中世最後の騎士マクシミリアン⑨ | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」

中世最後の騎士マクシミリアン⑨

 


目的地もあと少し。

「マリア、待っててくれ‼︎」


だが…


惜しくも、マクシミリアンは足止めをくってしまった。

皇帝が集めた金額では足りず、財布の底を尽きようとしていたいのだ。

 

「くっそぉ…。こんな所で無くなるとは。あと少しでマリアの元に辿り着けるのになぁ」


マクシリアンは決して無駄遣いだの大盤振る舞いをしていたのではない。

兎に角、ハプスブルクにはお金がなかったのだ。

 

一方、既にマクシミリアンがこちらに向かっていると聞いていたマリアは、今は遅しとマクシミリアンの到着を待っていた。

 

ところが、幾ら待ってもマクシミリアンが到着する気配が見られない。


そこで、継母のマルガレーテは機転を利かせて使いの者に幾ばくかのお金をマクシリミアンの元に届けさせた。

  

旅費が尽きて途方に暮れていたマクシミリアン。


そこへ公国の従者が駆けつけ、

「さぁ早く‼︎  これで姫様がフランスの王子と結婚させられる前に急いで式を挙げてしまいましょう!」と金貨の入った袋を手渡した。


思わぬところから助けを得たマクシリミアンは再び馬を走らせ、マリアの元へ急いだ。

 

マクシミリアンの入城は公国の雰囲気を一転させた。

亡きブルゴーニュ公の遺言通り、公国の継承者が現れたからだ。

 

マクシミリアンはごった返す人をかき分けて、教会の扉の前にいるマリアとマルガレーテの姿を探した。

 

そして2人の姿を見つけ、旅の困難を救ってくれたマルガレーテに感謝を込めて深々とお辞儀をすると、マリアの手を取り、ここに二人は華燭の宴を行った。

 

これまで互いの姿を絵の中でしか見た事がなかった二人だったが、幸運にも、この新郎新婦は一目見るなり互いに恋に落ちた。

 

しかし…、


いざ結婚生活を始めると不便な事も多かった。

 

つづく