索引・ホイル・女優誕生 | DVD放浪記

索引・ホイル・女優誕生

店頭で見た中公文庫版の『浪漫疾風録』『星になれるか』の巻末には索引が付いていたのでそう記したけれど、私が購入したキンドル本は講談社文庫版で、索引はなかった。

 

中公文庫版のキンドル本にも索引があるかどうかは不明だけれど、その確認のためにあえて買い直すつもりは毛頭ない。ただ、ちょっと気になることがあるので、若干補足しておきたい。

 

 

 


それは、仮に索引があったとしても、そこから本文ページの該当箇所には飛べない仕様となっている可能性が高く、電子書籍の「索引」なるものに過剰な期待はしないほうがいいと思われることだ。


書籍が電子化される場合、索引はよく割愛される。これは、索引項目に挙げられた個々の参照ページが、電子書籍上のページにうまく対応しない(or 対応させにくい)からだろう。仮に本文の該当箇所にリンクさせることが技術的に可能であったとしても、かなり手間がかかる作業だろうし、その後の動作確認チェックなど地獄に違いない。(^^; 

私が購入したキンドル本の数などたかが知れているわけだけれど、そうした手間暇をかけた索引にお目にかかったことが一度だけある。Jane Gregory がイギリスの高名な物理学者(一般向けの科学啓蒙書やSF小説も数多く手がけている)、フレッド・ホイルの足跡をたどった、FRED HOYLE’S UNIVERSE がそれである。

フレッド・ホイル?

◆ ホイルをめぐる3本の映画

 

 

 

 

 

ご覧のように、索引の各参照ページ(青字部分)から本文へリンクが貼られているのである! Subramanyan Chandrasekhar もあれば、あの「ドクトル・ジバゴ」や「華氏451」などに出演した女優 Julie Christie の名前も見える。(^^;
Chandrasekhar?

ただ、紙の書籍の1ページがアマゾンの専用タブレットの KindleFire の表示画面1ページ分に正確に対応しているわけではないので、飛んだ先の次の(そして、その次の)ページを見る必要がある場合もある。ま、それでも、この索引は間違いなく労作といっていいと思う。版元は Oxford University Press である。


では、たとえば、Cambridge University Press だったらどうだろうか? (^^; これは同じ人物の伝記で比較するのが公平というものだろう。Simon Mitton が著した、FRED HOYLE A LIFE IN SCIENCE の巻末にある索引は以下のとおりである。

 

 

 

 

 

 

実にそっけないテキストのまんまで、本文ページへのリンク機能はない。ホイル自身はケンブリッジ大学出身なわけだが、これを見る限りでは、オックスフォードのほうがよっぽど手間をかけているように見えるではないか! (^^;

 

ただ、それでも、こうした項目が含まれているとわかること自体が貴重な情報となりうるし、その項目をコピペして検索すれば、関連ページへアクセスできるわけだから、リンク機能なしの索引だとしても、そう悪いものではないだろう。

 

もう一点。上下2巻とか、複数巻が1冊に合本化されても、各巻の索引がそのまま引き継がれるだけで、電子書籍用に新たな総合索引が編集されることはまずない(と思う)。物理的に各巻を束ねてそのまま製本したようなものである。まあ、これはあたりまえか……(^^;

 


 


ちなみに、FRED HOYLE A LIFE IN SCIENCE の索引にも、Julie Christie の名前がエントリーしている! ホイルがあの有名女優と浮き名を流していたとでもいうのだろうか? 

 

実は、彼女はホイルのおかげでTVデビューのチャンスをつかんだのだ。ホイルと J・エリオット共作による『アンドロメダのA』BBCでドラマ化される際、当時無名だったクリスティーをひと目見てホイルはエリオットの腕をつかみ、‘She’s the one. I want her.’ と告げたという。女優クリスティー誕生の瞬間である。どんな経緯だったのか興味のある方は、実際に本にあたってみていただきたい……って、そんなヒマな人いるわけないか。(^^; 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、誤解を招くといけないので付け加えておくと、ホイルは多方面の才能に恵まれた稀有な人物だったけれど、なによりも本業でノーベル賞級の業績を残した優れた学者だった。FRED HOYLE A LIFE IN SCIENCE に寄せられた Paul Davies の序文は、サンプル版で全文を読むことができる。

ホイル語録?

 

意欲のある方には、ホイル自身が著した、Home Is Where the Wind Blows: Chapters from a Cosmologist's Life もあるのだが……(^^;