歴史から学ぼうシリーズ 恥と言う意識−老害と言われない様に− | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

今年は数年振りに大河ドラマを見ています。

ドラマですからある程度史実に沿いつつ、中には多少史実と違う部分や綺麗に纏めたなぁと思う部分もある事でしょう。

しかし、少し前に放送された、築山殿の図り事が漏れて自害された瀬名さんが自らの命を持って始末をつけると言う身の処し方は、戦乱の世の厳しさを感じると共に、日本人の誇りの高さを感じさせられます。

奪い合うのではなく、支え合って和合して行きましょう。
その為にはお互いに違いがあって、言い分もあるけれど方向を1つにして相容れない所は理解はしていきましょう。

これは遥か縄文の時代に尊ばれた生き方です。

日本の暦では10月は神無月と呼ばれます。
これは1年に一度、それぞれの長(当時は長は「かみ」とも呼ばれました)が集まり、相談事をした事から始まります。

「今年は日照り続きで、米の出来が悪いんだけど…」
「それなら、うちから届させましょう」
「おお、うちからも出すぞ。その代わり塩を少しばかり用立ててくれんかの…」

等と言う様に皆で助け合い、困った事があれば知恵を出し合い、1万年以上もの間争いも無く平和に生きたのが縄文の時代。

この縄文の精神が脈々と日本人の中に受け継がれているからこそ、後に争いの時代が来ても、分け合う精神で支え合ったり、国を変えて行こうと言う動きが起きたのだと思います。

神武天皇が国民を大御宝(おおみたから)と呼んだのも、ご自身が支配構造の頂点と言う考え方ではなく、国民は天照大神様の宝物なのだから、1人1人の持つ神性を尊び、皆で支え合って国を盛り立てようと言うお考えがあったのではないかと思います。

さて、どんなに尊い考えであっても戦乱の世や現代の様な物質主義の世の中では、力ある者が捻り潰そうものなら右に倣えです(その時代もそろそろ終わりますけどね)

どんなに正しい策であってもトップの意に添わなければ異端であり反逆者。

その様な世の中で、自分の考えを信じ、自分が行った事は自分で後始末をすると言う生き方が戦乱のトップ(奥方を含む)の生き方だったのでしょう。

身分の高い女性は自分で身を処す為に短刀を携えていましたものね。
自分の血を以って責任を取り、時にはこれ以上踏み込むなと血で結界を張り民を守ると言う意志の表れだったのでしょう。

さて、現代はその様な重々しい時代でなくなったのは有難い事ですが、自分の後始末が出来なくなった大人が随分と横行している様です。

何か不祥事を起こせば部下が作った想定問答通りの答弁をし、取り敢えず頭を下げておけばその場が収まると思っている様な輩が多すぎます。

そして頭をすげ替え、場合によっては熱りが冷めた頃、しれ〜っと登場する、まるでゾンビの様な輩が多い。

彼らは「病院」と書いてホテルと読むのでしょうかね?

ずっと昔、頭を下げたお猿の横に「反省だけなら猿でも出来る」と言うウィットに富んだキャッチコピーがあった様に、本来頭を下げると言う事は、身を斬られる思いで行われた筈です。

人前で頭を下げると言う事は、人として自分のプライドを貶める恥の意識です。
誇りのある人間なら屈辱的な事なんですよ、本来は。

だから、そう易々とは頭を下げなかったと思います。
いや、おいそれと頭を下げる様な行為はしなかったんです。

それを現代ならば、取り敢えず頭でも下げておくか…、と言ったところでしょか。

良く分かりませんが、多分、腹を切ると言う時代がありましたが、人命を遵守する為に髷(まげ)を落とす事に変わり、今は髷がありませんから頭を下げる様になったのではないか?と勝手に想像しますが、その位、頭を下げる程の行為は責任が重かったのだと思います。

老害…迷惑をかける年配者の事をこのように呼びますね。
世知辛い世の中ですから、ちょっとばかり公的な助けを借りるだけでも老害等と呼ばれかねない世の中です。

でも、敢えて言わせていただけば、私は年を重ねて健康的に自由が利かなくなれば人の手を借りていい。

多少頑固に信念を曲げないお年寄りがいたって良いと思います。

そこをやって貰って当然と言う気持ちではなく、感謝の気持ちを持ってお願いするのは、誰もが平等に与えられた権利です。  

それを管理職だった昔の気分のままで、ああでもない、こうでもらないと威張り腐れば老害です。

働くには身体も気力も追いつかなくなれば、年金を頂く事も当然あっていい。

年金については若い方が自分達の時代には無いと言いますが、年金には及びませんが、貴方がたが若者が頂いてきたお小遣いやプレゼントはおじいちゃん・おばぁちゃんが年金を遣り繰りしたモノである事をお忘れなく。

拝金主義な大人の背中ばかり見させられれば、コスパだのなんだのと損得しか考えないさもしい若者が増えて行くのも然りですが、自分達が頂いたお小遣いが年金の先取りをしていると思えば、モノは循環しているだけだと悟り、少しは謙虚な気持ちになるでしょう。

話しを大人達に戻しますが、ただ保身ばかりを考え、部下や社員をトカゲに尻尾切りの様に扱って平然としている様な、若い世代に対して百害あって一利なしの生き方こそ老害だと思うんですね。

そう言うのが、いつまでも現役で蔓延っているから世の中変わらないんです。

多分、もうそろそろ、このトップダウンと言う考え方は変わっていくでしょうね。
既に業績の伸びている企業は、トップダウンの逆を行っていますし…。

先日、ハリウッドでハリウッドスターのコーチングをされている方のセミナーに行ってきました。

そこで伺った話しですが、アメリカでは皆大谷選手が大好きなんだそうです。
そして、これまで日本に興味を持たなかった人の間でも大谷選手を通して日本に注目しているそうですよ。

大谷選手の格好良さは結果を出している所も去ることながら、謙虚であり真摯に自分のやるべき事に向き合っている事、オフでも自分がチームの為に何が貢献できるかを考え実行している姿勢がパフォーマンスに繋がるからでしょう。

襟元を正すと言うのでしょうか…きっと、どんな事が起きても他人のせいにしないでしょうし、例え誰かのミスであっても自分の事として捉えるのではないかと思います。

まさに自分の後始末は自分でする、日本人の精神を体現した人だと思います。

今、大谷選手以外にもこの様な若い人が出て来ている事は何とも嬉しい事です。
まさに汚濁の中から蓮の花が咲くと言ったところでしょうか?

この様な日本人の美徳を体現している様な方は海外では珍しいのでしょう。
だから注文されるし、惹かれるのかも知れません。

世の中、反面教師も必要ですが、人角に立つ人なら、潔く正々堂々誇りを持って前に出て来て頂きたい!

ゆめゆめ、若い世代から(精神面で)老害と呼ばれない様に…勿論、中年世代の方々もね。