ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」
マイヤーリンクの心中事件④
ぐぅったり〜〜。
ついに、ルドルフは起き上がる事も出来なくなってしまう。
このままではルドルフは死んでしまうのではないかと案じた侍従がシシィに皇太子の教育について、どんな酷いことが行われているか細かに報告した。
「何ですって!? 一体あの人は何を考えているのでしょう!! 直ぐに止めさせなくては」
シシィはフランツ・ヨーゼフに直談判に行く。
「何を大袈裟な。 あの子は男の子だ、この位耐えられるだろう? この程度の訓練で音を上げる様な軟弱者にはこの帝国の継承者は務まらないよ! シシィ、君は家にいないから何も分かってないんだ」と聞く耳を持たない。
(そうよね、生まれたばかりの赤ん坊を大佐に任命したバカ親子だもんね!)
とうとうシシィは最後通牒を言い渡す。
「分かったわ。 貴方が止めないと言うのなら、私はここを出て行きます!!」
シシィが離婚を切り出す。
フランツ・ヨーゼフはこれが一番キツい。
「ひえ~、離婚?! 嘘だろ? 嘘だよね? シシィ、離婚なんてしないよね?」
「いいえ、しますとも。今すぐ荷物を纏めて出て行きますっ! 金輪際この家の敷居は跨ぎませんから、さようならっ!」
プイっと踵を返すシシィの腕をつかむと
「分かった、分かった。今すぐ止めさせるから、離婚だけは考え直してよ。ねっ、ねっ。」
「そっ! それじゃ、あの子の教育方法や教師の選定は私に任せるわね」
「任せる、任せる。シシィの好きにして良いから…」
(やった!)
シシィはここぞとばかりに要求書を突きつけた。
「子供達が成人するまで、だれを側に置くのか、どういう教育を受けさせるのかと言った彼らに関する事は全部私1人に決めさせて頂きたいのです。ついでにいうと、私個人の事に関しては、とりわけ使用人の選択、旅行中の滞在先、家の中の整備などを決める権利は私ひとりにある事を希望します!」
つづく