ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」
マイヤーリンクの心中事件②
ルドルフもまた、生まれてすぐに母親から引き離され、大公妃ゾフィーの元で育てられた。
待望の男の子だ。
「ルドルフをハプスブルク家の将来を担う立派な支配者に育てなくては!」
そう意気込むゾフィーにとって、シシィは有害な人物にしか見えない。
その為、シシィとルドルフは必要最小限の範囲でしか会う事が許されなかった。
シシィもこれ迄の経験から、ルドルフの事は国家にくれた子供とみなし、ルドルフの事を顧みる事はなかった。
「よーし、この子を大佐に任命しよう!」
フランツ・ヨーゼフは生まれたばかりのルドルフを抱上げ、嬉しそうに肩書を与えた。
「まぁ、フランツィーったら、気が早いわね」
「いいんだよ、母上。どうせいつかは大佐になるんだから。パパの様な立派な軍人になるんだよぉ~」
馬鹿2人っつーか、なんちゅうか・・・・しかし、これがルドルフの不幸の始まりだった。
つづく