日本には「鹿の子」と言う鹿をイメージしたお菓子がありますが、ドイツの伝統菓子にレーリュッケンと言うお菓子があります。
レーリュッケンとは「鹿の背」と言う意味。
のろ鹿を指しているのだそうです。
レーリュッケン型と呼ばれる、鹿の背中の形をした型で焼いたお菓子で、外側をメレンゲにココアを加えたココア生地、内側がバターケーキです。
写真は私が作ったマンデルンレーリュッケンですが、バターを塗った型にアーモンドダイスを振る事で鹿の斑点模様をイメージし、中のバターケーキにレモンの皮を摩り下ろしを混ぜている為、外はサックリ、カカオ味で中はしっとり爽やかと、二種類の違う味と食感が楽しめるお菓子です。
上から粉砂糖を掛ける事で、鹿の背中に雪が積もっている様に見えませんか?
勿論、ハプスブルク家の歴代の君主達も狩猟は大好きでした。
そのせいか、ハプスブルク家には、鹿にまつわるこの様なエピソードが残っています。
中世最後の騎士と呼ばれた、ハプスブルク家の王子マクシミリアン。
このブルゴーニュ公であり、神聖ローマ帝国皇帝であったマックスもまた狩りの名手でした。
当時、狩りと言えば鉄砲を用いられたのですが、マックスは鉄砲を使うのは卑怯だと考えており、獲物を仕留める時は弓矢を射っていました。
マックスはイタリア、ブルゴーニュへと通じるチロルの主要な山間都市インスブルックに拠を置いていたので、この日も、供の者をつれて、チロルの険しい岩山を駆け登り、大きな岩と岩の間を走り抜けては、矢を番えて獲物のカモシカを追っていたのです。
ところが、俊敏なマックに供の者は追いつけず、気付けば、1人険しい岩山に立たされ身動きも出来ない状態に陥っていました。
万事休すで、岩肌に手を掛け爪先立ちのまま、救出が来るのを待つしかありませんでした。
しかし、1晩経ち、2晩経っても一向に人が来る気配もなく、マックスはただひたすら神に祈りを乞うしかありませんでした。
そして、
とうとう、もうダメかと思われた3日目の朝が明けようとする頃、どこからともなく牧人が現れ、牧人は黙ってマックスに後を着いて来る様な素振をしました。
そして、安全なところまでマックスを連れてくると、こつ然と牧人は姿を消してしまったと言うエピソードが残っています。
この話を聞いたハプスブルク家の御用学者達は、この牧人は天使に違いない。
やはりハプスブルク家は神のご加護を受けている一族だと一様に解釈したそうですが、銃を使う事を良しとせず、正々堂々とフェアに勝負をするマックを、鹿が牧人に姿を変えて助けてくれたのかも知れません。
今でも、マルティンの岩壁と呼ばれている、マクシミリアンが立ち往生したと言われた巨大な岩が残っているそうです。
そして、もう1つ。
ハプスブルク家出身のお姫様マリー・アントワネットにもこんなエピソードが残っています。
・・・・to be continued