ヴァレー・オブ・ザ・ムーン
ジンファンデル ソノマカウンティ 2012
カリフォルニア独特な品種ジンファンデル。
ルーツを遡れば、イタリアの葡萄品種プリミティーヴォがカリフォルニアに渡り、変異したと言われていますが、最近、異論も上がっています。
カリフォルニアと言えば、カリピノ、カリカベと言われる様に、ピノ・ノワールやカベルネ・ソヴィニヨンが有名で、1本千円から2千円当たりのバーベキューなどと楽しみたいタイプもあれば、1本数万円と言うカルトワインはフランスワインに追いつけ追い越せでエレガントな作り、と言うように、その幅も広いのがカリフォルニアワインです。
中でも、ソノマはカベルネ・ソヴィニヨンで有名な地区。
勿論、カリピノもカリカベも安定しているけれど(気候が温暖なので)、あのジャミーなところが好きになれない。
私は、カリフォルニアならではの品種、ジンファンデルが面白いと思います。
コスト的にも千円台から3、4千円位とカジュアルなワイン。
勿論、駄物もありますが、丁寧に作られていると、これがまた「おっ!」とうなられてくれる曲者なんです。
ジンファンデルと言うと、黒糖を思わせる甘い香りが印象的です。
今回ご紹介するワインですが・・・・ジンファンデルの幅の広さを予感する面白さです。
香りは、ブラックベリー、ミネラル、オリーヴ、生肉から皮の中間的な香り、バニラ・・・・ブラインドで出されたら、ローヌかイタリアのワインかな?と産地を絞ってしまうかもしれません。
香りの要素からみると、サンジョベーゼ・グロッソ的な香りが全面に出てきます。
味わいですが、アタックはふくよか。穏やかな酸味も感じられますが、直ぐに、穏やかですが苦味が舌の両脇からググッと迫ってくる感じ。エスプレッソコーヒーを飲んだ直後の様です。
とは言いながら、酸味は穏やかながら、全体のバランスは取れています。
種まで完全に熟している事を思わせる苦味なので、攻撃的な印象はなく、アルコールのヴォリューム感を感じさせながら、苦味がコクを与え、全体を上手く纏めている感じです。
外観からすると、もっと甘味があるのかと思いましたが、飲んでみるとイチジクのドライフルーツの様な香りも感じられ、予想外にエレガントな印象。
千円から2千円クラスのジンファンデルには無い、奥行きの深さを感じられ、ジンファンデルも追及する価値のある、面白い品種である事を確信させられました。