ウィーンのバタークッキーです。
大きめの星口金で絞って、やや低めのオーブンで焼いたシンプルなバタークッキー。
バターとバニラの風味。そして少し塩を入れるので、甘味の中に、時々、程よい感じで塩味が感じられる普通のクッキーですが、粉糖を使っているため、軽い口当たりです。
※高島屋日本橋店に入っている「グナイマー」のバタークッキーの様な味です。
フランス菓子のクッキーとドイツのクッキーは全く異質。
ドイツ系のクッキーは日本人に馴染みの深い、優しく、どこか懐かしい味わいです。
クッキーと言えば、エリザベートやフランツ・ヨーゼフの朝食がクッキーとコーヒーや紅茶のと言ったとても簡単なものでした。
節食をしていたエリザベートは置いておいても、冬も朝の5時には執務を初め、山積の書類に目を通す程のハードワークだったフランツ・ヨーゼフも、朝はクッキーと飲み物だったり、クロワッサンとコーヒーと言う簡素なものでした。
エリザベートは自分には家庭は無いものとして、宮廷を離れていましたから、フランツ・ヨーゼフは家族と共に、朝食の時間を持つという、ありきたりの幸せすら得る事が出来なかったんです。
晩年、エリザベート公認のガールフレンド、女優のカタリーナ・シュラットと友情ともプラトニックな恋愛関係ともつかない様な関係を持つことで、一時の安らぎを得るのですが、早朝早くから執務をし、ひと段落つくと、カタリーナ・シュラットとクロワッサンとコーヒーを食べながら、たわいもない話をして寛いだそうです。
ハイネだのギリシャ哲学について語るエリザベート。
でも、フランツ・ヨーゼフはそんな話には興味がありませんでした。
それより、日常のたわいもない話。
血の通った人間味のある暖かい会話がしたかったんです。
そんな話をして楽しませてくれたのが、カタリーナ・シュラット。
カタリーナ・シュラットと過ごす前に、起き抜けのお腹に、ちょこっと何かを入れた、その何か、がクッキーでした。
勿論、1人だけの味気ない朝食の時は、クッキーと飲み物だけと言う時もありました。
午後のお茶の時間、楽しいお喋りと一緒に味わうクッキーもあれば、皇帝夫妻の様に、味気ない朝食の為のクッキーもあるんですね。
バター、粉糖、バニラ、卵白と薄力。そして、お塩が一つまみ。
どこにでもある材料で作れる、素朴で簡単なお菓子ですが、とてもお菓子です。
それだけに、良い素材が求められます。
写真は、先日のお菓子教室で作ったもの。
因みに、バラの様な形に仕上がる為、私のお菓子の先生は、「ウィーンの薔薇」と呼んでいるそうです。
贈り物に喜ばれるそうです。