今月の13日に市川崑監督が92歳で亡くなられました。
監督の作品では犬神家の一族(1976年)を始めとする金田一シリーズが僕にとっては好きな作品となっています。
その昔、学生の頃撮影所でアルバイトをしていた時期があります。
仕事は製作部の助手兼ステージマン。
役者さんやスタッフの為にお弁当やお茶の準備をしたりステージの掃除から本番時などの人除けや車止めです。
ただ人手が足りないといろいろやらされましたが・・・・と言うより好きなので好んでやっちゃいましたが
ちょうど市川監督の作品も何本か就いた事があります。
作品は吉永小百合さん主演の「おはん」(1984年)、中井貴一主演の「ビルマの竪琴」(1985年)
「おはん」ではよく監督や石坂浩二さんがスタッフに差し入れをしてくれたのを覚えています。
たしか監督はとんかつ弁当だったような?あれ大原麗子さんだったかな?石坂さんは何故かヤクルトでしたね
「ビルマの竪琴」ではビルマの捕虜収容所のシーンを撮影するため、調布の現在味の素スタジアムがある辺りの関東村という広大なスペースにオープンセットを組んで撮影が行われました。
また収容所屋内シーンでは撮影所内のステージにセットを組むわけですが、ある日役者さんが二人来ないため代役を頼まれた事があります。
本格的にドーランなど塗られたりしています。
同僚は僕とのジャンケンに負けたため、この格好で昼のお弁当を所外に買いに行ってましたね~
ところが数回テストののち本番前に役者さん2名が来られたので出演なしと言う事になってしまいました。
ジャンジャンです
また大きな船のセットをステージ内に作りビルマから日本兵が復員船で帰るシーンを撮影するんですが、その船底に付いている棒をみんなで持って揺らすんです。
その重労働後の休憩の時みんなが棒に跨り休んでいると、ステージの入り口から取り巻きを数人連れた大柄の方がこちらに歩いて来られたんです。
外の光が眩しくシルエットで誰だか判りません。
振り返ると市川監督も後ろからこちらへ。
そして目の前でお二人が話し始めたんですが、もう一人の方というのがちょうど「乱」(1985年)を撮られていた黒澤明監督だったんですよ
もービックリですよ
巨匠お二人が目の前で
会話の内容はあまりの威圧感に圧倒され覚えていませんが、たしか第一声は「崑ちゃんナニやってんの~」みたいな感じだった気がします。
この体験は僕にとって宝物となっています。
その後学校を卒業してフリーで撮影の仕事をしている時に沢口靖子主演の「竹取物語」(1987年)で再び仕事をさせていただきましたが、この作品では本編班ではなく特撮班でしたので又の機会にお話したいと思います。
市川崑監督のご冥福をお祈りいたします。