ラノベ「双頭の鷲―ハプスブルク家物語―」
中世最後の騎士マクシミリアン⑤
「ほぉ、やはり今回もハプスブルクに軍配が上がったか」とフリードリヒ。
「父さん、どういう事?」
「いや、何、ハプスブルクには昔から神のご加護があるんじゃよ。窮地に追い込まれても不思議と助かる道がみつかるんじゃ。 今回も剛を煮やしたブルゴーニュ公がお前とマリア公女との結婚を認めてきよったぞ」
「本当ですか、父さん⁈ でも・・・・絵で見た時は何て綺麗な子だろう、って思ったけど、今は(結婚は)どうでも良くなっちゃったな…」
事実、マクシミリアンは妹クニグンデの友達のロジーナに少なからず恋心を抱いていた。
これだけシャルルが待たせた上、幼い頃から毎日の様に顔を合わせているのだから当然と言えば当然だろう。
一方シャルルは、と言うと…
死期を予感したのか、こうなったからにはマクシミリアンを逃しちゃならぬと無条件でマリアの婚約を承諾したシャルルだったが、どうも腹の虫は収まらない。
そこで腹いせにナンシーに向けて出陣する事にした。
しかし…
予感は的中した。
ナンシー郊外で行われたスイス兵との激戦で、シャルル公は無念の死を遂げたのだった。
つづく