ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」
愛は永遠に、フランツ死す②
レオポルトは結婚後直ぐにトスカーナに赴任し、父の後を継いでトスカーナ大公となる事が決まっていた。
さて、レオポルトの結婚式は何処で行えば良いだろう…
フランツは、結婚式は宮廷からもそれ程遠くない、温暖で気候の良いグラーツで行うのが良かろうと考えた。
しかし、テレーゼは花嫁はバルセロナから来るのだし、きっと旅の疲れがあるに違いない。
新婚夫妻は挙式後真っ直ぐフィレンツェに赴任するのだから、チロルの中心地インスブルックなら、新婦の負担が少ないのではないか?とインスブルックを推した。
テレーゼにとって、インスブルックは夫フランツと新婚旅行で訪れた思い出の地であり、今回のチロル行きはインスブルック情勢の強化も兼ねていたのだった。
結果、ポルドルの婚礼はテレーゼの強い希望が採用されて、インスブルックに決まった。
丁度この頃、肥満体型にあったフランツは、時々夜寝ている間に発作を起こす事があった。
折しも、運悪く8月とは言え滞在中のインスブルックは、蒸し暑く、重苦しくて不快な気候が続いていた。
そのせいだろうか、インスブルック滞在中、フランツは激しい呼吸困難に苦しんだ。
「この気候にはまいったなぁ…早くウィーンに帰りたいものだ」
山の気候はフランツの心臓には厳しかったようだった。
つづく