焦らない事も才能です② | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

ハンガリー貴族達との交渉に半年も費やしたテレーゼ。



敵が今にもオーストリアへ攻め込んで来ようとしている中、半年も交渉に費やすなんて、スピード時代の現代では想像もつかない長さです。


時代は違うとは言え、敵が進軍している中、よくもまぁ痺れを切らさず、交渉に応じたものと感心してしまいます。


しかし、もし、ここでテレーゼが力で事を推し進めようとしたらどうなっていたでしょうか?

応援を得られるどころか、武力による衝突さえ起しかねなかった筈です。

ハンガリー貴族の性格と経緯を考えれば交渉に時間を要する事は覚悟していたテレーゼ。

確かに、何度も痺れを切らしそうになったけれど、テレーゼはそこを堪えて、穏やかな春の海の様な気持ちで忍耐強く交渉に当たったのです。


これ以降も、ハンガリーと交渉を行う場合は、無理やり動かそうとはせず、相手の気持ちを汲み取りながら、ゆっくりと時間をかけて行ったと言われています。


その為、荒くれ揃いのハンガリー貴族達もテレーゼには敬愛を持って、テレーゼが統治していた時代はハプスブルク家と良き関係を結んでいたのです。



が、息子のヨーゼフが皇帝になると、ハンガリー貴族の気持も推し測らず、性急に事を急がせようとするので、常に交渉は決裂に終わり成果を結ぶ事は出来なかったと言われています。


ハプスブルク家きっての才媛と言われるテレーゼ。




現在オーストリアの教育制度や暦、行政など、近代国家の基礎を作ったのは、全てテレーゼの施政によるものですが、そのどれもが改革着手時は上手く行きませんでした。



変化を嫌うウィーンっ子達は、時代を先取りするテレーゼの政治感覚に着いていけず、テレーゼの改革が浸透するまで、非常に長い時間を要したのです。


その度に、10年後、20年後にはこの改革が必要だったと彼らも理解する時が来る筈、と目の前の結果だけにとらわれず、焦らず、急がず、テレーゼは自然に新しい制度が浸透してゆくのをじっくりと待ったのでした。



現代は時短を重視されます。


全てにおいて短期育成で、短期間で資格取得を謳う所が多いですが、それに肉づけをして形にしていくには時間がかかります。



短期促成で世に出ても、底が浅いと直ぐに回らなくなってしまいます。

また、実力があっても、それを軌道に乗せるには、ある程度、時間が必要なのです。


スタートから上手く行かないと心が折れかかりますが、軌道修正が出来る内に、問題は出し切った方が良い。


はやる気持ちはあって当然。


しかし、ここはグッと堪えて、春の海の様(※)に、穏やかにのんびりと構え、目の間にある、やるべき事に1つずつ取り組んでいくしかない様です。


上手く進まない時こそ、改良を重ねる良い時期です。

必要だからこそ、「待ち」の時間がある。

焦れば、大切な事を見逃しかねません。


せっかく立てた目標なのですから、大事に育てていきましょう。


今が上手くいかなくても大丈夫ニコニコ


焦らず、ゆったり構える事も才能の1つです。

※「春の海」と言う表現はハプスブルク家に関する著書を多数出している江村洋氏に言葉を使わせて頂きました。