ブリュンドゥルマイヤー
ランゲンロイス ツヴァイゲルト2011
オーストリアはカンプタールにある秀逸な作り手さん。
個人的には、ブリュンドゥルマイヤーさんは、シャンパーニュと同じ方式で作られているスパークリングワインの作り手さんと言うイメージです。
因みに、彼のスパークリングは、下手なシャンパーニュを飲むより断然美味しいです。
彼のワインは、ユルチッチ氏のワイン同様、外れはありません。
どのラインナップも安心して飲める作り手。
さて、プロフェッサーである、ブリュンドゥルマイヤー氏のワイン作りは非常に論理的。
ビオデナミを採用した事もありますが、最終的には統合農法を採用する現実派です。
その理由は、ビオデナミによって、より多くのCo2を排出する事、銅の土中蓄積に問題を感じたからだそう。
また、灌漑はミネラル成分や果実味を薄めると賛否両論ありますが、短時間の灌漑ではなく、じっくりと12時間かけて水を深く浸透させる事。灌漑が必要になる前に、カバークロップ(クローバーなどで表土を覆う事)と競争させて、葡萄自体の根を深く張らせておけば有効だそうです。(岩城ゆかり著「新自然派ワインを求めて」より)
ワイナリーのあるカンプタールは、白ワイン品種グリューナーヴェルトリナーの銘醸地。
ハンガリーの暖かいパノニア気候の影響で、昼間は気温があがり葡萄の成熟を促す反面、夜はシベリアからのヴァルトフィアテルの冷気が入り込む為、高い酸度を維持しながら生育する為、トロピカルフルーツの様な凝縮した果実味を持ちながら、酸味のある、綺麗な味わいに仕上がるのが特徴の地域です。
今回のワインは、オーストリアの固有品種ツヴァイゲルトを使用した赤ワインです。
ツヴァイゲルトは、チェリーの様なチャーミングな果実味が特徴ですが、やや土っぽさと、程よい渋みから、オーストリア版ガメイとも言われていますが、私の個人的な印象は、凡庸なワインなら軽めのピノノワール(とメルロの中間)、しっかりとした作り手にかかると、メルロやシラーの様な作りと言った印象です。
飲み易いワインですが、作りによっては、面白いワインに大化けする底力を持っている品種です。
さて、今回のワインですが、早飲み文化のオーストリアにしては珍しいヴィンテージから6年経過したもの。
丁度飲み頃ですが・・・・いや~、久し振りに滋味深く、美味しい良いワインに出会いました。
オーストリア贔屓の性格を差し引いても、美味しいワイン。
外観ですが、縁に紫が残る、非常に濃いルビー色。6年経過していても若々しいんです。
香りはカシスのコンフィ、ブラックチェリー等、黒系の果実が中心ですが、若干赤系のニュアンスも無きにしもあらずです。
他には、満開のスミレ。オリエンタル系のスパイス。丁子、シナモン。湿った土。木の皮などバルサミック系の香り。若干コリアンダーの様な、強くはありませんが、メントール系の香りが混ざったの様香りが感じられます。
味わいは、非常にバランスが良い。
アタックに優しい果実味を感じたあと、溶け込んだタンニンとこなれた酸が口中に広がります。そのどれもが吐出することなく、するっと喉を通る感じ。
酸と渋みが一体となって余韻に繋がなっていきます。
丁度今が飲み頃。
合わせる料理は、余り癖の無い物が良いと思います。
ガーリックや過剰なスパイスを使うのではなく、あくまでも素材の良さを大事にしたシンプルな食事。
実は、今日は頂き物の聘珍樓の飲茶セットがあった為、聘珍樓の小籠包、海老蒸餃子、焼売、肉まん(結構小振り)にサラダというメニュ。
※胡麻餡の胡麻餡饅頭は満腹で食する事は出来ませんでした。
そこで、本日のワインを空けてみたのですが、大正解。
若いワインなら、お肉をソテーしてブラックペッパーなどを利かせる料理も良いですが、全体的に綺麗に纏まっているので、飲茶など、優しい中華系の料理にこそピッタリ。
小籠包には生姜の千切りをたっぷり添えて、酢醤油と一緒に合わせても合いますし、海老蒸し餃子の邪魔をしません。
多分、肉じゃがの様な家庭料理でも全く問題なし。
オーストリアワインはむしろ、頑張って洋風の料理にしなくても、普段の和食との相性は抜群です。
今回の様にある程度熟成したワインなら、和の煮込み料理にも十分対応出来る度量の広さがある事を感じました。
このワインは㈱AWA(インポーターさん)より直接購入したワイン。
相手方にお手間を取らせってしまうので、購入してから、3、4年秘蔵していたのですが、リピート必須のワインです。