私が二十歳そこそこの頃、大好きだった職場の先輩が結婚で辞める事になりました。
8歳年上の先輩は、面白くて面倒見が良くて・・・・だから先輩が退職すると聞かされた時は寂しかったけれど、心から「おめでとう」と言う気持ちでいっぱいだったんです。
が・・・・
ある時、先輩がフッと言ったんです。
「一番好きな人と結婚したかったなぁ」って
実は、先輩は会社の人とお付合いしていたのですが、ご両親の反対にあって、結局、お兄様の友人と結婚する事になったのだとか。
結婚する位ですから嫌いではなかったのでしょうけれど、好きでもない人と結婚する(これも極端な解釈ですが)と言う事が、当時の私にはもの凄いショックでした。
普通はそこで「私は絶対に好きな人と結婚する!」って奮起するのでしょうけれど、私は「結婚って怖いなぁ」と思ってしまったんです。
1、2年経って、先輩は幸せそうに小さな男の子を連れて職場にやって来ましたけど
さて、お姫様達の中にも、熱愛中の貴公子との結婚を許して貰えず、泣く泣く国家の要請に従わなくてはならなかった人もいました。
お姫様とは言え、無菌状態で育った訳ではなかったんですね。
ナポレオンと結婚してフランス皇后となった、マリー・ルイーゼもその1人。
マリー・ルイーゼの青春時代はナポレオンが起こした戦争の真っ只中
シェーンブルン宮殿もナポレオンに占拠され、マリー・ルイーゼは幼い弟妹や病弱な義理の母の世話をしながら、帝国中を逃げ回る生活を余儀なくされていたんです。
戦火から逃れる為、昼間はギュウギュウ詰めの馬車に揺られて、夜、やっと休めると思ったら布団に南京虫がいて眠れなかったり、パン1つを分け合って食べたり・・・・。
だから、自分達がこんな辛い目にあっているのは、ナポレオンのせいだ!と思っていたの
それに、周りがナポレオンの事を「恐ろしい殺人鬼」と言うものだから、当然、ナポレオンなんて大っ嫌いだったのね。
そんなマリー・ルイーズはモデナ公国のフランツ皇太子と恋をして、結婚を誓う迄になったのだけど、マリー・ルイーズを悩ますのは、ナポレオンが愛妻ジョゼフィーヌと離婚して、王室から若い王女を新しい花嫁として探していると言う噂。
出産適齢期にある若い王女と言われても、そういるものではなく、噂ではロシアのロマノフ家の皇女かオーストリアのハプスブルク家の皇女・・・・そう、自分が有力候補に挙がっていると新聞で騒がれていたんです
マリー・ルイーズはウィーンにいる皇帝に、どうかフランツとの結婚を許して欲しいと手紙を送っていたのですが、梨の礫(つぶて)。
疎開先で、姉妹程しか年の違わない義理の母と不安でヤキモキしながら待つ内に、帝都ウィーンに呼び戻されて、父からナポレオンと結婚する様にと告げられてしまうんです
でも、このお姫様、意外とちゃっかりしていたみたい。
最初は泣いて抵抗したけれど、父親を悲しませたくないと言う思いから、ついにナポレオンと結婚する事を承諾してしまうのだけれど・・・・。
でもね、
義理のお母さんが、「あの優しいマリー・ルイーゼが殺人鬼なんかと結婚するなんて。これではマリー・ルイーゼが可哀想過ぎます!」と猛反対する中、当のマリー・ルイーゼは、フランスから贈り物や肖像画の入ったロケット(これが当時のお見合い写真だったんだそう)が届くと、まんざらでもなかった様
そっとロケットを開けて未来の夫の肖像画を覗き見て、直ぐに蓋を閉じたマリー・ルイーゼは、想像と違って優しそうな顔をした婚約者の顔を見て、頬を染めてドキドキしたのだそうですよ。
・・・・to be continued