ロンコ・セヴェロ・フリウラーノ・リゼルヴァ2013
イタリアはフリウリ・ヴェニチア・ジュリアにて、希少品種であるノジオラを使って作られたオレンジワイン。
オレンジワインとは、白ブドウ品種を通常より長期間マセラシオン(果皮に果汁を漬け込み、果皮接触の時間を長くする事。赤ワインの作り方を応用)したワイン。
この作り方は、15年以上前に、ボルドーの白ワインの質が劇的に向上した際、果皮接触をさせて作っていたんです。
それによって、樽熟成に耐えられる様ヴォリュームがアップし、果実の香りが豊かで樽からの複雑性もあり、旨味の感じられるワインとなりました。
オレンジワインが流行り始めた頃、レストラン銀座ハプスブルクさんのソムリエールさんがオレンジワインを取り寄せて下さった事がありました。
私がワインスクールで1年間ボルドー漬になっていた時が、まさにボルドーの白ワインの作りが変化した頃だったので、「オレンジワインって長期マセラシオンしただけでしょう。ボルドーの白とどう違うの?」と楽しみにしていたところ、「抜栓したところ、とてもじゃないけれど、お出し出来ない状況です」とサーヴィスNG。
「ブショネでもしていたのかしら?」と思っていたところ、オレンジワイン企画をHPでも展開しているワインショップの方から、それ解放桶で作ったオレンジワインだと思いますよ、と教えて頂きました。
オレンジワインを購入する方も増えているかと思いますので、説明をさせて頂きますと、オレンジワインには①醸造時に発酵槽を開放し、酸化をさせながら果皮を抽出する方法、②発酵槽を密閉し、酸化をさせずに果皮を抽出する方法の2種類があります。
密閉タンクの場合は、色合いは開放桶に比べて強くは出ませんが、旨味のみを抽出するため、白ワインに力強さとコクが加わり、様々な食事と楽しむ事が出来ます。いわゆる、品質が向上したボルドーの白ワインの様な作りです。
一方、酸化を促しながら抽出するタイプは、漬物臭が激しく、モノによっては腐敗香(俗に言う「豆臭」)も出てしまうんです。因みに日本では、このタイプからブームになったんです。
多分、ブルゴーニュの伝統的な醸造法のイメージと重なって、こちらから人気に火が付いたのでしょうね。
因みに、オレンジワインと言っても、スキンコンタクト(果皮接触)の日数等によってオレンジなのか色が微妙で、取扱い店でもその辺りのジャッジがし難い様です。
今回はネットショップのexwineさんより、何種類かお薦めのワインを教えて頂き、バランスが良いとの事で、「ロンコ・セヴェロ」を購入しました。
「スモールフライ」と言うワインも、オレンジワインらしさを感じつつ、安心安全な味わいとの事ですので、その内購入してみようと思います。
その際は、是非、今週のカジュアルワインでもご紹介させて頂きます。
畑はスロベニア国境に近く、アルプスからの心地よい風と南部のヴェネツィア湾からの海風が畑に流れ込む、複雑な自然環境。
土壌の特質は粘土質、海洋性の特性があり非常に細かな海岩が多分に含まれると言う、フリウリ中西部の特徴的な地質、
粘土質の土壌は水分をたっぷりと蓄える為、葡萄がゆっくりと成長し、海洋性の地質よりミネラル成分を吸い上げる。そして、上記の気候と相まって、ミクロクリマが起こる畑となっています。
栽培は、1990年代より農薬を使わない自然農法に。
醸造は、収穫後に1500Lの樽で46日のマセラシオンと発酵後、最低2年の大樽熟成しているとの事。
香りはオレンジ、カリン、アプリコット等濃い黄色(オレンジ)系の完熟~ややドライなフルーツの香り。蜂蜜、蜜蝋、貴腐香に似た香り。ドライフラワー。ミネラル。
栗の渋皮の様な優しい樽からの香り。
温度が上がり、グラス中のワインが少なくなり酸化香が出てくると、キュウリの古漬けの様な香りが若干出てきます。
普通に飲んでいる分には、この様な香りは出てきませんが。
アルコール度が高いので全体的にふくよかな印象。
アタックで舌先にかすかな甘味を感じるものの、全体的にドライな印象。
香りにヴォリュームがあるので、香りの割にアタックに甘味が無い為、ともすると痩せた印象になってしまうが、フラットな感覚で口中に入るがアルコールのヴォリューム感が全体にブワッと広がって行く感じです。
優しいがしっかりとした酸が全体をささえ、バランスが良いワイン。
ただし、オレンジワインに関しては、厚みのある香りに対してアタックが弱い。
甘い香りがあるなら、アタックにある程度甘味があった方が、取っ付き易い感は否めません。
勿論、美味しいワインなのですが、オレンジワインが人気なのも、行きつくところまで行ったが為におこったブームなのでは?と思ってしまう。
以前、シャンパーニュでRM(レコルタンマニュピュラン)がブームになったが、その質にバラつきが多かった為に今ではすっかり落ち着いたが、オレンジワインもそのうち落ち着くのではないかと思う。
悪くはないけれど、私は敢えて手は出さないかな。
やはり、過ぎたるは猶及ばざるが如しで、マセラシオンも長ければ良いと言うモノではないと言うのが、私の正直な感想です。
相性料理は、鶏肉や豚肉のソテー、トマト煮。お魚もフライやムニエルなど、ヴォリュームアップした料理が好ましいです。
因みに、我が家は鰆をフライにして(我が家の場合は多めの油で焼くだけですが)、ゆで卵のソースにしましたが、その位ヴォリュームアップしても十分釣合が取れます。
お魚ではなく、ホタテやエビフライなどでもOK。
また、ラタトゥイユ(カポナータ)にモッツァレラチーズなどを加え、コクを出すとより釣合が取れる様です。
冷やしてランチに飲みたいワイン。
トマトソースのパスタと一緒も良い感じ。
欲を言うと、アマルフィのレモン農家さん達の様に、レモンの木の近くで日差しを浴びながら冷たく冷やして飲みたい雰囲気。
日本なら、オリーブ畑や柑橘系の畑を眺めながらって感じかな?
そんなシチュエーションで飲みたいワイン。
麦わら色がかったゴールド だいぶ酸化がすすんでいます