東証1部上場企業の条件とは?(後編)
2019/3/16 日本経済新聞『東証1部 企業絞り込み』『優良企業にマネー誘導』から東証1部上場企業を絞り込み議論の最大の狙いは、同日紙面の「優良企業にマネー誘導」にありますように、優良企業と小粒企業が数多く混在する玉石混淆の東証1部に公的資金等の日本人のお金が流入し続けているという問題を解消し、大切な国富(国民のお金)を優良企業へと向かわせたいとの思惑があるようです。改めて世界の証券市場の国際比較を目にするとビックリします。東証1部2,100社、ロンドン500社強、ユーロネクスト300程度で企業数では図抜けています。一方、時価総額の中央値では東証1部570億円、ユーロネクスト約6,100億円、ロンドンやNYでも1000億円から2,000億円と海外には遠く及びません。2019/03/16日経新聞より東証1部「小粒銘柄大量発生」問題は、2部とマザーズを経由し、時価総額40億円あれば1部に「内部昇格」ができてしまう上場基準の緩さに起因します。さらに「1部上場ゴール」問題も指摘されています。現在の東証1部は時価総額20億円を維持していれば上場を続けることができ、東証1部であれば公的資金などの資金で株価が下支えされ、現状に満足して成長を目指さなくなってしまう企業も少なからずあると批判されています。東証1部全体に薄く広く面で投資する「パッシブ運用」の資金規模は大きく、公的年金を運用するGPIFで約27兆円、金融緩和でETF買い入れをしている日銀でも約16兆円にのぼる言われています。東証による上場維持の時価総額250億円への引き上げは、約720社の1部からの除外が予想されることから、資金調達や採用活動へのネガティブな影響を考慮し3年以上の移行期間を設けるようです。こうした東証1部上場企業の絞り込みによって、優良企業へとマネーは誘導されてゆくことでしょう。最後に記事では、この弊害として公的マネーが一部の企業に集中し「日銀が多くの大株主になる」というイビツな状態となることから、日銀はETF購入という緩和手法の修正を迫られる可能性もあると言及しています。個人的にはこの東証1部企業「絞り込み」はとても賛成です。私はプライベートバンカーとして、多くの創業経営者や投資ファンドなどの「株主」の方々とお会いしてきましたが、世の中に付加価値を提供するという素晴らしい志で創業・発展させた会社も、上場を境に残念な方針転換や会社の衰退となる場面を幾度となく目にしました。※勿論、すべての方がそうである訳であるはずはなく、上場後も「世のため人のためという理念」を情熱をもって経営に専念している方もたくさん知っています。そしてこのトピックでは触れていませんが、資本市場を通じて大切な資金を運用する投資家への配慮も忘れてはなりません。それはパッシブ運用がベンチマークとするTOPIXという指数の継続性です。資本市場の国際的競争力を高める整備はとても大切なことですが、その市場にリスクをとって参加する様々な投資家に対し、安心した継続性がある市場を提供することも是非期待したいと強く感じます。ビジネスや社会生活のどんなことでも一貫した継続性こそ信頼の証(あかし)だと思うのです。