しみにしています。