EMPIRE OF THE STARS
アーサー・I. ミラーの『ブラックホールを見つけた男』上・下巻をやっと読了。
原題は EMPIRE OF THE STARS 。 これを最初に見たときには、銀河系の中心核に鎮座し、闇の帝王然として広大な星の世界を統べる巨大ブラックホールのイメージがなんとなく思い浮かんだのだけれど、サブタイトルには、
Friendship, Obsession, and Betrayal in the Quest for Black Holes
とある。「ブラックホール探求における、友情、妄執、そして裏切り」といったところか。とすれば、 原題は、きら星のごとく光り輝く科学者たちの住まう独特な世界を意味しているのだろうか。
本書の上巻は、植民地時代のインドに生まれ、数理に秀でた天才児として周囲の期待を担って勇躍ケンブリッジ大学にやってきたスブラマニアン・チャンドラセカールが、今でいうブラックホールが存在しうる可能性に言及したその発表の場で、師と仰ぐ天体物理学の巨人アーサー・スタンリー・エディントンによってその内容を全否定される場面から幕を開け、著名研究者らによって翻弄される少壮研究者の挫折と苦悩の日々が描かれるが、下巻は、その後ブラックホール研究の進展に貢献した多くの科学者たちの群像劇の趣を呈している。
特に、一般的な科学解説書では詳述されることの少ないエディントンの特異な性格や、当時の英国学界の雰囲気、そしてマンハッタン計画後の水爆開発と超新星研究との密接な関係などは興味深いものがある。
文庫 ブラックホールを見つけた男 上 (草思社文庫)/アーサー・I. ミラー
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文庫 ブラックホールを見つけた男 下 (草思社文庫)/アーサー・I. ミラー
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『ブラックホールを見つけた男』をもう一度読み返した後で、次に読むべき本は、ディレイニーの『ノヴァ』かな。(^^; 顧みれば、大学時代にバンタム・ブックス版(あの表紙もよかったなぁ)で読んだだけで、伊藤典夫の翻訳は読まずじまいでここまで来てしまっていたわけだ。
◆ Nova
ノヴァ (ハヤカワ文庫SF)/サミュエル・R. ディレイニー
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とある。「ブラックホール探求における、友情、妄執、そして裏切り」といったところか。とすれば、 原題は、きら星のごとく光り輝く科学者たちの住まう独特な世界を意味しているのだろうか。
本書の上巻は、植民地時代のインドに生まれ、数理に秀でた天才児として周囲の期待を担って勇躍ケンブリッジ大学にやってきたスブラマニアン・チャンドラセカールが、今でいうブラックホールが存在しうる可能性に言及したその発表の場で、師と仰ぐ天体物理学の巨人アーサー・スタンリー・エディントンによってその内容を全否定される場面から幕を開け、著名研究者らによって翻弄される少壮研究者の挫折と苦悩の日々が描かれるが、下巻は、その後ブラックホール研究の進展に貢献した多くの科学者たちの群像劇の趣を呈している。
特に、一般的な科学解説書では詳述されることの少ないエディントンの特異な性格や、当時の英国学界の雰囲気、そしてマンハッタン計画後の水爆開発と超新星研究との密接な関係などは興味深いものがある。
文庫 ブラックホールを見つけた男 上 (草思社文庫)/アーサー・I. ミラー
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ノヴァ (ハヤカワ文庫SF)/サミュエル・R. ディレイニー
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