マイヤーリンクの心中事件① | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」

マイヤーリンクの心中事件①

 

 

「……うっ。たっ、大変だーっ!!!

「直ぐに皇帝陛下と皇后陛下に連絡を!

 

皇太子の死は直ぐに宮廷にいる皇帝夫妻に伝えられた。

 

「皇帝陛下…」

 

フランツ・ヨーゼフは何か只ならぬ出来事が起こった事を直観的に予測した。

 

「ルドルフ様が…今朝方、ご遺体で発見されました」

 

「なっ、何と…」フランツ・ヨーゼフはガックリと肩を落とす。

 

一瞬何が起こったのか理解出来なかったが、直ぐにシシィの事が頭に浮かぶ。

シシィが息子の死を知ったら…きっとシシィのか細い神経をズタズタにするのではないか?

 

「で、皇妃には伝えたのか?」

 

「はっ、只今、皇后陛下の元に使いの者を寄こしております」

 

「そうか…」

 

マイヤーリンクでは、遺体の検証が行われていた。

やがて銃弾自殺を図った皇太子の遺体は戻ってくるだろう。

 

 

皇太子ルドルフ。

この人程孤独な王子はいないだろう…。

 

 

 

つづく