エミリオ・モロ 2013
ボデガスエミリオ・モロ
エミリオ・モロは、スペインの内陸リベラ・デル・ドゥエロにある作り手。
リベラ・デル・ドゥエロは19世紀にボルドー地方を襲ったフィロキセラ禍(葡萄樹の根に寄生するアブラムシで、葡萄樹を枯死させてしまう)で、スペインに移住した作り手が多く、国際的に注目を浴びている産地。
1932年よりワイン作りを始め、現在の当主は3代目。
小規模なワイナリーですが、スタイリッシュな外観のセラーのエミリオ・モロは「エル・ブジ」のレストランにもオンリストされ、サッカー選手や俳優にもファンが多い、リベラ・デル・ドゥエロでも屈指のトップワイナリー。
エミリオ・モロのフラッグシップとなるこのワインは、樹齢15~25年のテンプラリーニョ(この地方ではティント・フィノと呼ばれます)を100%使用し、フレンチオークとアメリカンオーク樽で約12カ月間熟成させています。
スペインの赤ワインは、テンプラリーニョと言う品種を中心に、大きく分けて軽めのカジュアルタイプ(これもまた捨て難い)と、しっかり系のボルドータイプに分かれます。
多分、スペインワインって、かなり大雑把ですが、この2派があるんだぁ・・・と、分かっていると、そこそこの流れがつかめると思います。
・・・と言うか、イタリアにしても旧大陸のワインは、昔ながらの大樽で熟成させた優しく地味深いタイプか、国際市場を意識したボルドータイプのワインの2大系統に分かれます。
さて、本日のワインは、ボルドータイプ。
ですが・・・・文句無しに、美味しいです。ボルドータイプでも嫌味が無いワイン。
外観が紫がかった非常に濃いルビー色である事から見ても、まだまだ若いワイン。
香りは、ブラックベリー、ブラックチェリーなど黒系果実の香り、スミレ。
アメリカンオークからくるバニラの香り、コリアンダー、甘草などスパイス系の香りと果実の香りのバランスが良いです。
味わいですが、アタックは豊かな果実味。きめ細かい酸の中に細かいタンニンが溶け込んでいる印象ですが、口中を徐々にタンニンの質が変わってくるのが印象的。
最初は細やかなタンニンですが、段階を追って、ガン、ガンとインパクトのあるタンニンの出方はフランスのグラーブのワインを彷彿とさせる印象です。
それでも、渋みに負けないのはしっかりとした果実味があるから。
香りを取っている時も、アルコールの高さを感じさせるのですが、アルコール度数14度。
それでも、するすると飲めてしまう心地よいワイン。
スペインのワインは、土地柄アルコール度数が高くなってしまう。
それでも、テンプラリーニョと言う土着品種を使う事によって、酸を残しているので、飲み疲れはしないのですが、この作り手さんは、ガッツリと骨太な作り方をしながらも、飲み手を疲れさせない、好感度の高いワイン。
これだけしっかりしたワインですから、シンプルにお肉をソテーしても良いでしょう。
頑張ってステーキにしなくても、ぜーんぜん良いんです。個人的には、むしろステーキに合わせたくないワイン。
我が家は健康的な意味合いから、鯵のトマト煮をメインにしました。
玉ねぎとニンニクのみじん切りとトマト缶、ローリエを加えて、三枚におろした鯵を投入、生バジルを加えた、シンプルであっさりした料理にも対応可能です。
勿論、ローズマリーなどを使った豚や牛肉のロースト(ソテーも可)にも合いますが、鶏のトマト煮やソテーなど、軽めの料理でも合わせられます。
難しく考えず、生ハムやピンチョスをイメージしても良いし、幅広く対応出来るのが、スペインワインの良いところ。
スペインワインは、しっかりした作りでも気難しくないんです。
難点は、ついつい調子にのって飲み過ぎてしまうところ。
可能ならば、ウッディなテラスで楽しみたいワイン。
本来なら、ギリシアやイタリアの地方都市にある様な、石灰質の程よく湾曲した石の壁のある洞窟チックな薄暗い雰囲気で、カップルで飲むと最高に盛り上がりそうなワイン。
・・・でも、そんなシチュエーションは無理。
それならば、カフェチックで良いので、ウッディなテーブルや椅子をテラスに出して、キャンドルを灯して楽しみたいワイン。
・・・えっ、それも無理?!
うーん、じゃ、お部屋の照明を落として、(キャンドルを使えればなお可)フラメンコギターをBGMに(歌入りでも可)。
どうせなら、スペイン気分に乗っちゃいたいワイン。
飲み手のイマジネーションを掻きたてるワインなんです。
こう言うワイン・・・良いなぁ。
インスピレーションに任せて、色々遊べて、かつ大人の雰囲気を演出できるスタイリッシュなワイン。
※写真データ紛失の為写真は全てお借りさせて頂きました
エミリオ・モロのワイナリー
ワインセラー