先日、ギンザSIXにある「真田」に行ってまいりました。
ここ数年、ワインから離れたら途端に和食や美味しいお蕎麦屋さんに興味が行き、ずっと訪問したいと思いつつ機会がなかったのが「真田」。
お蕎麦屋さんと言うと、お蕎麦以外は天ぷら、板わさ、厚焼き玉子と言ったメニューが定番で、お蕎麦屋さんだけで栄養バランスを摂ろうとするのは無理難問。
しかし、ここ「真田」は信州料理に拘ったお店なので嬉しい事に前菜盛り合わせ等もあり、ゆったりと楽しめそうな嬉しいお蕎麦屋さんです。
さて、観光客でザワツク銀座だけに昼時のSIXは油断がならない。
まぁ、若者や異人さんは肉系かイタリアン等の洋食系に流れるだろうから、和食の「真田」は余裕かと思いきや、60席ある店内のテーブル席は満席。
1人訪問が功をなしてカウンター席なら直ぐに案内できるとの事で、カウンター席へ。
和光の時計台の見える、中々眺めの良い席でした。
食い意地の張っている私は、もうずっと以前から「お品書き」を熟読しており、前菜7点盛りとお蕎麦のついた昼のコースと決めていたのですが、事もあろうに前の週末に突然お腹の調子が悪くなると言うアクシデントに見舞われた為、お蕎麦に付いている天ぷらは出来れば外したい。(元々、アルコールなしで天ぷらを食べると胸やけをするし…)
そこで「可能ならば…」と言う事で相談をすると、お店の方も「へっ?」と言った表情。
そりゃ、そうだろう。
いくらお蕎麦屋さんとは言え、メインは要らないと言っているのだから、天せいろを頼んでおいて天ぷらは要らないと言っているのと同じだ。
一応OKが出たが、お店の方が気遣って色々ご提示をして下さる。
でも、値段の問題じゃなくて、本当に要らないのよぉ〜。
…と言う事で、単品で前菜7点盛りと十割蕎麦を頂く事に。
先ずは、若積みシャルドネの葡萄ジュースのソーダ割。
多分、果粒を低温圧搾してモスト(果汁と果皮)を漬込んだのだと思います。
シャルドネはワインにするとマスカットの香りは出ず、ニュートラルな品種なので寒い地方ならリンゴや柑橘系の香りが、暖かい国なら、かりんのコンフィチュールやパッションフルーツの様な香りが出るのですが、こちらのジュースは低温で管理されているのか、テルペン香と言ってマスカットの香りがしてノンアルコールドリンクとして楽しむにはとても美味しかったです。
丁度、甘くないイタリアのアスティスプマンテと言った味わい。
アルコールを控えている方にとっては、スパークリングワインの代りとして食事と共に楽しめる有難い一杯です。
前菜7点盛り。
信州は山間の地方なので保存食文化が発達している地域。
勿論、現代は野菜にしてもお肉にしても美味しいものが盛沢山で、首都圏に近い場所では一番美味しいものが揃っている地域なのでは?
左手前の高野豆腐の煮物はホッとする美味しいさ。
ズッキーニと一緒にいる里芋(八つ頭ですかね?)の素揚げや、右側奥にあるお味噌と一緒に頂く自野菜のサラダも美味しかったです。
お料理の1つ1つが、お味噌やお醤油の代り使われている豆(これ名前があるんですよねぇナントか豆って、確か…)が使われていたり、身体を労わる地味深いお料理が嬉しいです。流石、長寿県です。
地鶏のたたきも絶品ですよ。
せいろそばの登場。十割そばをクルミタレで。
勝手な想像でくるみたれ少し甘みがあるのかと思いきや、甘味はなく、濃厚でありながらサッパリ。蕎麦湯を頂いて、全て飲み干しました。
十割そばは物凄く弾力がありました。
「くるみたれ」にはハマってしまいましたが、個人的には十割ではない普通のお蕎麦の方がバランスが良い感じがするので、今度は普通のお蕎麦で是非食べたいところです。
世界地図でみると日本は本当に小さな島国ですが、食の世界は本当に地方色が豊かだなぁ、と感じます。
山間の地方だったり、海沿いの街、雪深さから乾物が発達した村等々。
その地方に合わせた料理が都心に居ながら頂けるのですが、本当に贅沢な事。
真田と言うその名前から、真田幸村の時代は現代の言う食文化と言う概念ではなく、食物が無くなる長い冬の時代を生きる為に知恵を凝らして工夫をされて来たのでしょう。
痩せた土地でも栽培出来る蕎麦の実を取って蕎麦を打つ。
信州は蕎麦文化はこの様な土地柄から発達したのでしょうね。
現代は楽しむ為の食として古の知恵が残されているのも幸せな事。
バラエティ豊かな日本の食の奥深さを楽しめるのも、年齢を重ねたご褒美なのでしょうね。
地味深さもありながら、洗練された今風の郷土料理でした。