2019/3/11 日本経済新聞月曜経済観測から
『米景気の持続力は』より
快走を続けてきた米景気に減速感が漂い始めていますが、果たして失速懸念や危機の予兆はあるのでしょうか?
米シカゴ大教授のR・クロズナー氏の見解より。
米国景気はショックや逆風のもとでも堅調さをキープしている。税制改革効果が継続し労働市場も強く、失業率は一時上昇しながらも多くの人々が労働市場に戻っている。
グローバルな先行き不透明感が投資判断に影響するのは確かで、欧州は明確に減速・中国経済の成長鈍化・貿易摩擦も不透明な中、世界規模で企業活動を行う米国企業の収益見通しは低下しつつあるとしています。
加えて財政の不確実性も企業心理には重荷だとし、債務上限引き上げ問題など政治的な不安定さを孕む中での、外部ショックに対する政府の対応能力に疑問を呈しています。
米国経済の後退リスクについては「19年の成長率は2%前後と18年に比べては鈍化しているが、現時点でのファンダメンタルズから後退を示す材料はない。しかし財政の政策判断ミスはトラブルになる」ともしています。
FRBによる政策金利利上げ停止の判断も「政策金利は緩和でも引き締めでもない中立金利近辺となり、この水準でいったん立ち止まり雇用・経済活動・インフレの影響を見極めるのはとても自然だ」と言及し、「大きなショックやインフレ状況とならない限り、当面様子見しデータでの実態把握を待つ必要がある」としています。
金融危機から10年あまり経過し、次なる危機の可能性についても、「レバレッジドローン(高リスクの融資)による投資拡大には注意とし、局所的ショック(小さな火種)を増幅させ急速にシステム全体に広げてしまうが、現在の米国では07-09年頃程に過剰債務の蓄積は起こっておらず、リスクへの意識も高くなっている」としています。
しかし、グローバルな観点から市場が過小評価しているのは「イタリア経済」をあげ、
「政府の債務返済の意思や能力は不安があり、銀行には不良債権が多く残る上、資本増強もまだ遅れていることが、
欧州発の世界経済不安に起こりうる」としています。
※イタリアやスペインの銀行も金融危機後、資本増強の一環として
「劣後債」、「優先出資証券」や「CoCo債」を発行し、グローバルな投資家にたくさん流通しているので、何か起こらなければ良いなと・・・
R・クロズナー氏は06-09年にFRB理事を務め、金融規制や恐慌に詳しい専門家であるようです。
現在の経済状況や今後の経済動向を「バブルと恐慌は繰り返す可能性は高く、その発祥の火種をリスクの観点から分析する」とても大切な視点だと思います。