プルス・ウルトラ―引退を決める時―⑥ | Salon.de.Yからの贈りもの〜大事な事は全てお姫様達が教えてくれた。毎日を豊かに生きるコツ

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元ワイン講師であり歴史家。テーブルデコレーションを習いに行った筈が、フランス貴族に伝わる伝統の作法を習う事になったのを機に、お姫様目線で歴史を考察し、現代女性の生きるヒントを綴ったブログ。また宝石や精神性を高め人生の波に乗る生き方を提唱しています。

5回に亘り、カールの治世を振返り引退までの足跡を見て来ました。


カールは引退してもなお、常に先を見て、変わりゆく世界を、誰よりも早く関知し、対応する柔軟さは失われていなかった様に思います。


世の中には、数々の幕引きがあります。


定年退職等、年齢で自動的に終わりを迎えられる方もいれば、ご自分で仕事をされている方、アスリート達、趣味の世界や人間関係等、自分自身で幕引きを決めなくてはならない場合もあります。



今あるモノはいつか必ず終わりがあります。



ずっと昔、ジャイアンツファンの友人の付添いで、ファンサービスデーに行った事があります。


その年は、王貞治さんが引退を宣言したか、引退された翌年だった様に記憶しています。



が、王さんがバッティング練習をされているのを、間近で拝見した時、

悠々と柵越えをする姿に、野球の事を何も分からない私は「まだ十分やれそうなのに、勿体ない」と感じました。

すると、周囲にいらしたお父さん方達も「勿体ないなぁ、まだまだやれるのに」との声が上がったのです。


今思うと、ピーク時に比べて体力も落ち、ジャイアンツと言う一流ブランドのトップバッターとして相応しくないとご自分で判断されたのだと分かります。



年齢や体力の限界と戦う姿を見せる事も先達の使命であるのと同時に、勢いのある後輩に場を譲り、潔く第一線から退き、別の場所から後輩達を見守る、どちらも勇気が必要とされます。


きっと、皇帝カール5世も、社会の平和に対する情熱は変わらずとも、気力・体力が追いつかず、王者として相応しくないと判断して、自ら幕を引いた事でしょう。


トップでなくとも、凡人の私達にも、終りがチラつく時があるでしょう。



情熱が冷めてしまった時

やる気はあるけれど、自分が納得する結果が残せなくなった時

潮時だとは十分わかっているけれど、踏ん切りがつかず、惰性で続けている時、etc

終りが近づいて来た時の心境は様々です。


自分が大切にしてきた事だからこそ、

今の自分は継続するに相応しい自分であるのか?

結果を受入れて、それでも挑み続けるだけの情熱はあるのか?等



その分野のプロとして、進退を決めるのは、それに携わる者のプライドなのではないでしょうか。


いずれにしても、引き際と言うのは肝心なもの。


一旦引いて、今あるモノを練り直して次のステージに昇華するも良し、サポート役に徹するも良し。

一から出直すのもまた良しです。


古くなった物は手放し。今の自分に合った、新しい自分(モノ)を受入れて再出発をする。

これを繰返して行く限り、限界はないのではないでしょうか。


プウス・ウルトラ=もっと先へ!


完了と再生を繰返して進む事によって、引退ではなく、自分の本質により近づき、より進化した自分に出会えるのではないかと思います。音譜